「
【冒頭発言・3号機に爆発の可能性】
東京電力福島第一原子力発電所3号機について、新しい情報が入りましたので、私から報告します。この情報によっても、いま避難をして頂いている避難の状況などについて新たな対応をする必要はありません。そうした意味では冷静に受け止めて頂ければと思います。
まず3号機につきましては、今朝原子炉の水位が低下をしたため、正確に言いますと、午前9時5分に圧力弁を開いて、炉内の圧力を下げ、午前9時8分から真水の注入を開始をいたしました。これにより、炉内の水位が上昇し、炉心を冷却できる状況となりました。
その後、この真水を注入する給水のポンプにトラブルが生じまして、このためすみやかにその水源を海水にかえ、炉心への注入に入りました。しかし、当初この炉心への注水が不安定な状況となり、その結果として原子炉内の水位が大きく低下をいたしました。これに対して、海水を注水する状況について確認を鋭意行いましたところ、再びしっかりと水位が上昇をはじめました。
繰り返します、一度注水の状況が不安定になり、水位が低下をいたしました。そのため、いわゆる炉心が水没しない状況が生じましたが、鋭意調査をいたしまして、対応をとりましたところ、再び水位は上昇を始めました。
この間、炉心を十分に冷却できない状況であったため、炉内において大量に水素が発生したことが予想され、この水素が原子力建屋の上部にたまっている可能性が否定できません。
繰り返しますが、水素が原子炉建屋の上部に、一番外側でございますね、たまっている可能性が否定できません。従いまして、3号機においても昨日1号機で生じたような水素爆発の可能性が生じたため、念のため速やかにご報告を申しあげた次第でございます。
なお、放射能のモニタリングの状況ですが、おおむね本日の午前10時以降、50前後、(1時間当たり)50マイクロシーベルト前後の数値で安定していたものが、午後1時44分ごろから上昇いたしまして、午後1時52分には1557.5マイクロシーベルトを観測をいたしましたが、直近、いま、ここに入ってくる直前に入手をしたその時点での直近のデータ、午後2時42分のデータでは184.1マイクロシーベルトに低下をいたしております。従いまして、最大値においても1557.5マイクロシーベルトでございまして、これは例えば、胃のX線検診1回分の量が600マイクロシーベルトでございます。この一番高い数値のところでも、1時間その場にいて、1557という、胃のX線検診、これは1回分ですので、3回分弱になりますか、という数字でございます。
すでにこの数値は184.1マイクロシーベルトまで下がってます。この数値は東京、ニューヨーク間の往復1回分が200マイクロシーベルトでございます。こうした状況にございますので、なお、水素が仮に発生をして、これが建屋の上部にたまっている可能性を否定できないと申しあげましたが、万が一これが昨日のような爆発を生じた場合であっても、昨日もそうでありましたが、原子炉本体、圧力容器と格納容器については問題が生じないという状態、その外側でしか爆発は生じませんし、そのレベルの衝撃には耐えられる構造になっております。
また、この爆発的なことが万が一生じた場合でありましても、発電所の近くの場所での数値が先ほどのような数値でございますので、避難をして頂いている周辺の皆様の健康に影響を及ぼすような状況は生じないというふうに考えております。
爆発的な事象、皆様にもご心配をおかけをいたしますし、そうした可能性が否定できないという事実が明らかになったものですから、ただちにこうして発表をさせて頂いているものであります。私から以上であります。
【3号機の現状】
――たまっている水素を除去する方法はないのか。
基本的には建屋からも炉の中からも、昨日と違うのは、ベントがもう機能していて基本的には外に気体を排出するプロセスの中で起こっている。可能性としてはすでに排出されている可能性も十分ある状況にあるが、念のため可能性があるということで報告した。
――3号機ではメルトダウンが起こっているのか。
言葉の使い方を丁寧にやらないと、炉心の一部が、若干、炉の中で変形をする可能性は否定できない。水没していない時間があったことは間違いない。しかしながら全体が一般的にメルトダウンの状況に至るような長時間にわたって水没していない状況が続いていたという状況ではない。水位はすでに上昇を始めている。可能性があるということで会見をセットした。この水位の上昇をいま見守っているところだ。
――燃料棒が露出して中の燃料が出ていることを示すデータは確認しているか。
