「春の魚」
たとえそのときが美しいといっても
ヒューマンな
ドキュメントが
なぜかわからぬまま
メンタルなしじまを犯し
浮遊する時は
想像的夢見(ゆめみ)としか
言いあらわせない
シーンである
脳内の神経と神経が
極度にからみ合い
なおそのうえに
更にくっつきあい
こんがらがるのだが
そのままにして
かすみのように
なびかせると
こころをつく美しいものが
現実のことのように
遡上する
そして そして 衝撃的に
水のようにとけるのだ
その日
その日は
青い空が
海のような色をして
波のような色をして
雲がいったりして
さまざまなかたちを
絵にかいてくれる
絵はしばらくすると
みたこともないかたちを
つくりはじめる
ひつじだというと
うまだろうといい
うしだよといい
だちょうのむれだともいう
それぞれの眼には
それぞれの思惑がある
大きな意見が
風にのってきたら
みんなあざやかに
けしていった
それぞれの思惑は
けされずに
脳裏にすみついて
はばたくのだが
もう眼にはみえないものになってしまった
なにか
羽音がするのは
そういうときにちがいない
世の中ビート
ドック ドック ドック ドック
ドック ドック ドック ドック
ククク ククク ククク ククク
ククク ククク ククク ククク
クウォ クウォ クウォ クウォ
クウォ クウォ クウォ クウォ
ヅルル ヅルル ヅルル ヅルル
ヅルル ヅルル ヅルル ヅルル
ドウゥ ドウゥ ドウゥ ドウゥ
ドウゥ ドウゥ ドウゥ ドウゥ
ソレカ ラソレ カラソ レカラ
ソレカ ラソレ カラソ レカラ
プププ プププ プププ プププ
プププ プププ プププ プププ
ドコド コドコ ドコド コドコ
ドコド コドコ ドコド コドコ
ブクウ ブクウ ブクウ ブクウ
キリガ キリガ キリガ キリガ
ナイナ ナイナ ナイナ ナイナ
ナイヨ ナイヨ ナイヨ ナイヨ
ドブの月
けっしてはなしたくないことが
塵の様に
こころの溝に
たまり
そのうえ
ごたごたしたあとで
暁の月のように
輝きさえして
汚れたみなもに
あざやかなすがたをみせる
これはなんぞや
埋没されて行くはかない夢か
大どうりをそれた
ほそいよこみちで
そっと封筒から取り出して
ななめよみしては
そそくさとしまい込む
ありふれたじょうけいにしかない
わずかなまわりに
街頭のあかりがウッスラひろがり
浮かび月は
まるで軽業師のようなあざやかさで
みぞをうめてゆく
地殻変動のようにゆれてこわされ
むざんな形骸と化した
けっして口にできない
たいせつなこと
そういうものを
はたしてどうすればいいのだろうね
ドブにうかんだお月さんに
わかりはせぬが