ドブの月
けっしてはなしたくないことが
塵の様に
こころの溝に
たまり
そのうえ
ごたごたしたあとで
暁の月のように
輝きさえして
汚れたみなもに
あざやかなすがたをみせる
これはなんぞや
埋没されて行くはかない夢か
大どうりをそれた
ほそいよこみちで
そっと封筒から取り出して
ななめよみしては
そそくさとしまい込む
ありふれたじょうけいにしかない
わずかなまわりに
街頭のあかりがウッスラひろがり
浮かび月は
まるで軽業師のようなあざやかさで
みぞをうめてゆく
地殻変動のようにゆれてこわされ
むざんな形骸と化した
けっして口にできない
たいせつなこと
そういうものを
はたしてどうすればいいのだろうね
ドブにうかんだお月さんに
わかりはせぬが