櫻と蒲公英
いま櫻は満開で
すこし花弁がヒラついてきているが
すこし地上に撒かれているが
アスファルトという今の道の上では
土に帰ることもならず
春風に少々の踊りをしてみせては
そのままいつのまにかとけるように消滅してゆく
そのアスファルトとアスファルト
の 少しの隙間からは
精力的な蒲公英が
ああ 渾身の力をこめている
と 思わせないくらいのしずかさで
あざやかに咲きほこっている
両者の高低差は数メートルあり
風の愛撫もきっと平等ではないだろう
雨の殴打もきっと差異があるだろう
このあたりから
人間社会態様に似てくるのだ
しかし
櫻と蒲公英は
暴力闘争にも
憎悪にも
無関心で
ただ
シゼンの調和のために
神のみむねに
したがっているとしか
おもえない
実は最初から
ココロとかタマシイとかの
いかがはしい免許証を
もちあわせていないからにちがいない