居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

まっしろになる

2012-11-11 18:11:33 | ポエム

まっしろになる

 

まいにち
まっしろになる
なにが
あたまのなかが
まっかにならないで
まっしろになる
どうして?
それがわかっていたら
まっしろにならない
いろえんぴつもってるの?
6しょく8しょく12しょく
でもしろいろのほかは
かけません
すべて1しょくのようです
ぶんぼうぐてんが
まちがえたのですか?
いいえ、りっぱなぶんぼうぐてんですが
しろいがいのいろえんぴつには
せっちゃくざいでカバーがつけてあるのです
不毛というカバーが
野望というのもあります
因縁とか暗黙とかいうのもあります

だからしぜんに
あたまのなかで
うつくしい白鳥が
そだっていきます


別途

2012-11-11 17:33:33 | ポエム

別途

 

あ あの日に
目に入らなかった
そんな行方が
オプションではなくて
状件だったのか
ちゃんとはじめから
そうなったらこうなると

えらべという
上下左右に斜めがついている

なんのはなし?
だから、若者の話
上下ピッタリを
別途買い
老いなば斜めでいいのだが

別途はペットでもある
そんなニュアンスをもっている
面倒見ないと大変なことになるが
それも別途のうちだろう

別途を有効にするもしないも
自由だけれど
別途は事故を起こしやすい

 


欲望

2012-11-06 12:58:17 | ポエム

欲望

 

あれがしたいな
これもしたいな
デパートメントの
欲望売り場です
  レジがこんでいます
  応援お願いします
きょう一日限定の
欲望のバーゲンセール

おしのけても
おしのけても
おしくらまんじゅう
皮がやぶれて血がにじむ
なにが売れ筋?
  金満家
  幸せ鳥
  友愛薬
  憎悪箱
  因縁壺
  名誉椀
なんだか骨董市のような品ぞろえ

その日は土砂降りの雨
傘からはみでた買い物袋が
ずぶ濡れで
中身が奇妙に溶け出して
デパートメントから
歩道までが
欲望だらけで
ねっとりとして
足をとられる有り様に
バーゲンで買った欲望は
すぐみずのようにながされる

側溝はとつぜんの豪雨と欲望で
地上にあふれだした

バーゲンセールはよしましょう

 


哀しみの行方

2012-11-04 12:44:14 | ポエム

哀しみの行方

 

 

哀しみは
かさかさと
おおきな函の中で
時々鳴る
その音をきくと
いくつかの物語が
動画になる

哀しみは
かさかさと
砂漠みたいに寝そべって
空洞のような場所から
時雨のように
降ってくる

哀しみは
かさかさと
小さな動物のように
生きている
おおくは暗闇の中で

哀しみは
かさかさと
じぶんで這いだして
屋根のうえのペンペン草のかげで
滂沱の涙をながす

哀しみは
かさかさと
砂のようになったり
濁流のようになったりして
やがて青空のなかへきえる

かさかさという音は
風の音だったのかもしれない

 

 


こころもたびをする

2012-11-01 12:05:09 | ポエム

こころもたびをする

 

たびはおもしろいが
それなりに面倒でもある
いつずけてしまうと
ちゅうとはんぱのデッサンみたいに
いつかんせいするのかわからなくなる

小路にはいりこんで
どこへでるのかスリルもあるが
たいていはどこにでもある
工場の裏口かドブにかかったちいさい橋にゆきあたる

それでもいろづいた秋の木の葉が
絨毯を敷いて
さあどうぞといわんばかりの景色にであうと
股旅ものの映画をおもいだす

居続けるとすぐいとおしいきぶんになって
もときた道をもどってゆく
これをさかのぼり旅という

時雨など降ると、きみがこころに秋や来ぬらん(*1)
袖触れ合うも旅の縁とかおもい
寅さんのように鼻歌でつぎの街めざして(*2)
秋晴れのそらのしたテクテクとゆく
山頭火のように白い雲をめざしてゆくか(*3)

こころなんて死活問題のひとつだけれど
なんてことはないふつうにいえば、気分です
蒲団のなかのダウンです
左右上下からおされてははねかえしたり
圧力にたえていることもある
たいせつな麦藁ですが
これでは蟻がおおきな獲物を
巣にはこんでいるすがたににている

そういえば旅には荷物がついてくる

 

 

 

                           (*1)古今和歌集より

                           (*2)映画の「寅さん」

                           (*3)山頭火句集より

 

 


人生はお祭ですか

2012-10-30 19:10:37 | ポエム

人生はお祭ですか

 

 