現時点では確認していない。
――海水にかえたトラブルとは。
ポンプのトラブル。
――海水を入れた炉は将来的な廃炉を検討するのか。
海水を入れた場合には将来の復旧が著しく困難になる。
――将来使えない可能性があるということか。
専門家から報告を受けているのは、著しく困難であるという報告を受けている。そのことを前提としながら、しかし安全性に万全を期すということでこういう対応している。
【放射線が一時上昇】
――放射線の数値が一時的に上がった原因は。
ベントの処理を行い、原子炉内の空気を管理された形で外に出すということをやっている。炉心が水没していない状況になると放射線の発生がその時間は多くなるということで一時的に数値が上がる。
――危険ではないという理解でいいか。
1557マイクロシーベルトという数字は、例えばこれを1時間で浴びた場合の数字が1557だが、胃のエックス写真1回分が約600と聞いている。身体に直接影響を及ぼす数値ではないと報告受けている。結論として身体に直接影響を及ぼす数字でない。
――施設内だけでなく、周辺で放射能がどれくらいか分からないか。
できるだけこうした調査というのは多くやったほうがいい。今の会見は新しい事象が生じたことでできるだけ早くということでまいりましたので、そうしたことも段取りや状況についてはあらためて報告したい。
【3号機の注水不具合】
――ポンプのトラブルは復旧したということだが。
違う。ポンプのトラブルが真水の給水について生じたので、できるだけ給水が滞る時間帯が短いほうがいいということで、海水の注入をバックアップで用意していたので、そちらに切り替えた。ところがそのバックアップのほうの手順、段取りがうまくいかなかったようで、一時的にそこからの注水がうまくいかなかった。しかし、そのことについては直ちに復旧できた。すでに給水が始まっている。
――一時的に不安定になったのは海水に切り替えてからか。
繰り返すが、真水をポンプで注水するためのポンプが機能しなくなったものですから、それを海水によるものに切り替える。ところがこれがうまくいかなくて、水位がさらに下がったということで調べたところ、若干そこに不具合があった。これを直ちに復旧させて水位が上昇してきている。
――海水による注水がうまくいかなくなる可能性は
すべてのことにバックアップを用意をして、そうしたことに対応できるような手順、段取りをできるだけ多数用意するということをいまトラブルそのものに対する対応と同時に準備をしている。今回の場合がそれがあったので、真水のポンプが機能しなくなったときに海水に切り替えることができた。
――真水に切り替えるというめどはたっているのか。
専門的なところはあらためて確認するが、おそらくいったん海水を入れているので真水に切り替えることに大きな意味があるとは想定できない。きちっと冷却することが何よりも大事だ。
――なぜ最初から海水でやらないのか。
一般的には冷却の水は真水を使うことが一般的だ。真水が足りなくなってということではなくて、真水の使っていたポンプがたまたま不具合が生じたということだ。真水を使っていたということに問題があったわけではない。ポンプのバックアップを用意していたことが大事だ。
――最初から海水でやったほうが。
注水できる量はポンプの性能によって決まる。水そのものが足りなくなって給水ができなくなったということであるならば、海水をはじめから入れるべきだが、水の量の問題があったのではなくて、ポンプの問題だ。真水の量は今のところ十分な量があるということで真水を優先的に注入してきた。しかしながら、そこのポンプがうまくいかなかったときにそのポンプの改修よりも優先して海水を入れるということで万全を期した。
――ポンプの不具合は地震によるものか。
それは報告は受けていない。
【爆発への備え】
――水素による爆発があった場合の備えは。
基本的には周辺のところからもう退避(指示)がされている。そして放射能による可能性ということでは、この間、原発周辺でモニターされている放射能の量から考えるに、すでに万全すぎるほどの万全の退避の指示をしている。一部健康上の理由などで近いところにいる方については退避のための必要最小限の時間以外は屋内でいて洋服などに万が一にも少しでも付かないのがベターなので、そうしたことはしていただいたほうがいい。
――水位はどの程度まで下がったのか。
正確な数字をもってきていないが、かなりの程度はいったん露出した。ただしすでに水位が上昇をはじめている。その時間は一定の限られた時間だ。
