居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

ドブの月

2012-01-10 12:10:52 | 絵とポエム

 

 

ドブの月

 

けっしてはなしたくないことが

塵の様に

こころの溝に

たまり

そのうえ

ごたごたしたあとで

暁の月のように

輝きさえして

汚れたみなもに

あざやかなすがたをみせる

 

これはなんぞや

埋没されて行くはかない夢か

大どうりをそれた

ほそいよこみちで

そっと封筒から取り出して

ななめよみしては

そそくさとしまい込む

 

ありふれたじょうけいにしかない

わずかなまわりに

街頭のあかりがウッスラひろがり

浮かび月は

まるで軽業師のようなあざやかさで

みぞをうめてゆく

 

地殻変動のようにゆれてこわされ

むざんな形骸と化した

けっして口にできない

たいせつなこと

そういうものを

はたしてどうすればいいのだろうね

ドブにうかんだお月さんに

わかりはせぬが

 

 

 

 

 

 


窓の月

2012-01-02 18:52:24 | 絵とポエム

 

窓の月

 

窓の幅だけ

月が通る

 

すこしのあいだ

窓から眼をはなすと

月はいなくなる

きれはしも残さずに

 

何時も見えていると思っていると

観念のような

脳裏の月が

脳のなかにあけた窓に

浮かんでいる

 

それは

満月にこしたことはないけれど

三日月でも半月でも

月なら

それでいい

 

でも

叢雲のない夜空に

円盤状の金色の

仮面のようなのがおもしろい

 

月が月に見えないので

つい とまどうから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


エアー枕

2011-12-19 23:55:52 | 絵とポエム

 

エアー枕

 

川がながれ

春は華やぐ

櫻や蒲公英

農家の庭に

やすらかな藁が

にぶくかがやく

 

山の上に浮かぶ雲

そのかたちで

みんながすきかってに

こころをのせる

 

 ひつじにみえても

やぎだという

やぎにみえても

うしだという

うしにみえても

ふねだという

 

きりがなくて

かってにしたら

おおきな意見が

雲たちに

ひとつひとつの

いのちをふきこむ

 

鋼鉄製の枕よりも

エアー枕のほうが

ぐっすりねむれそうだ

 

あまりはっきりみえないほうが

芸術的だとおもいません

ねぇ みなさま

 

 

 

 

 

 


かえれないなら

2011-12-06 11:49:56 | 絵とポエム

かえれないなら

 

にんげんたちは

かこにはかえれない

みらいにしかかえれない

かえるということばのしようじょうけんは

ここでみごとに

こわされる

こわしてから

かけていって

ころんでたちあがったような

おさなごのかおつきになる

 

ほうこうをかえても

かこはなつかしむもの

みらいは・・・

なつかしむことはできない

なつかしむようにすることはできる

そのつもりになれば

みらいとイコールのきょうを

いきればいい

 

そして

かえることなぞ

おもいものぞみも

しなくていい

 

だからみらいにかえれ

 

 


ふたりのあき

2011-11-30 12:00:34 | 絵とポエム

 

 

 

ふたりのあき

 

はやしのりょうがわから

はやしのなかえ

はいっていく

おとことおんなのようにみえる

ひとかげ

ふたつ

 

ひざしのなかで

きぎはかがやき

ときどき

さわさわ

びふうがとおる

はがなるおとは

やはり

さわさわ

 

ときがながれて

はだかぎが

そぞろたちつくす

ふゆこだちまで

まだ

じかんがある

 

ふたりは

なにを

 

ポータブルカセットテープレコーダ―は

どこ?

