悲しみの雪
もしかして
むかし
ふった
はんぶん凍ったような
ざらついた雪が
陽にさらされて
ぽとぽと雫をたらすように
冷凍庫から
はみだした
凍った思い出が
もしかして
いま
盗聴器に記録されていた秘密のように
あかされながら
とけだしたのか
手と足とを
腹部の中心にとりつけたように
這い出して
もしかして
よみがえり
リビングルームの床暖房の
ぬくもりで
とけだしたのだろうか
首筋に
つめたいものが
まきついてきた
もしかして
むかしふった
あの雪