居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

オールナイト

2012-11-30 18:05:58 | ポエム

オールナイト

 

大勢のアメリカ兵がいた
都会の夜はミリタリー・ポリスがいた
クリスマス・イブはオールナイト
ヤスモノのシャンパン一本で
キャバレーで朝まで踊り明かす
占領されている国だから
アメリカがお手本、今でもそう?
そんな時代の風俗は
かなり、今から見ると
刺激的に思えるけれど
ミリタリーがしりごみして
自由主義とか民主主義とかが
流行していた、その頃のこと
アングラでない明るい頽廃?
疲れを知らぬ若さがぎらぎらしていた

二人でカワラマチの屋台で
  あっ、寒、といいながら
夜明けのラーメンたべて
若い不眠のねじれた欲望を
安価な食欲でなだめて
あとくされの無い
さようなら、をする
感情の街であったから
行動はきえてしまったが
占領と青春が
メビウスの輪に
とらわれていたころの
拙いロマンスの一幕芝居でありました

その場所は地下駐車場になっています
なんででしょう?
これも風邪をひくような
寒いお話ですね

 

 


making love

2012-11-29 13:23:50 | ポエム

making love

 

幸福
人と人
ネイチャー
シネマ
芝居
絵画
ミュージック
フィロソフィー
あらゆるドリーム
すべてのパヴァーヌ
ほほえむ偏愛

making love とは
不完全にしかできあがらないこと
ある部分をかくしてごまかして
やっとできたと思うようにすること

いつもみつめて眼をはなさない
獰猛な番犬を飼っていないと
煙や霞になりはててしまうこと

それとも委細かまわず
野放しにすること
野生の復活の戀
生命の仕掛けのたれながし
排水溝の清掃は
かならずなおざりになる

人の世界の
深い深い地下街で
呻吟するエアコンのように
大事業の内臓は
怪奇で難曲にみちているから
よほどの信念をこめた
making loveにこそ
灯をともさないと、ね

おざなりはさむいよ

 


踊る銀鱗

2012-11-27 22:37:09 | ポエム

踊る銀鱗

 

JAZZをきいていて
ふと眼にうかんだ

網にかかった鱗族
シルバーが踊る
しかも
捕われの身にしてでさえ
嬉々として危機を迎えているのだ

人もまた
ときには
重荷の理性とやらを
かなぐり捨てて
鱗族のごとく
シルバー踊りをおどりたまえ

その時見る世界の光は
どのように眼を射るのだろうか
クレージーな世界が
もっと鮮明にみえそうだ

とはいえども
もともとクレージーな世界ゆえ
ただ揺れ動くだけの話かもしれない

だったら
そのまま揺れていればいい

セフィティーネットとやらが
破れるまでのお話だけれど
ジプシーの球はそれでもまわるのだから


2012-11-26 19:01:54 | ポエム

 

彼女は
ふかい森にすんでいます
爪と眼とサウンドレスの飛翔
宵のうちに
計画をたてるそうです
今夜のレストランを
どこにするのかを

彼氏はいません
きままに考えます
味覚をとわずに
今夜は食事をはやくすませて
哲学をします

何故、夜は認識できて
何故、昼間はねむいのか
彼女の世界は夜だけですから
夜があけたら
弾丸を撃つ彼氏に
いわば亡霊を撃たしめんことを
画策しなければならないのです

彼女には彼氏がいないのですが
ママからこっぴどくせかされているのです

哲学だけでは
ママを説得できません
だから亡霊をあちこちの枝に置き
彼氏に撃たしめて
世界の音をけしているのです

哲学だけでは
いくらなんでも
解くわけにはいかない、と
彼女は夜陰に
ほー、ほーと鳴くのです

 

 

 


2012-11-25 18:23:29 | ポエム

 

花見んと
酒はどぶろく
k公園のすぐ横のほそみちえ
バケツをもって買いにやらされた
アルミの柄杓で白いドブの水
ガバガバとバケツに一杯
昔、曽呂利新左衛門という侍のように
そろり、そろり、とあるいて公園まで
折箱の料理をひろげてみんなが待っている

それからはもう、あっちも、こっちも、
花をわすれて飲み食いレース
ふと、みあげると
花と三日月が
薄墨色の屛風に描かれていた

嬌声、罵声、も遠くへやって
そのままねころんでいたら
野性の足が5,6本とんできた

あ、これが、オッサンか?

