「
【冒頭発言】
今日付で、東大大学院教授の小佐古敏荘氏を内閣官房参与に任命することを決定した。小佐古氏は放射線安全学の分野で優れた識見を有しており、今回の原発事故に関して、総理に情報提供や助言を行っていただく。民間の皆さま方の様々な知恵や知見をしっかりと生かしていく中で、官の立場をお持ちいただいた方がいいだろうとのご判断とうかがっている。
原子力発電所の周辺、退避(指示)の20キロから外側の近い部分で、文部科学省がモニタリングを開始していただいた。具体的な中身は文部科学省から発表してもらっている。詳細な、具体的な評価は、原子力安全・保安院あるいは原子力安全委員会の皆さま方の専門家の立場からご報告をいただくべきだと思いますが、本日測定され、発表された数値は、ただちに人体に影響を及ぼす数値ではないというのが概略的なご報告だ。
建物の中に、あるいは20キロの内側より外に出て下さいという状況の指示を出しているが、現時点ではここで観測された数値は、そこで活動したらただちに危険という数字ではない。そのことはぜひ多くの皆さんにご理解いただければと思う。
現在、特に20~30キロの圏内で、本日文部科学省でモニタリングし、文部科学省から公表された数値について、専門家の皆さんのまずは概略的な分析の報告に基づくと、ただちに人体に影響を与えるような数値ではない。こうした地域で、例えば365日、24時間、屋外でこの数値の場所にいた場合に問題が出るかもしれないといったようなレベルであり、短時間こうした地域で活動する、あるいはこうした地域に数日の単位でおられても、人体に影響を及ぼす数値ではないので、この点についてはご安心いただければと思っている。
当該原子力発電所における冷却に向けて、いま関係機関のご協力もいただきながら、今日夕方から一部放水も始まっているという報告も受けている。一刻も早く冷却を安定的に行える状況に入っていくべく、皆さんにご努力いただいている状況だ。
先ほど申し上げた通り、20~30キロの地点のモニタリング数値は、ただちに人体に影響を及ぼすようなモニタリング結果ではない。たいへん過剰な反応が生じており、福島県知事からは物流などに対する緊急要望もあった。民間の皆さんを中心として、実は屋内退避地域の外側であるにもかかわらず、そうしたところに物流が届かないという状況が報告されている。
30キロを超えている地域、例えば(福島県)いわき市は大部分が30キロを超えている地域で、過剰に反応することなくしっかりと地域の皆さんに物流でモノを届けていただきたい。いま自衛隊の皆さんを始めとして、震災、津波による被災地に物資の直接的な補給に全力を挙げているが、民間の皆さんによって物流を確保していただくのに問題がない地域について、こうした事象が報告されているのは大変残念なことであり、ぜひご協力をお願い申し上げます。
【以下、質疑応答】
【福島第一原発】
――午前中の会見で放射線量の上昇は3号機によるものとの見解だったが、原子力安全・保安院は2号機が原因との見方だが?
私のところで、その時点の可能性として相対的に高いのは3号機の水蒸気との関連であり、カタカナなので難しいが、サブ何とかプールというところの可能性があるのではないかという報告を、その時点で受けた。その後、専門家の皆さんが例えば、圧力などその時点で入っていなかった情報などに基づき、そうした可能性の方がより高いという分析をされたという報告は受けている。
――午前中の会見でミリシーベルトという単位をマイクロシーベルトに訂正した経緯について説明を。
私のところには、ミリシーベルトのレベルの放射線が観測されていると。従ってこの点については、しっかりと注視しなければいけないという報告をいただいている。実際にその後、発表されていると思うが、詳細は10ミリシーベルトいうレベルまで一番厳しい状況の時は達していたということで、そうした前提に基づき、いろいろとご判断されていたと思っている。
――現在の現地の放射線量はどのような具合か。
従来ご紹介している正門付近の放射線量は、16時過ぎくらいの情報が入っているが、1500強ぐらいのところで、マイクロシーベルトですか、継続安定しているとの報告を受けている。その後、消防の方の準備を進め、そちらの方の安全管理のために計測の車が移動しているということなので、しばらくの間ちょっと出てこないようだ。放水そのものは出ていない。放水のための準備の具体的な段階に入っているという状況だ。
――自衛隊による上空からの散水活動は始まったのか。
現在確認できているのは、具体的に地上の方から水をかけるための最終段階であり、最終段階というのはまさに現場でいろいろ動き出している準備段階というのが正確に上がってきている報告だ。
――5号機、6号機の水温上昇をめぐる状況は。
そちらについてもしっかり温度管理をし、リスクが生じないようにという態勢はつくっている、という報告は受けている。
――一部夕刊報道で、枝野氏が「文科省は健康被害についてコメントしないように」と指示した、とされている。事実関係は?