――ほぼむき出しになっていたのか。
それは全体の構造の中で専門的に説明いただいたほうがいい。
――圧力容器と格納容器はどの程度の衝撃に耐えられるのか。
詳細な数字はまさに専門的に報告いただいたほうがいいが、内側からの相当な圧力にそもそもがつくられている。相当な強度があるものでないと原子炉がつくれない。一方で外側の建屋の部分は万が一の場合に備えて何か内側であっても内部のほうに圧力がかからない、逃がすようにある意味では飛びやすくなっている構造をつくっている。なおかつ水素ですから高いところにいくので、想定される事態は最大でも昨日のような事態だという説明を受けて了解した。
――3号機は1号機と同じような処置をしているということか。
水素の状況は違うが、基本的には大きな意味では中の空気をベントなどによって外に放出させながら、注水している。大きな意味では同様な状態だ。
――残りの炉についての予防的措置は。
基本的には原子炉に水を注ぎ込んで、炉が水から出ないような状況を短くする。炉の圧力が高くなりすぎないようにベントなどの処置をして圧力を下げる。これが基本的な対応で共通している。水を別のところからポンプで注入する必要性が生じた場合にはそれができる態勢づくり、それから圧力が上がったらベント処置をして圧力を抜く措置、これに備えた措置はそれぞれ準備を整えている。
――水素爆発は予測していたのか。
昨日もいろいろな情報に基づいて万全の策をとることに全力を注ぎ、それをやってきた。特に昨日ああいった爆発の映像などをご覧になった方はいろいろ不安をお持ちだろうと思う。当然いま同時並行して水位の上昇のモニター、放射線量のモニター、しっかりと進めていただいているが、同時によくない可能性のある部分についてはできるだけ早く報告したほうがいいだろうということを昨日の経緯をふまえて判断した。全体の状況について段取りの前に事実関係そして安全のレベルについて確認できたので報告している。
――昨日の爆発前に1号機でも水素が充満して爆発する情報はあったのか。
昨日の時点の状況、情報整理をしてあらためて報告する。
――女川原発の敷地内で放射線量が上昇しているとの情報。
現時点で、私のところまでは伝わっていない。
【安否・発信方法など】
――昨日の段階では情報の遅れがあったと指摘。
率直に言って、どういう情報の整理をした段階でどういう風にご報告をするのかということは、大変悩みながらやっている。正確な情報をきちっと適切にお示しをするのが特にこうした案件については重要だと思っている。一方で、不確実な情報をお伝えをするということはあってはいけないということも思っている。したがって確実な情報だけをしっかりとスピーディーに報告をする。特に万が一の悪い方向での可能性のある事象についてはできるだけ早い段階で報告をすることでさらに努めてまいりたい。その代わり、当該情報のみを持ってここにきて発表するので、その他の情報について集めて整理するという段取りを取らずにご報告を今後もこうしたことがあればさせてもらうのでご理解を。
――南三陸町で1万人が不明。その後連絡は。
いま申し上げた通り、今はこの(原発の)情報を入手して、それに対する対応についての指示などを行って、できるだけ早くということでこの会見をセットして報告している。すべての情報、記憶に基づいて間違ったことを申し上げてはいけないと思うので、他の件については会見などで改めて説明する。
――1号機も3号機以外にトラブルは。
私が会見場に向かう段階では少なくとも官邸には報告がされていない。もしそういうことがあればただちに報告がなされる。
――建屋から水素を抜く作業は進んでいるのか。
これは抜く作業というよりは、基本的には建屋から空気を抜かせる。つまり元々の炉の中にあったものは外にベントなどの手続きで外に出すというのが基本的なプロセスで進んでいるわけで、炉の中に水蒸気、あるいは場合によってそれが変形して外に出て水素になっていたとしても、基本的には外に抜くためのプロセスは元々進行している状況。だから水素が発生して建屋内にある可能性があることを報告した。
――濃度は計測しているのか。
私が会見場に入る段階ではしていない。
――建屋から抜けているのか。
まずはそこに水素がある可能性があるということで、私はできるだけ早くこうした情報は伝えたほうがいいということでここに来て説明している。これが今度どう改善されていくのか。当然、抜けていくとか改善されるわけなので、そのことについては改めて必要があれば報告する。
」
2011年3月13日20時14分
