居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

曼珠沙華

2011-09-30 23:15:41 | フォト

僕の曼珠沙華です。30年ほど前に撮ったものです。プリントを見つけたのでUpしました。

梵語では天上に咲くという花の名だそうです。

四華の曼珠沙華で、見る者の心を柔軟にするという。

(広辞苑による)


霧降高原

2011-09-30 13:47:14 | ポエム

霧降高原

 

その日の高原にふる

霧の中から

阿部真理亜がはなしかける

 

これから私の編むレースは

身につけて

ある一つ事にながす

汗をここちよいものにする

ただ一つの

プラグマチズム

 

その容積を満たすのは

キラキラする

いのちへの

つつましくてたくましい

愛へと傾斜してゆく

ちいさくても根強い

新種の草の根です

 

霧のうすくかかった

草原のまなかで

願いの言葉 祈りの言葉が

ふりつもる雪のように

かさなりあう

 

ときには嵐も吹く

木々もたおれる

麗しい高原で

きっと育て

その傾斜

 

 

 


果物の絵

2011-09-21 18:08:53 | 絵とポエム

果物の絵

 

 

セザンヌが描いた

林檎とおなじ林檎は 

もう ない

似たものがスーパーの売り場で

捨てられたようによこたわっている

ミキサーにかけて

ジュースにしたら

もう形のない林檎の幽霊を

ごくりと飲んでいるわけだ

 

小さなカンバスにむかって

セザンヌの真似ごとをしても

死んだ林檎しか描けない

 

静かな動作で

なだれおちながら とどまる

静止と行動が山のようにかさなっている

原動力のコントロールの妙

感嘆してながめる

 

あきらめて

スーパーの果物売り場へ

 

すると 

風のように

林檎の香りが鼻をつく

 

ああ

絵なんか描くのをやめようと

立ち尽くす

釈林檎様

 

セザンヌの

薄っぺらなプリントの絵から

それでも

林檎を積んだ

蒸気機関車の音がする 

 

 

 

 


ブランク

2011-09-21 12:55:35 | ポエム

ブランク

 

きみはおいていった

砂粒ほどの

ブランクを

ぼくのこころのかたすみに

 

それはハニーの匂いのする

破片のような飾りだ

 

それを まるで棲家の壁に

つるすように

おいていった

 

だから

ぼくは

いつも いつも

つってあるものをみると

かたっぱしから

とりはずす癖がついた

 

ぼくの部屋の壁は

いつも

ブランク

だから

フロアーは

あしの踏み場もないくらい

 

そこに埃まみれのぼくがいる

根が生えているから

ぼくの体重は軽いけれど

壁のように

そうかんたんには

ブランクにはならないよ

 

えっ いまなんといった?

 

 

      

 

 

 


暗喩の雪

2011-09-21 01:20:05 | ポエム

暗喩の雪

 

僕の頭の中に降る雪よ

いつの間にか

すっかり積もってしまって

一向に溶けるけはいはないが

一体 雪のくせに 

そんなに暗い 顔しているのは

不都合が

ワンサと溜まってしまって

溶けたくても解けない謎を抱えているのか

 

僕の頭の中に積もる雪よ

熱い雪よ

積んでも 積んでも

気のきいた除雪車は

いまだに たちあらはれない

割れないガラスのような格好をして

おまえは 誰を待つ

 

おまえの姿は 

透きとおる薄氷のように

軽いショックで飛び散ってしまいそうだが

何かを 僕にしらせたいのか

 

しかし じっと おまえを見つめていると

毎日 毎日 さして変わりない

その日 その日の

日の出や 日の入りや

月の出や 月の入りや

そのたびに起こる

霞 霧 蜃気楼 陽炎

それをどう受け取るのか

まよっているだけのようだが


どうしてそんな

2011-09-20 13:52:46 | ポエム

 どうしてそんな

 

とんでもないことになったのです

とんでもないひとが

とんでもないおはなしを

とんでもないところで

とんでもないじかんに

 

あのー

そのひとは

おとこのひとですか

おんなのひとですか

 

えっ

それはわからないそうです

 

ひとにまちがいはないんだそうです

ひととは人間のことですか?

そうですが ねぇ

 

あの ろくろく首とか

ひとつめ小僧とか

つまりそのひとは

妖怪人間?

 

いいえ

りっぱなひとで

きちんとしたふくそうで

きれいな車にのって

まいにち

それはそれは大事な会議にしゅっせきして

 

ああ それでとんでもないおはなしをされた?

 

その夜 お月さんは

くろいくろい くものなかでした


瓦のジャズ

2011-09-20 13:31:34 | ポエム

瓦のジャズ

 

ひらかなの へ の字型に

整列して

にぶいグレーにひかっている

もちろん そらからは 雨

一日 雨

しとしとしと

ときどき

しゃーしゃーしや―

 

じっとみていると

太陽のないかがやきで

ぎらぎらぎら

へんにあかるいです

 

その適度の傾斜は

だれが

斜角何度としたのでしょう

 

瓦のジャズは

決まったテンポで

雨を迎えて

演奏する

ダバダバダではなく

今現在は

無音で

演奏しています

 


想い

2011-09-19 15:44:28 | ポエム

想い 

 

たばこのけむりのきえてゆくさきに

おまえの心臓が

どきんどきんとなっている

そんな場所で

そんな振り付けで

想いが

芝居をする

 

くねくねと

愛なんていう

裾のながーーい衣装を着て

気象のように

ステージをあるきまわる

 

そんな姿に憧れて

奇声をあげる

男と女の特別なやりとりが

観覧車の回転にあわせて

ぐるぐる

 