人生はお祭ですか

人生は賑やかですか

人生は酒のんで笑っていたらいいのですか

人生はほがらかに苦しむのですか

人生はなかないでわらっていればいいのですか

人生はどんちゃん騒ぎすればいいのですか

人生は政治家のいうとりにすればいいのですか

人生は希な望みをマフラーにしてさむさを凌ぐのですか

人生は何ごっこですか

人生はママゴトですか

人生はワイワイさわぐものですか

人生は防風林ですか

人生は野ざらしですか

人生はながいのですかみじかいのですか

人生は自分で運転する乗り物ですか

人生は鉄道線路ですか

人生は世界中みんなおなじですか

人生はこわくてやさしいものですか

人生はひとがいきるとかきますがほんとうにそうですか

人生は戦争ですか

人生は平和ですか

人生は死刑にはならないのですか

人生はいつになったらおちつくのですか

人生はさいごになにをしたらいいのですか

 

 

 

 


拾う

2012-10-29 12:10:30 | ポエム

        

拾う

 

 

土地の下から昔をほりだしたら
半分は溶けたような液体だった
泥の匂いがして手ではつかめない
なにかの空洞をさがしてきて
そこへ流しこんだら
ぶくぶく ブクブク おとがして
気体になって逃げて行った
僕の昔なのにもう僕のものではなくなった

昔なんかはほっといて
もっときちょうなものをみつけて
拾えばいい
何年か先の新緑の戀
あしたのエァーが構築する楼閣
ぐずぐずしていると通りこしてしまって
獲物のように見失うから
さきをこして待ち伏せしないと

そうだ
言葉を拾おう
それも辞書になんか載っていない
新種の言葉を

世界をひっくり返すほどの
探し物だから
人類はひとつにならないと
拾えるものも
拾えない

どんな言葉なのか
この世が終わる
きちっとした意味が
爛漫と咲いている言葉です

 


色のおしゃべり

2012-10-27 13:04:02 | ポエム

 

           色のおしゃべり

 

 

 赤色は
 火炎や花のいろ
 パッションをそだてる

青色は
大空や海のいろ
夢幻へいざないつきはなす


黒色は
色彩の裏側のいろ
表側の色彩を想像させる

白色は
嬰児のこころのいろ
生のはじまりを演出する

緑色は
穏やかな荒野のいろ
睡眠と安寧を貸してくれる

黄色は
天体のいろ
無限に輝きをほどこす

いちにち
色たちが
おしゃべりするのを
ききながら
ノートにかいていたら
色んな事が色んな色で
創られてあやしいけれど
賑やかで楽しいので
あたまからあしのさきまで
みんな好きな色になりましょう

 

 

 


薔薇の異変

2012-10-26 14:33:27 | ポエム

薔薇の異変

 

 

その日

異変は

おとずれた

深紅のはなびらが

溶け出したように

こぼれて

したたりながら

あしもとの土を

まっ赤にそめていた

たしかに夜の間は

豪雨だったから

原因は

豪雨か

 

それで

その薔薇は

何色になったとおもう?

ふつうは

真っ白になったと思うだろう

 

それがじつにみごとな

ガラス細工のように

透明になっているのだ

 

よくみると

色をすてたその薔薇は

颯爽として風のなかで

ユーラリ ユーラリ と きもちよさそうに

揺籠の中で読書三昧

 

ときどき薔薇も色をすてて

気軽になりたいのだろう

それでいいのだとおもった

 

 


あの人とこの人

2012-10-25 23:31:04 | ポエム

あの人とこの人

 

 

さっきからあの人のすがたがみえない

さっきからこの人はここにいるのがみえる

あの人はなん時にかえるからと伝言して

もう一時間も前にとことこあるいていったそうだ

この人があの人から聞いたといまごろしらせてくれた

用事があるのはあの人のほうだが

用事のないこの人のほうがめのまえにいる

 

あの人がかえってくるのをまっていたら

この人はいつまでめのまえにいるつもりなのだろう

 

ふんわりとしたかすみがあたりにたちこめてきて

あの人もこの人もみえなくなった

あの人はどこかへいったのだからみえないのは当然

でもこの人はめのまえにいるのが当然

当然がいなくなったのだ

 

すると当然とはなんだろう

ひるまはあかるく

よるはくらいということか

でも洞窟のなかはいつでもくらい

 

当然とはそういうものだ

つじつまがあわないこと

つまりこくこくとかわるすがたが

当然なのだ

だから当然でないのも当然という

そして当然であるのも当然でないという

言語はなんだかややこしいものなので

泥細工みたいにおもしろいものなのだ

 

あとでかならず手をあらってくださいね

泥だらけはよくないからね


じぶんはひとりか

2012-10-23 11:19:01 | ポエム

じぶんはひとりか

 

いつも
みどりいろのシャツをきて
たにまでひるねしている

あたまのなかで
かぜがふき
みずがながれ
でんきがショートし
イソギンチャクのようなしょくしゅが
のびたりちぢんだりして

さっきの結論をすぐひていしたり
すぐこうていしたり
あきもせずにかんねんであそんでいる

そいつはもうひとりのじぶん?
そいつはカメレオン?
そいつはなもない昆虫?

