居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

なんにもオトがしないと

2012-04-30 00:29:53 | ポエム

なんにもオトがしないと

 

つまり
まったくの ひどいことなんだ
なんにもオトがしないっていうことは
地下何万メートルにも
ミミをつんざくオトがしているというのに
今夜というコンヤは
やばいことしてるときのように
ゼロデシベルなんだよ
誰が
お前が

まったく
オトをたてないで
およいでいるから
クラヤミのようなんだ
そういえばコンヤはあの月が
ゆくえをくらまして
真っ暗だ
空 が

こんなよるはいやだな
こんなよるには
ミミをつんざくデシベルの
それもとっておきの
美味なメロディーで
しずかに本をよみながら
よこたわっていたいな

オトよ
よみがえれ

 

 

 

 

 

 

 

 


Amazing Bugs You Probably Didn't Know Exist!

2012-04-28 13:20:07 | フォト・ポエム

Amazing Bugs You Probably Didn't Know Exist!

 

昆虫

 

このイラストレーターは
千変万化のつわものどもさ
その場その場を舞台にしておどる
天然の歌舞伎役者だ
その衣装は
こうみょうで色あざやかで美しい

デザインは神の仕業か
無駄を超越した
完璧の権化だ

いのちの為にあたえられた
精神のかたちさえ
みてとれる
このスタイル自身がココロ
ウロコがめからおちて
クロコのすがたも見えぬ

このテクノロジーは
神の以心か伝心か
杳としてわからぬけれど
ギャラリーもいないステージで
おのが生を一心に
心尽くしているさまは
ひどくいたましいけれども
なにかを超越した
かがやきを
あたえてくれる

 

 

 

 


2012-04-28 00:27:54 | ポエム

 

このごろ
ぼくのまわりで
あさからチュンチュン鳴く雀
さっぱりいなくなった

雀の国の食糧庁長官か事務次官が
エサのない場所に指定したのだろうか
ききずてならぬじたいだよ
飢饉が発生しているのだろうか
雀の国にしんせつなお婆さんが
いなくなったのだろうか

日がないちにち
電線をみていても
やってこない雀
アスファルトの道路は
すっかりきれいに土けがない
隣近所に赤ん坊がいなくなって
雀もさみしいのだろうか

廃屋の街になる気配が
このごろ
真実味をおびてきている
そんな静かな街
地方都市のなかでも
みんなきづかぬうちに
おとぎ話が
きえていくのは
世の常になるのだろうか

電線ばかりが
いやにふえてきている

 

 


いちばんたのしいこと

2012-04-26 00:54:38 | ポエム

いちばんたのしいこと

 

それは
じぶんが
かいたことばが
いきいきとして
さかなのようにはね
ひとびとのハ-トに
いちはやくとどいて
すいすいとおよぎまわり
ぴちぴちとげんきよく
そだっていって
せかいがパ-ツとなって
キラキラキラとかがやいて
どこもかしこも
もうなんともいえないこうけいが
やまのようにせいちょうしていって
これはとんでもないことだとみんながおどろき
しだいしだいにリズムにのって
それでもはねすぎたりはしないで
やがてそのまましずかになって
それでもちいさくちぢんだりしないで
おおきなもりのようになって
それは
じぶんでなくてもよいとおもうこと

 

 

 

 

 

 


酸化したセイブツの報告

2012-04-25 00:21:08 | ポエム

酸化したセイブツの報告

 

ずっと昔のこと
春のこと
満月のこと
うねってあるくこと
人たちのむれのこと

桜がへばりついていた
夜空のましたに
ミツバチはブンブン
甘美なチラシをまきちらしていた
拾おうとする人間集団化の
せつないくらしかたに
眼をそむけていた

そう 春爛漫だった
ソプラノの歌手のような声だして
なんでもいい きぶんしだいのころだった

俳優のように
なんでもできると
おもっていたころの
かげひとつない夜みちを
よろめきながらぼくの正体が
ネガフィルムをみるような
さんさんたるぼくの正体が
フェードアウトするシーンを
ライターで焼却した

そのライターの火が
ぼくを酸化したセイブツにつくりかえた
だからリトマスは完璧な数値で
永久に酸性である
以上報告おわり

 

 

 

           

             


リルケ

2012-04-24 00:31:30 | ポエム

リルケ

 

大家族で食事する
ヨーロッパの風習
日本にもその昔あった
最初はオドオドしていたリルケ(*)
彼等は伯爵家だ

ぼくの家は大家族といっても
せいぜいが
六人
小家族で無爵だから
そのうえ古い家で
冬などは隙間風がまかりとおる

食事中に
壁からす-っと白衣の貴婦人が出てきて
またす-っと壁のなかに消えるあいだの
スリルを味わうリルケにはなれない

しかも毎日そんな食事風景はない
お正月だけそろって新年を祝う
白衣を着た餅を
黒塗りの各自の猫足のお膳にのっている
これまた黒塗りのお椀のなかの
白味噌のお汁のなかから掬いあげる
六人

そのお膳 今は押入れのような
物置棚の奥深く紙につつまれて
積み上げられて
そして再びの
出番はない

 

                                              (*)マルテの手記・リルケ作・望月市恵訳より


いっぱいこ

2012-04-19 12:19:07 | ポエム

いっぱいこ

 

きょうはええ天気やほん
おまえとこのはたけてっとたろか
いまなにうえとんのや
いまか いまはなんもないわ
でけんことないほん
レタスやったら
いっかいのが
たんとできるさかい
あっこわ
きしょくわる
ほうやん エンジェルやほん
なんでかしらんこのごろな 
うしろまわりしたら
まえからあるいてきよるやろ
みらいちゅうやつ
でけるもんやったら
そいつのみちまげたるで

おぼこいじぶん
なんかおったほん
いどみたいなふかいあなに

ほなら ほのあな せんだくしたらええほん
けったいなくろいしるが
いっぱいでてくるほん
ほして めにみえへんもんも
セシウムとか
ほれはしらんけど
あぶないもんやほん
ほなおいかけて
つかまえてえさ

はんちゃらけが
さかしまになって
きやはるで

(江州弁の詩)


櫻と蒲公英

2012-04-17 13:05:29 | ポエム

櫻と蒲公英

 

いま櫻は満開で
すこし花弁がヒラついてきているが
すこし地上に撒かれているが
アスファルトという今の道の上では
土に帰ることもならず
春風に少々の踊りをしてみせては
そのままいつのまにかとけるように消滅してゆく
そのアスファルトとアスファルト
の 少しの隙間からは
精力的な蒲公英が
ああ 渾身の力をこめている
と 思わせないくらいのしずかさで
あざやかに咲きほこっている

両者の高低差は数メートルあり
風の愛撫もきっと平等ではないだろう
雨の殴打もきっと差異があるだろう
このあたりから
人間社会態様に似てくるのだ
しかし
櫻と蒲公英は
暴力闘争にも
憎悪にも
無関心で
ただ
シゼンの調和のために
神のみむねに
したがっているとしか
おもえない

実は最初から
ココロとかタマシイとかの
いかがはしい免許証を
もちあわせていないからにちがいない


切り株

2012-04-15 13:19:19 | フォト・ポエム

切り株

 

のんきに
きられて
なんともない
かのように
ななしのごんべえ
ぜんとして
みちばたに
おちついているのは
きっと
さとりをひらいた
さりげない
ふつうのじゅもくで
なんのためにきられたのかなぞと
もんくもいわずに
ゆきずりのひとのこしかけとして
のほほんと
くらしている

もくめ
みひらく
でも
なんとなく
きらくに
すわらせてくれる
切り株