さっき吐いた

たばこのけむりのきえてゆくさきに

かぼそいおとで

どきんどきん

おまえの心臓は

まだ そこにいた

 

観覧車の高みの見物席では

あしたの天気をしんぱいして

くらくなりはじめた

空ばかりみているが

もう

ステージには

だれひとりいなくなって

観客も

帰途ののりものか徒歩か

それぞれの

花の芽のように

少年と少女になって

かえったらしい

あおじろくてほそい

根をちらつかせながら


神の言葉と禅の言葉

2011-09-19 14:34:56 | ポエム

神の言葉と禅の言葉

 

神の言葉は

ジャーナリズムのようだが

禅の言葉は哲学のようだ

ゼロであってゼロでないという

両面鏡の世界である

 

広いのっぱらで雷鳴轟く

恐怖と無頓着と平静と

あらゆる心情の渦巻く世界の果てまで

おのれを持ち歩いて

泥まみれや深い落下に耐え

見えない糸をみつけねばならない

 

心魔 そう呼ぶことにする

 

神の言葉は西洋の言葉だ

優しいのである

暖かいのである

禅の言葉は東洋の言葉だ

辛辣である

温度はないのである

でも

西洋も東洋も

いれかわることもあるのである

 

こうやって

いつまでも

両面鏡を

表 裏 とみているうちに

どちらが表で

どちらが裏か

わからなくなるのである

たとえめじるしつけておいても

 

そうして

そのうちに

胸につかえてくると

みんな吐き出すのである

吐いたあとには

悪酔いからぬけだしたように

すっとするのである

 

だが

いつのまにか

また

言葉 言葉 が

空っぽの胸に

侵入してきて

侵略されるのである

自国か他国か分からなくなるのである

 

世界はひとつという

帝国ができて

人は

ひれ伏すのである

 

 

 


台風とインターネット

2011-09-17 12:09:18 | 絵とポエム

(絵は関係ありません)

台風とインターネット

 

今朝

カーテンをあけると

いぶし銀の空に

毛糸のようなほっそりとした

青空が

とおくの 

とある街のように

ぼくをながめている

ときどき黒いけむりのような雲が

エキスプレスのように

ノンストップで通過してゆく

 

熱い海のうえには

目を剥いて北への旅に出発した

台風がうまれた

 

彼女が目にみえたなら

メデューサの髪の毛が

逆立って

猛スピードでさかまいているのが

この目にみえるのだろう

 

進駐軍というアメリカの占領軍が

この国を占領していたころの話

台風に 

女の名をつけていた

ジェーン、キティー、などは

猛烈な勢力で

列島を横断したり縦断したりで

おおいに

荒れた

 

今は番号をつけて

台風15号 16号 とよんでいるが

おおいに荒れるのはかわらない

 

気象衛星がとらえる映像は

大昔の台風もいまの台風も

同じ形をしているのだろう

 

昨日 吹きつぶされた

窓辺のヨシズを

ボソボソ かたずけていて

ふと思った

こんな些細な被害なら

どうっていうこともないけれど

家がひっくり返ったりしたら

ノアの方舟にも乗り遅れて

天国か地獄か

どちらかに

メールみたいに

転送されるのだろうなあと

 

そんな時は

インターネットが

故障してくれるといいのだが

故障してほしくない時には

故障して

故障してほしい時には

故障しないのが

インターネットというものだ

 

 

 

 

 

 

 


クイチガイ

2011-09-14 15:28:30 | 絵とポエム

クイチガイ

 

くいちがう前に

いきちがい

それから

せかいが

バランバランと

はずれていって

くいちがう

 

断片また断片

かってなことを

たくさんたくさん

よんだり かいたりして

ものごとが

こんらんするばかり

 

あるようなことを

ないといったり

ないようなことを

あるといったり

かってにいえるのは

鉄工所の鋳型のような

頑丈な囲いがあって

そこに居座る人が

勝手にいっているのだ

 

たいがいはそうだが

なかには ほんのたまたま

ほんとうのことが

もれだすことがあって

あわてて鋳型をつくりなおすのだ

 

真実は

もれだしてきてこそ

いきはじめる

 

 

 

 

 

 

 


日常

2011-09-13 23:36:57 | 絵とポエム

日常

 

それはみごとな流砂となって

比較されながら

形をととのえようとする

 

舞踏とステージの間で

きしみながら ずれながら

あるグループは

ひねもす 四肢をのばす

 

倦怠なる助走と

逆流する震えとで

出現するのは

方向のない世界だ

 

ああ

再びめぐりあいてのち

いかなる カ タ チ にしようか

そのたくらみは はっきりしない 天候のようだ

 

突然の風におされて  

逃げまどうのは 

どこのどいつだ

 

テクノロジー

マネー

とりひきをするように

うろつく

 

赤と黒の粒子は

すべてのもののなかで

たえず起伏している

ほんとうの 二 チ ジ ョ ウ

 

 

 

 


ドット

2011-09-13 19:06:04 | 絵とポエム

 

ドット

 

このてんが ドット

どっとおしよせたり

どっとながれたり

どっととんできて

どっとさっていく

 

ドット

みえる素粒子

削除すれば

その空間は

どっとドットがおしよせてきて

すぐにうめられるのだろうか

 

水中ならゴボゴボと音がして

泡がふきだしてくる

 

こころのなかなら

どんな事が起こると思う

 

こころのドットがへっていくと

目のまえがまっくらになり

くずれおれるように うずくまる

こころのドットを削除すると

すぐにはうめられないからだ

 

むしろ

たえずこころのドットは

ふやしつづけねばならないのだ

あたらしいドットを

どんどんと

こころひろげて