居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

カラスウリ

2011-09-13 15:24:55 | 絵とポエム

 

 カラスウリ

 

少年は 

さがしていた

森と 複雑と 不気味とに耐えながら

少年は

発見の興奮を

こころにえがきながら

ウコン色の

ちいさなキツネノマクラを

さがしていた

 

それは

彼にとっては

輝く宝石だった

 

夜だけ咲く花の実を

やっとみつけて

あくる日

学校へもっていく

あっという間に

宝石は友から友へと運ばれて

行方不明になるのが運命だった

 

でも それは

少年にとっても運命だった

 

いつしか少年は運命なんか

わすれはてた

 

そして

老年になっておもいだし

いつのまにかできあがっていた

カラスウリのながい行列を

夜ごと夢のなかで

見はじめた

 

 

 

 

 

 

 


渚と坂

2011-09-12 15:39:57 | 絵とポエム

  

 

渚と坂

                       

  渚

  渚

  渚は暗いか 明るいか

  渚の色はどんな色

  

    ぶくぶくブック

  ページをめくる

  ペラペラぺラと

  紙の音

  それとも

  せいたかあわだちそう

  

  渚はいつもぬれている

  傷んだ心のやり場かな

  ほんにほとほとしたたって

  助けてほしいとささやいて

  もういらないと沈みゆく

 

  変なものだね

  渚とは

  それでもほしいという人は

  こっそりお家にもちかえり

  ベッドでこっそり眺めては

  愛おしそうになでている

 

  ヒーリングのコントラバス

  みたいな音色のやさしさよ

  虜になってはなりませぬ

  

  どんなに寂しく思っても

  てばなさないで

  ころがして

  なんとか坂を登りましょ

  

  

 

  


紙飛行機

2011-07-30 13:02:55 | 絵とポエム

カミッキーよ

とんでるね

どうしてそんなにとんでるの

 

紙といえども

ヒコーキだ

とばなきゃ

どうする

たとえ

ゆくさき どこなのか

わからなくても

紙といえども

ヒコーキだ

とばなきゃ

どうする

 

着陸地点はみえてるか

それともかいもくわからぬか

 

まだまだとべる

そのうちに

テロの基地でもみつけるように

着陸地点が

あの 赤い

誘導灯をならべてくれるにちがいない

 

「信じるものは救われる」

ああ

そうだよ そうだよ

一所懸命

発見&着陸するよ

 

 

 

 

 

 

 

 


繁華街

2011-06-15 18:06:25 | 絵とポエム

ある日 僕は

都会の繁華街をゆきずりに

とおった

 

あふれて 

こぼれて

ほこりまみれになって

物という物が

人間の欲望を

写しだしていた

 

ぎしぎし

がりがり

ばらばら

時には

軍隊のように

整列して

どうしようもなく

やるせない政策のような

ラッパが鳴り響いている時もあった

 

突然 地方の商店街の風が

ひんやりとして 

僕のなかをふきすぎていった

目前にするものは

乱雑の展示と

あと少しの享楽をにおわせた

物品たちの囁きであった

 

人波は途切れずにやってきて

当然のように 

僕をかるがると

飲み込んでいった

舌鼓(したづつみ)をうちながら

 

 

 

 

 


名前のない花

2011-06-12 18:07:49 | 絵とポエム

 

名前のない花よ

生れはどこだ

おいたちは

恋われてひとすじの

ラッキーな日々だったか

 

その細い茎は

風雪に耐えたか

倒れるまで 倒れなかったか

 

称賛されたか

短いといわれる いのちのあいだに

ほんとうか

おまえに はげまされて

ぱっと光がその人をだきかかえて

幸せという草原へはこんだのは

 

みえるものだけではなく

みえないものもふくめて

幸せとよぶのだろうか

 

そなたの名前を

みつけよう

 


物語

2011-05-31 14:12:59 | 絵とポエム

物語

こころのなかにすむ物語

人口よりもおおいよ

ひとり、また、ひとりは

いくつもの物語、物語、で

もちきれないくらいにあるはずだ

ダンボール いくはこ?

こころのなかにある物語は

空中のほこりみたいにみえないし

かたまって

場所をとらない

だからって だからって

一歩あるくと

そのぶんの

物語が

ついてくるよ

でも、場所をとったりしないけれど

突然

みえない場所で

とりあいになっている事もあるよ

 

 


メランコリー

2011-05-25 06:51:52 | 絵とポエム

    

メランコリー

 

大正、昭和、といきていた

平成になって死んじゃった

得体のしれない

霧笛の遠赤外線のようなもの

 

メランコリー

それは何語?

