しんだひとのいったことば
しんだひとがいったことばを
いきのこったひとがきいても
そのことばをそのいみを
読書のように
受験勉強のように
花実はなさないで
オサナゴの頭をなでるように
いつくしみ可愛がりしないと
しんだひとのいったことばは
いきているひとにのりうつって
ともにいきていくことはできない
いくら手足をふったとて
からくり人形のような
タマシイのない
形だけのことばになってしまう
本棚にかざった本のように
開かない頁の堆積
前後の頁もなく
視覚的な嵩張りにしかない
意味不明の物体だ
しんだひとのいったことばを
あまり沢山受け取ってしまわずに
自分で引き継げるだけを
そっとうけとることを
みにつけないと