13日午後3時半に枝野幸男官房長官が行った記者会見の内容は次の通り。【冒頭発言・3号機に爆発の可能性】
東京電力福島第一原子力発電所3号機について、新しい情報が入りましたので、私から報告します。この情報によっても、いま避難をして頂いている避難の状況などについて新たな対応をする必要はありません。そうした意味では冷静に受け止めて頂ければと思います。
まず3号機につきましては、今朝原子炉の水位が低下をしたため、正確に言いますと、午前9時5分に圧力弁を開いて、炉内の圧力を下げ、午前9時8分から真水の注入を開始をいたしました。これにより、炉内の水位が上昇し、炉心を冷却できる状況となりました。
その後、この真水を注入する給水のポンプにトラブルが生じまして、このためすみやかにその水源を海水にかえ、炉心への注入に入りました。しかし、当初この炉心への注水が不安定な状況となり、その結果として原子炉内の水位が大きく低下をいたしました。これに対して、海水を注水する状況について確認を鋭意行いましたところ、再びしっかりと水位が上昇をはじめました。
繰り返します、一度注水の状況が不安定になり、水位が低下をいたしました。そのため、いわゆる炉心が水没しない状況が生じましたが、鋭意調査をいたしまして、対応をとりましたところ、再び水位は上昇を始めました。
この間、炉心を十分に冷却できない状況であったため、炉内において大量に水素が発生したことが予想され、この水素が原子力建屋の上部にたまっている可能性が否定できません。
繰り返しますが、水素が原子炉建屋の上部に、一番外側でございますね、たまっている可能性が否定できません。従いまして、3号機においても昨日1号機で生じたような水素爆発の可能性が生じたため、念のため速やかにご報告を申しあげた次第でございます。
なお、放射能のモニタリングの状況ですが、おおむね本日の午前10時以降、50前後、(1時間当たり)50マイクロシーベルト前後の数値で安定していたものが、午後1時44分ごろから上昇いたしまして、午後1時52分には1557.5マイクロシーベルトを観測をいたしましたが、直近、いま、ここに入ってくる直前に入手をしたその時点での直近のデータ、午後2時42分のデータでは184.1マイクロシーベルトに低下をいたしております。従いまして、最大値においても1557.5マイクロシーベルトでございまして、これは例えば、胃のX線検診1回分の量が600マイクロシーベルトでございます。この一番高い数値のところでも、1時間その場にいて、1557という、胃のX線検診、これは1回分ですので、3回分弱になりますか、という数字でございます。
すでにこの数値は184.1マイクロシーベルトまで下がってます。この数値は東京、ニューヨーク間の往復1回分が200マイクロシーベルトでございます。こうした状況にございますので、なお、水素が仮に発生をして、これが建屋の上部にたまっている可能性を否定できないと申しあげましたが、万が一これが昨日のような爆発を生じた場合であっても、昨日もそうでありましたが、原子炉本体、圧力容器と格納容器については問題が生じないという状態、その外側でしか爆発は生じませんし、そのレベルの衝撃には耐えられる構造になっております。
また、この爆発的なことが万が一生じた場合でありましても、発電所の近くの場所での数値が先ほどのような数値でございますので、避難をして頂いている周辺の皆様の健康に影響を及ぼすような状況は生じないというふうに考えております。
爆発的な事象、皆様にもご心配をおかけをいたしますし、そうした可能性が否定できないという事実が明らかになったものですから、ただちにこうして発表をさせて頂いているものであります。私から以上であります。
【3号機の現状】
――たまっている水素を除去する方法はないのか。
基本的には建屋からも炉の中からも、昨日と違うのは、ベントがもう機能していて基本的には外に気体を排出するプロセスの中で起こっている。可能性としてはすでに排出されている可能性も十分ある状況にあるが、念のため可能性があるということで報告した。
――3号機ではメルトダウンが起こっているのか。
言葉の使い方を丁寧にやらないと、炉心の一部が、若干、炉の中で変形をする可能性は否定できない。水没していない時間があったことは間違いない。しかしながら全体が一般的にメルトダウンの状況に至るような長時間にわたって水没していない状況が続いていたという状況ではない。水位はすでに上昇を始めている。可能性があるということで会見をセットした。この水位の上昇をいま見守っているところだ。