色彩でいえば

重いブルー

 

あ、

ブルーだ

メランコリーにとってかわった

ブルースか

 

メランコリーはいまいずこ

卒塔婆に棲家をかえてしまったのか

ああ

メランコリー

そなたは

どうしてきえたのやら

 

スパイのように

身を隠して

 

どこかで

霧笛が聞こえている

象牙の塔かもしれない

メランコリー研究所

 

 


backup

2011-05-25 00:58:38 | 絵とポエム

 

この星を

バックアップしている

おおきな燃える星を

壺の中にいれて

つかうのはいいけれど

バックアップを

しっかりしないと

バックアップの真似ごとは

あぶない

 

ちいさな坩堝

その壺のなかで

べんりであるけれど

きけんがいっぱいの

アトムの競技場で

オーバーヒートをおこしたら

不幸がはじまる

幸せが不幸せにかわる

 

みんなが

できるかぎりの

知恵をしぼって

バックアップ

 

わすれずに 

 

 

 

 


red wing

2011-05-23 00:50:17 | 絵とポエム

   

    

        赤い

        新種の羽

        来いと

        緑の葉が

        手招き

 

        すっかりと

        全身真っ赤になり

        鳥の真似がしたい緑の夜

 

        夜陰のさいちゅうに

        色が判る 眼 芽 女

        みんな メ とよめるけれど

        光らないと

        色はみえない

        あらわれない

 

        そのうち

        光速で

        赤い羽根が

        飛び去った

        赤が恋しいのか

        危険な部屋は真っ赤だ

 

 


夢想の情景

2011-05-21 22:56:31 | 絵とポエム

  

     夢に

     描く絵

     ツジツマはあわない

     わけわからない

     でもなにかが

     そこに

     すんでいる

     ように見えてくると

     描いた甲斐があったと思える

     ひとりだけの自由が

     はばたいている

     でも

     観念の世界での話

     観念のページには

     何を描いても

     かまわない

     地上から

     雨がふっても

     空から木がはえてきても

     かまわない

     でも

     真実がないこともない

 

 

 

 


無意識

2011-05-21 13:28:44 | 絵とポエム

無意識

 

 

みんな

気がつかない場所

なんとなくだだっ広い

壁もなく底もない

妖しいクオリアが

しずかに しずかに

横たわっているところ

 

タクラミは

透明な衣装を着て

潜ってくる

そして

いつのまにか

ほんとうにいつのまにか だ

ひどいことをして

正義や公正や希望を

飴のように捻じ曲げて

そっとおいてゆく

 

それは

おいしそうな香りまでしこんである

それは

気付かぬように据えられる

それは

ある日どたばたとあばれだすようにしこんである

 

だから毎日毎晩

われわれは無意識を監視しなければならない

 

 

 


グリーンピース

2011-05-17 00:26:46 | 絵とポエム

グリーンピース

 

グリーンとピースにわける

緑と平和

いかにも安らかな世界が

髣髴と目前にみえてくる

 

グリーンピースを

スーパーで買ってきて

きょうは豆ごはん

 

子供のころ

お手伝いでサヤをしごいて

豆をとりだすという仕事を

縁側でやらされた

それは

ピースが知らず知らずの間に

侵されていった時代だった

抵抗した人達は

囚われていった

 

やがてピースはグリーンピースのように

美しくて美味しい食べ物として

ゴッドがくれた

ほんのスコシだけれど

 

平和酔いとか平和呆けとか

あたかも平和にあきたような言葉が

つい最近まで

風にのってきこえていたが・・・

 

 

 

 

 

 

 


action

2011-05-16 23:37:40 | 絵とポエム

           アクション

 

          ハクションも

          アクションだ

          オークションも

          アクションだ

 

          なんでもいいから

          壁にぶちあたるのも

          アクションだ

 

          ぎりぎりの

          危険のてまえで

          絶妙に調節する

          それこそが

          究極のアクション

 

         それは

         まるで

         光についてくる

         影のようなものだ

 


あしたの雨

2011-05-10 11:25:28 | 絵とポエム

あしたの雨

 

なにしろ

葉っぱの少ない

木の枝に

ぶらさがってしまった

蓑傘つけてはいるものの

雨の神は容赦しない

突然一天にわかにかき曇り

というあの豪雨

 

たちまち

満足な皮膚をもたない

ぼくの胸ぐらひっつかんで

べとべとに

冷たい液体を

ていねいにぬりつける

 

ふと、よこをみると

お隣の枝の葉が大きいので

その下へゆきつけたら

こんどこそ

蓑虫といえども

エリートだよ ね