しばらくしたら
オッサンは、鼾をかいていたし
キョウト画壇の屛風絵は消えていたし
提灯の灯はきえていたし
k街界隈は森閑として更けていたし
そんな頃の花見はそれっきりにいたしました

それからは、火宅でしたが
いまは、水宅?ですが
寒暖あいまっておもしろいです

 


雲と脳

2012-11-22 18:20:14 | ポエム

雲と脳

 

 

きのうはくもはいっぱいとんで
とおくのほうへと、いっちまった
しろいのも、はいいろのも、もすこしくろいのも
おなじみちをこうしんするように
あたまのうえを、いっちまった

きょうはからっきしのはれたそら
ただうすくひきのばしたレースのような
あおみがかったものがみえた
それはくもとよばないで、そらとよぶのだろう

いづれにしてもわたくしはくびをうえにまげて
くびすじがだるい
そのだるいくびすじは
おもいといわれているわたくしの脳をささえている
くもよりも
おもいものを
ほそいどだいのうえにのせて
そのままどこにでもゆく

これはくびのうんどうをいつもきんちょうさせて
ふりむいたりよこむいたりしても
そのたびにわたくしは脳をおとさぬようにきをつけている

ひょっとして、もうおとしてしまったのかもしれない
なにもできないひは、そうおもっちまう
くもといっしょにとおくへいっちまった
そんなきがしてきたら
脳なんかくもにのせて
そらにうかばせておけ

そのうち
たつまきが
これはおまえのだろう?と
とどけてくれるはずだから

そのとき、しかってもらえばいい


言葉と意味について

2012-11-22 13:51:50 | ポエム

言葉と意味について

 

言葉には意味がある
言葉には音韻がある
言葉には世界がある
言葉には色彩がある
言葉には信仰がある

コレスポンデンスが
不可能なものは
肉体の行動により
直喩でしめされる
なんらかの意味の表現を試みる

蝸牛から珊瑚やドルフィンにいたるまで
鳥たちや爬虫類や昆虫や
色違いの葉っぱや花や遺伝子までも
神が創造したすべてのものを
見境もなく触媒してまでも
神の意味を模索しようとする

意味の海には
溺れてしまった言葉尻が揺蕩(たゆた)う
意味の礫の核心だけは
浮力を失わないように
いのるべきか?
見送るべきか?
それとも
疑獄に附すべきか?

 

 


むこうから

2012-11-20 12:43:48 | ポエム

むこうから

 

 

だれかがむこうからコレクト・コール
きりのなかでくるしんでいます
かいもくけんとうがつかない
まわりは三千秒ほどは
うすいグレーのみちがはしりますが
まもなくきえるきりだから
そこでじっとしていなさい

ほれ、あかるいせかいが
でてきてくれたでしょう
このせかいはいつもこうなのです
かぞえきれないほどのデキゴトで
できているのです

なにひとつデキゴトがないと
しんでしまうのです
それだのに
すこしでもデキゴトがないように
おねがいするのはむじゅんです

どんなデキゴトでも
だいかんげいのはたをたてて
かぜになびかせて
ビルとビルのあいだを
コンコースまでこうしんしましょう

デキゴト・マーチは
たからかになりひびくほうが
みんなにもわかりやすいでしょう

でも、滅多に逢えない高貴なデキゴトは
自家生産しないとね!

 


わたして

2012-11-20 11:51:56 | ポエム

わたして

 

わたしをわたして
だれにわたすの
わたしがすきなものを
はやくさがしてきて
そしてわたしに
わたしてよ
その、わたして、かい
ぼくがだれかに
わたしをつれていってわたすのかと

そんなこといっていないわ
わたしにごほうびをわたして
ぼくのためにずいぶんわたしは
はたらいてたべさせてそだてて
こんなにおおきい
こんなにつるつるの
にくたいにしてあげたんだもの

はやくわたしにわたして
わたしがしぬほど
うれしがるものを

ぼくとわたしは
どんぐりになって
コロコロところがらないで
すきとおったかみのおふねから
おいけにはまらないで
こんにちはともいわないで
たいへんなことにもならないで
わたしがよろこぶものをさがしに
すいすいこいでいきました

いつまでもなみまにゆれていますよう
かみのおふねにいのりましょ