カラスウリ
少年は
さがしていた
森と 複雑と 不気味とに耐えながら
少年は
発見の興奮を
こころにえがきながら
ウコン色の
ちいさなキツネノマクラを
さがしていた
それは
彼にとっては
輝く宝石だった
夜だけ咲く花の実を
やっとみつけて
あくる日
学校へもっていく
あっという間に
宝石は友から友へと運ばれて
行方不明になるのが運命だった
でも それは
少年にとっても運命だった
いつしか少年は運命なんか
わすれはてた
そして
老年になっておもいだし
いつのまにかできあがっていた
カラスウリのながい行列を
夜ごと夢のなかで
見はじめた