――燃料棒が露出して中の燃料が出ていることを示すデータは確認しているか。
現時点では確認していない。
――海水にかえたトラブルとは。
ポンプのトラブル。
――海水を入れた炉は将来的な廃炉を検討するのか。
海水を入れた場合には将来の復旧が著しく困難になる。
――将来使えない可能性があるということか。
専門家から報告を受けているのは、著しく困難であるという報告を受けている。そのことを前提としながら、しかし安全性に万全を期すということでこういう対応している。
【放射線が一時上昇】
――放射線の数値が一時的に上がった原因は。
ベントの処理を行い、原子炉内の空気を管理された形で外に出すということをやっている。炉心が水没していない状況になると放射線の発生がその時間は多くなるということで一時的に数値が上がる。
――危険ではないという理解でいいか。
1557マイクロシーベルトという数字は、例えばこれを1時間で浴びた場合の数字が1557だが、胃のエックス写真1回分が約600と聞いている。身体に直接影響を及ぼす数値ではないと報告受けている。結論として身体に直接影響を及ぼす数字でない。
――施設内だけでなく、周辺で放射能がどれくらいか分からないか。
できるだけこうした調査というのは多くやったほうがいい。今の会見は新しい事象が生じたことでできるだけ早くということでまいりましたので、そうしたことも段取りや状況についてはあらためて報告したい。
【3号機の注水不具合】
――ポンプのトラブルは復旧したということだが。
違う。ポンプのトラブルが真水の給水について生じたので、できるだけ給水が滞る時間帯が短いほうがいいということで、海水の注入をバックアップで用意していたので、そちらに切り替えた。ところがそのバックアップのほうの手順、段取りがうまくいかなかったようで、一時的にそこからの注水がうまくいかなかった。しかし、そのことについては直ちに復旧できた。すでに給水が始まっている。
――一時的に不安定になったのは海水に切り替えてからか。
繰り返すが、真水をポンプで注水するためのポンプが機能しなくなったものですから、それを海水によるものに切り替える。ところがこれがうまくいかなくて、水位がさらに下がったということで調べたところ、若干そこに不具合があった。これを直ちに復旧させて水位が上昇してきている。
――海水による注水がうまくいかなくなる可能性は
すべてのことにバックアップを用意をして、そうしたことに対応できるような手順、段取りをできるだけ多数用意するということをいまトラブルそのものに対する対応と同時に準備をしている。今回の場合がそれがあったので、真水のポンプが機能しなくなったときに海水に切り替えることができた。
――真水に切り替えるというめどはたっているのか。
専門的なところはあらためて確認するが、おそらくいったん海水を入れているので真水に切り替えることに大きな意味があるとは想定できない。きちっと冷却することが何よりも大事だ。
――なぜ最初から海水でやらないのか。
一般的には冷却の水は真水を使うことが一般的だ。真水が足りなくなってということではなくて、真水の使っていたポンプがたまたま不具合が生じたということだ。真水を使っていたということに問題があったわけではない。ポンプのバックアップを用意していたことが大事だ。
――最初から海水でやったほうが。
注水できる量はポンプの性能によって決まる。水そのものが足りなくなって給水ができなくなったということであるならば、海水をはじめから入れるべきだが、水の量の問題があったのではなくて、ポンプの問題だ。真水の量は今のところ十分な量があるということで真水を優先的に注入してきた。しかしながら、そこのポンプがうまくいかなかったときにそのポンプの改修よりも優先して海水を入れるということで万全を期した。
――ポンプの不具合は地震によるものか。
それは報告は受けていない。
【爆発への備え】
――水素による爆発があった場合の備えは。
基本的には周辺のところからもう退避(指示)がされている。そして放射能による可能性ということでは、この間、原発周辺でモニターされている放射能の量から考えるに、すでに万全すぎるほどの万全の退避の指示をしている。一部健康上の理由などで近いところにいる方については退避のための必要最小限の時間以外は屋内でいて洋服などに万が一にも少しでも付かないのがベターなので、そうしたことはしていただいたほうがいい。
――水位はどの程度まで下がったのか。
正確な数字をもってきていないが、かなりの程度はいったん露出した。ただしすでに水位が上昇をはじめている。その時間は一定の限られた時間だ。
