少年時代
そのとき
ぼくは
堂々としたものは
何かとかんがえた
ぼくは
川や河を思い出した
河はとつくにだから
電車で一時間
徒歩で三〇分の
おおきな川へ
散らされた蜘蛛の子のように
一目散に向かっていた
ついた川は川ではなく
小川の少し大きな
半端な川だった
でも流れる水は
矢のように早い
フェンシングのファンデヴのように
すばやかった
笹舟は浮かぶどころか
最初から翻弄されて
転覆してきえていった
その川のかたわらでは
あ そうだ
あ そうだ
と叫んでいる
子供がひとり
それは
ぼくの少年時代の
姿そっくりの
影法師を
ひかりながら流れる川のうえに
うつしていた