さがしたが

みつからない

 

 

 

 

 

 

 


果物の絵

2011-09-21 18:08:53 | 絵とポエム

果物の絵

 

 

セザンヌが描いた

林檎とおなじ林檎は 

もう ない

似たものがスーパーの売り場で

捨てられたようによこたわっている

ミキサーにかけて

ジュースにしたら

もう形のない林檎の幽霊を

ごくりと飲んでいるわけだ

 

小さなカンバスにむかって

セザンヌの真似ごとをしても

死んだ林檎しか描けない

 

静かな動作で

なだれおちながら とどまる

静止と行動が山のようにかさなっている

原動力のコントロールの妙

感嘆してながめる

 

あきらめて

スーパーの果物売り場へ

 

すると 

風のように

林檎の香りが鼻をつく

 

ああ

絵なんか描くのをやめようと

立ち尽くす

釈林檎様

 

セザンヌの

薄っぺらなプリントの絵から

それでも

林檎を積んだ

蒸気機関車の音がする 

 

 

 

 


台風とインターネット

2011-09-17 12:09:18 | 絵とポエム

(絵は関係ありません)

台風とインターネット

 

今朝

カーテンをあけると

いぶし銀の空に

毛糸のようなほっそりとした

青空が

とおくの 

とある街のように

ぼくをながめている

ときどき黒いけむりのような雲が

エキスプレスのように

ノンストップで通過してゆく

 

熱い海のうえには

目を剥いて北への旅に出発した

台風がうまれた

 

彼女が目にみえたなら

メデューサの髪の毛が

逆立って

猛スピードでさかまいているのが

この目にみえるのだろう

 

進駐軍というアメリカの占領軍が

この国を占領していたころの話

台風に 

女の名をつけていた

ジェーン、キティー、などは

猛烈な勢力で

列島を横断したり縦断したりで

おおいに

荒れた

 

今は番号をつけて

台風15号 16号 とよんでいるが

おおいに荒れるのはかわらない

 

気象衛星がとらえる映像は

大昔の台風もいまの台風も

同じ形をしているのだろう

 

昨日 吹きつぶされた

窓辺のヨシズを

ボソボソ かたずけていて

ふと思った

こんな些細な被害なら

どうっていうこともないけれど

家がひっくり返ったりしたら

ノアの方舟にも乗り遅れて

天国か地獄か

どちらかに

メールみたいに

転送されるのだろうなあと

 

そんな時は

インターネットが

故障してくれるといいのだが

故障してほしくない時には

故障して

故障してほしい時には

故障しないのが

インターネットというものだ

 

 

 

 

 

 

 


クイチガイ

2011-09-14 15:28:30 | 絵とポエム

クイチガイ

 

くいちがう前に

いきちがい

それから

せかいが

バランバランと

はずれていって

くいちがう

 

断片また断片

かってなことを

たくさんたくさん

よんだり かいたりして

ものごとが

こんらんするばかり

 

あるようなことを

ないといったり

ないようなことを

あるといったり

かってにいえるのは

鉄工所の鋳型のような

頑丈な囲いがあって

そこに居座る人が

勝手にいっているのだ

 

たいがいはそうだが

なかには ほんのたまたま

ほんとうのことが

もれだすことがあって

あわてて鋳型をつくりなおすのだ

 

真実は

もれだしてきてこそ

いきはじめる

 

 

 

 

 

 

 


日常

2011-09-13 23:36:57 | 絵とポエム

日常

 

それはみごとな流砂となって

比較されながら

形をととのえようとする

 

舞踏とステージの間で

きしみながら ずれながら

あるグループは

ひねもす 四肢をのばす

 

倦怠なる助走と

逆流する震えとで

出現するのは

方向のない世界だ

 

ああ

再びめぐりあいてのち

いかなる カ タ チ にしようか

そのたくらみは はっきりしない 天候のようだ

 

突然の風におされて  

逃げまどうのは 

どこのどいつだ

 

テクノロジー

マネー

とりひきをするように

うろつく

 

赤と黒の粒子は

すべてのもののなかで

たえず起伏している

ほんとうの 二 チ ジ ョ ウ

 

 

 

 


ドット

2011-09-13 19:06:04 | 絵とポエム

 

ドット

 

このてんが ドット

どっとおしよせたり

どっとながれたり

どっととんできて

どっとさっていく

 

ドット

みえる素粒子

削除すれば

その空間は

どっとドットがおしよせてきて

すぐにうめられるのだろうか

 

水中ならゴボゴボと音がして

泡がふきだしてくる

 

こころのなかなら

どんな事が起こると思う

 

