居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

美術

2012-05-30 22:07:50 | ポエム

美術

蜘蛛の巣のすみで
金色に輝く蜘蛛の糸とミックスして
巣の広さとぴったりの
淡いグリーンの
小さな葉が微風にひらひら

かれにとっては
餌ではないが
しばしの休息には
ふさわしいのではないだろうか
それとも
もがく昆虫のほうが
食欲を口のなかで
モグモグするほうが
さしずめ至福の時間なのだろうか

逆光でキラキラする額縁
そのなかで透明にちかい
ちいさな薄緑色の美術品

三歳児の指さす世界で
揺れて光っている


言葉

2012-05-23 00:11:03 | ポエム

言葉

 

言葉がずらっと
ならんでいる
知っている言葉も
知らない言葉も
いっしょに
ならんでいる

言葉には
たくさんの情報がこめられている
100%知っているのと
70%しか知らないのとでは
「詩」の場合
理解されたり
理解されなかったりする

「詩」は
だから難しいといわれる

言葉のもつ感覚を
それぞれのもちぶんだけでいいから
たとえば
蒲公英を薔薇にしてみてほしい

 


花弁

2012-05-21 00:34:48 | ポエム

花弁

 

はなびらは
はなのいのち
はなびらのないはなは
ないのだろうか
そうだろうか
あるかもしれない
人間がしらないような
はなびらのないはなが
どこかで
さいている

さいているということができないように
おもってしまうけれど
はなはさいている
というほかに
いいかたをしらない
そこにいる
とでもいうのだろうか

それはどんなはななのだろう
はっぱにそっくりな
はなびらかもしれない
区別がつかないので
はなびらがないようにおもうからだ

植物学 生命学 進化学
美醜 善悪 古典 化石 液晶
枚挙不能
それでも
花というのにちがいない


空白

2012-05-12 20:10:58 | ポエム

空白

 

白鳥の
めのなかに
うつっている
きょうの
みずのいろと
白鳥のひとみのいろと
おなじだろうか
器官を
しんじて
そのまま
およぐように
ぼくも
湖畔の屈折をたどる
白鳥はとっくにきえていなくなった

ぼくのてあしは
水におかされて
とけてゆく雲のようだ

むねの空白だろうか
虚木のような
林の中へ
身体が彷徨ってゆく
前後がつながっていない
意識と感情も
風に侵されて
目の前の事象たちは
白鳥のように
きえた

空白は
残るものだろうか
それも
おぼろげに
再生の場所として

 

 


そのうちに

2012-05-09 01:10:06 | ポエム

そのうちに

 

ぼくは
とんだ思いを
ある日のみしらぬ街角の
ショーウィンドウのなかの
うつくしい言葉のかたちの
ハンドバッグのなかえ
こっそりとかくした

しばらくは
ぼくは未熟な心象風景をスケッチし
その風景をどうしたら輝かせられるかを
こころみたが
あのみしらぬ街角のショーウィンドウのなかの
あのハンドバッグのなかえかくしたとんだ思いが
筆先を混乱させるのに抵抗できず
突風のように
吹き乱れてしまった

それからというものは
もう毎日あのみしらぬ街角にたって
ショーウィンドウをみながら
うつくしい言葉のかたちの
ハンドバッグばかりが
めについてはなれなくなって
日がな一日通行人を
映しこむ
一枚のこわれやすい
ショーウィンドウのガラスと化した

ぼくなりの
これが
あたらしい
セイカツに
なったんだ
そして
今日はおおぞらはれて
太陽が
ぼくを
かがやかせてくれたかもしれないような
まぶしさをかんじていた
きっと
あの
とんだ思いが
結露したんだ