――ほぼむき出しになっていたのか。
それは全体の構造の中で専門的に説明いただいたほうがいい。
――圧力容器と格納容器はどの程度の衝撃に耐えられるのか。
詳細な数字はまさに専門的に報告いただいたほうがいいが、内側からの相当な圧力にそもそもがつくられている。相当な強度があるものでないと原子炉がつくれない。一方で外側の建屋の部分は万が一の場合に備えて何か内側であっても内部のほうに圧力がかからない、逃がすようにある意味では飛びやすくなっている構造をつくっている。なおかつ水素ですから高いところにいくので、想定される事態は最大でも昨日のような事態だという説明を受けて了解した。
――3号機は1号機と同じような処置をしているということか。
水素の状況は違うが、基本的には大きな意味では中の空気をベントなどによって外に放出させながら、注水している。大きな意味では同様な状態だ。
――残りの炉についての予防的措置は。
基本的には原子炉に水を注ぎ込んで、炉が水から出ないような状況を短くする。炉の圧力が高くなりすぎないようにベントなどの処置をして圧力を下げる。これが基本的な対応で共通している。水を別のところからポンプで注入する必要性が生じた場合にはそれができる態勢づくり、それから圧力が上がったらベント処置をして圧力を抜く措置、これに備えた措置はそれぞれ準備を整えている。
――水素爆発は予測していたのか。
昨日もいろいろな情報に基づいて万全の策をとることに全力を注ぎ、それをやってきた。特に昨日ああいった爆発の映像などをご覧になった方はいろいろ不安をお持ちだろうと思う。当然いま同時並行して水位の上昇のモニター、放射線量のモニター、しっかりと進めていただいているが、同時によくない可能性のある部分についてはできるだけ早く報告したほうがいいだろうということを昨日の経緯をふまえて判断した。全体の状況について段取りの前に事実関係そして安全のレベルについて確認できたので報告している。
――昨日の爆発前に1号機でも水素が充満して爆発する情報はあったのか。
昨日の時点の状況、情報整理をしてあらためて報告する。
――女川原発の敷地内で放射線量が上昇しているとの情報。
現時点で、私のところまでは伝わっていない。
【安否・発信方法など】
――昨日の段階では情報の遅れがあったと指摘。
率直に言って、どういう情報の整理をした段階でどういう風にご報告をするのかということは、大変悩みながらやっている。正確な情報をきちっと適切にお示しをするのが特にこうした案件については重要だと思っている。一方で、不確実な情報をお伝えをするということはあってはいけないということも思っている。したがって確実な情報だけをしっかりとスピーディーに報告をする。特に万が一の悪い方向での可能性のある事象についてはできるだけ早い段階で報告をすることでさらに努めてまいりたい。その代わり、当該情報のみを持ってここにきて発表するので、その他の情報について集めて整理するという段取りを取らずにご報告を今後もこうしたことがあればさせてもらうのでご理解を。
――南三陸町で1万人が不明。その後連絡は。
いま申し上げた通り、今はこの(原発の)情報を入手して、それに対する対応についての指示などを行って、できるだけ早くということでこの会見をセットして報告している。すべての情報、記憶に基づいて間違ったことを申し上げてはいけないと思うので、他の件については会見などで改めて説明する。
――1号機も3号機以外にトラブルは。
私が会見場に向かう段階では少なくとも官邸には報告がされていない。もしそういうことがあればただちに報告がなされる。
――建屋から水素を抜く作業は進んでいるのか。
これは抜く作業というよりは、基本的には建屋から空気を抜かせる。つまり元々の炉の中にあったものは外にベントなどの手続きで外に出すというのが基本的なプロセスで進んでいるわけで、炉の中に水蒸気、あるいは場合によってそれが変形して外に出て水素になっていたとしても、基本的には外に抜くためのプロセスは元々進行している状況。だから水素が発生して建屋内にある可能性があることを報告した。
――濃度は計測しているのか。
私が会見場に入る段階ではしていない。
――建屋から抜けているのか。
まずはそこに水素がある可能性があるということで、私はできるだけ早くこうした情報は伝えたほうがいいということでここに来て説明している。これが今度どう改善されていくのか。当然、抜けていくとか改善されるわけなので、そのことについては改めて必要があれば報告する。
」