こころのドットがへっていくと

目のまえがまっくらになり

くずれおれるように うずくまる

こころのドットを削除すると

すぐにはうめられないからだ

 

むしろ

たえずこころのドットは

ふやしつづけねばならないのだ

あたらしいドットを

どんどんと

こころひろげて

 

 

 

 


ここはオオゾラ

2011-09-13 18:59:39 | 絵とポエム

ここはオオゾラ

 

ここは

オオゾラ

わたしは

カザグルマ

いつもいつも

やさしいかぜばかりが

ふいてくれるとはかぎらない

 

ときには

どこまでも

ふきとばされてしまつたこともある

 

それでもじっとがまんして

まっています

やさしいかぜを

 

ときどきはらがたつこともあり

かおいろがいろいろのいろになり

みにくいかおだとはやされます

 

みにくいとかうつくしいとか

それは意識か感情か                                                 

いましらべているのです

 

けれどもいろいろ意見があって

それはさっぱりわからない

だからわたしは

フーガのように にげないで

せつないけれども

ふるえながら アドリヴで

さかまくかぜをよびよせて

全力挙げて回転する

それが

わたしのやりかたです

 

 


場面

2011-09-13 18:45:05 | 絵とポエム

場面

 

それは

ちいさなランプひとつの

あかりの部屋で

みんなが認める

ひろがりのない

ちいさなかたまりのようなもの

 

それを

こころでだきしめれば

だきしめるほど

たよりなくなっていって

みんなしんじられなくなって

ぽんぽんと 

そこらじゅうに

ほうりだす

 

ちいさなかたまりのようなもの

みんながしんじないと

それはそんざいしないものになって

みむきもしない真珠の指輪だ

 

天狗の赤い鼻だって

人参であったとしても

みんながしんじたら

天狗の赤い鼻の

そんざいがうまれる

 

そうなると

そのひとやものごとを

みんながしんじると

そのひとやものごとが

そんざいすることになる

 

ナイト&デー

びりびり

そんざいにしかられている犬

ほえても

そんざいは

知らぬ顔の半兵衛だ

 

 

 

 

 


ランナー

2011-09-13 18:39:20 | 絵とポエム

ランナー

 

ひとりぼっちのお部屋から

ひとりぼっちで飛び出して

ひとりぼっちで走るランナーよ

ひとりぼっちは暮らしにくいか

ひとりぼっちという言葉

なんだかそこらにありふれて

いまはみんながそうなのか

 

いえいえそうではありませぬ

むかしもいまも いたりいなかったりしています

ひとりぼっちはたくさんいても

ひとりぼっちだからめだちませぬ

だからひとりではしりだすと

アスリ-トででもないかぎり

ひとめにひっかかってしまいます

 

汗を流して気張って走る

かおまでゆがめてけんめいに

どこへゆくのかわからぬけれど

走ればそのうちどこかにいたる

そんなたよりのないことですが

とにかくいまは走っています

 

ひとりぼっちのお部屋から

ひとりぼっちで飛び出して

ひとりぼっちのランナーは

そのうちきっと美しい

花の国へと走りつき

浦島太郎になりまする

 

 

 

 

 

 

 


アンナ

2011-09-13 15:53:20 | 絵とポエム

アンナ

そう呼んでいた

いつも午前0時に

こっそりと

部屋のガラス窓を

気ずかいもなく

ガラガラと

音を立てて

おかえりだったね

 

アンナ

おまえはだれにもなつかずに

一人住まいの麗人のように

おもいっきり重い荷を背にしていたのか

 

そしてその荷を隠すことで

生きがいを喰いものにして

ほとんど厚みのない塀のうえを

いつも気をくばりながら

曲芸師のように通り道にしていたね

 

おれは しっていたよ

どういう重さの荷だったのかを

それは 人間の通り道にも

デン といすわっていたんだ

心とか そういった種類のもので

目に見えない 大きな山のようなもので

数えきれない木が生えていて

とおせんぼうをするんだ

 

アンナ

いつからかおまえのすがたはみえなくなった

定刻にも もどってこなくなった

でも

時々だけれど 

ガラス窓がきしむ音がする