ほんとはじぶんというひとに
であったことがあるのだろうか
都会の繁華街で
すれちがいいきちがいするひとのように
たくさんのじぶんがすどうりしているろじょうで
かくれたりとびだしたりすると
さっきとびだしたのがじぶん?
さっきかくれたのがじぶん?

犬をつれてさんぽしたら
その犬をつれてさんぽしているのが
ひとりだけのじぶんかもしれない

ほんとうのじぶんがしりたければ
犬をつれてさんぽすればいいのだ

 

 

 

 


それでは

2012-10-22 16:09:42 | ポエム

それでは

 

そこのひと
それでは前へすすんでください
おおきな椅子かベンチがあります
半分みどりで
半分しろい
すわるとまんなかがつきあがって
おそろしいことになるから注意!とかいてある
板のうえには數千もの水滴が
かくばったかたちにふちゃくしている
海と山のあいだのひろいくさむらのどまんなか
観衆は旗をもっているが
ブリキ製で風がふいてもはためかない
金槌でかんかんたたくのだ
そのあいだにイナゴがおそってきた

そこのひと
海か山かどちらかへにげてください
風向きからいえば海のほうがゆきやすい
なにもかもてばなしなさい
みがるになりなさい
サンライズ
サンセット
タチマチがヒロインのお芝居だから
セットは電球ひとつでよい
つけてけすをくりかえす
なんにもいみのないいちにちが
ひとつもかわらないいちにちが
どんどんくりかえされるお芝居

そこのひと
たいくつでしかたがなければ
日本語で
アイウエオからンまでを
となえなさい
いろはにほへとのほうが
意味しんちょうにできている
そうおもったら
モンからはいってください
いしのかいだんがなくなるまでのぼってください
たぶんいしのかいだんはなくならないとおもいますが
なくならないようでしたら
あしからずご了承ください

 


あたまのなかに窓があるなら

2012-10-19 14:29:46 | ポエム

あたまのなかに窓があるなら

 

 

あたまのなかの窓は常時開放

あつい空気が逆上して通っても

冷たい空気が厳しさをかざして通っても

なま暖かい風が昏睡をさそって通っても

震えるような冷たい風が冷酷に振舞いながら通っても

あたまのなかの窓という窓をすべて開放しておけば

すべての空気や

すべての思惑を

窓からほうりだして

静寂と黙考を手にすることができる

 

窓を閉ざした部屋で孕む

赤い舌と青ざめた歯牙のそよぐ場所を

あたえてはならない 

 

いつもどんな風も空気も

吹き過ぎるものだから

枝や葉の先々の鳥たちのように

とまどってはならぬ

 

やがて開かれていた窓から

優美ななにかがおくりこまれたら

その場ですべての窓をとじ

酒でものんでいればよい

 

そしてこれがいちばんというもので

シンプルにいきてみたら

松竹梅などと言わずに

結構楽しいよ


新羅の森

2012-10-15 16:11:16 | ポエム

新羅の森

 

おまえあそこえいったか
亡霊が住んでいる森へ

アソボ-くんがそういった
アソボ-くんはしっている
いつも下草のなかを
ひょいひょいとバッタの様に
あるきまわる

その朝はやく
アソボ-くんがやってきた
きょうのアソボ-くんは
小脇にノートブックを一冊抱え
さあ 出発!と小声で言った

出発ってどこえ?
アソボ-くんは言った
点検にいくんだよ
あの森を
少し低音でそう言った

大勢の昔の人々が
何かを語り合い論じ合っていた
ノドが乾くと下草の上の
すき通った玉露をのみながら

その議論はたちまち高熱をはっして
森の大樹がごーっとうなった

アソボ-くんはその記録を
手にしたノートブックに書き留めた

次の日アソボ-くんが
行方不明になった
僕の机のうえにいつの間にか
アソボ-くんのノートブックがおいてあった

                 

             

 

                                               *新羅の森・・・新羅三郎の塚のある円城寺の山麓の森


遠い戀

2012-10-09 11:59:34 | ポエム

遠い戀

 

距離のない戀はない

密着した時

戀は戀でなくなる

解剖図をみるように

なにもかもが

確定されて

公文書をみせられるように

戀と交換される

そして

薄い紙のように

どこかえ

飛んで行ってしまう

戀は遠い程い