この間、どこの責任でどの仕事をするのかということをしっかり整理しないと、国民の皆さんにも混乱を与えるということで、このモニタリングの件に限らず、しっかりとどこが何の責任を持って行うのかということについての整理がまさに私の職責として行っている。モニタリングについては、原子力発電所の敷地内やその周辺については経産省原子力安全・保安院が、どこがモニタリングをしているかは別にしてしっかり把握して報告するようにと。それから、その外側の地域については文科省が、もちろん文科省自体も計測しているし、関係機関の協力をいただいてしっかりモニタリングを行い、その全体の集約と集計を行うように、と。
そして、それに対する評価は保安院であったり、原子力安全委員会が評価するということなので、それぞれの職責に基づき、それぞれの仕事をしっかりしていただきたい。こういう指示はした。
――福島市内で水道水から放射性物質が検出されたとのことだが、福島第一原発との関連は?
具体的な数字の報告は上がってきていないので、しっかりと専門家の意見をうかがった上で対応しなければいけない。なお、今朝の会見でも申し上げたが、我々は日常生活においても放射線を受けて生活をしている。そして、メディアも報道されているように、例えば上空ほど放射線量は大きいですから、東京―ニューヨーク間を飛ぶくらいの放射線を受ける。従って一定の微量の放射性物質が全体のリスク軽減のために放出している。そのために大変ご心配をおかけしているが、人体に影響を及ぼさない範囲でのいま放出が外に出る状況だ。そうした中で万一に備え、20キロの範囲内の人には出ていただいている状況だ。
――自衛隊の放水活動だが、自衛隊ヘリからの放水はどうなっているのか?
これは防衛省に具体的にお尋ねいただくべきだと思っているが、官邸が報告を受けている状況では、上空からについては天候の状況を見ている。
――米軍から原子炉の冷却活動に関わるという打診は来ているのか?
まさに相手方のあることで、具体的な調整段階の話はあまり申し上げない方がいいだろうと思っている。具体的に何らかのご支援をいただくことについては、防衛省からご報告があった。
――さきほど総理が20~30キロ圏内の方の支援をしっかりやりたいとおっしゃった。具体的な支援の検討は?
本来であれば屋内退避をして下さいという状況であり、こうした地域にモノを届ける、そのこと自体、いま屋内にいて下さいという指示のもとでも、原子力安全委員会のご指導によると十分可能であります。
しかし、なかなか現実にモノが十分に届かない場合には長期に物資などの運び入れをしていかなければならない。南の方であれば、一時的に外に出ていただくことは今の状況でも可能かもしれない。北部の方はなかなかそうはいかない地域、津波などもあるので、そうした生活支援のところにはしっかりと目配りをしたい。
【物資輸送・復興】
――東北地方で高速道が緊急車両に限られ、物資輸送が滞っているという。そのような事態を解消するための方策は?
これはかなり柔軟に、必要な物資の輸送のための許可の手続きは進めている。例えばタンクローリーは問題になっているが、それは外見すぐわかるので、インターチェンジでその場で出す形で大変柔軟な対応をしている。高速道の利用状況を見ると、大変空いているかのような印象を与えるという指摘があるが、実は地震による影響で一部区間で片側しか使えない。
なおかつ、そこもあまり荷重をかけるとリスクがある。こういう部分があるので、交通量はしっかり規制しないと他のところがいくら空いていてもそこで滞ってしまえば、それこそ緊急の搬送に支障が生じる。むしろ、しっかりと全体の対応の中で必要な現地に向かっていくということについて、燃料についてはお願いしたが、これについての詳細なオペレーション、パッケージを進めてきている。
――総理は復興について言及した。
総理がどういう思いでおっしゃられたのか内心まではわからないが、まさに頭の片隅にはそういったことも、そろそろ考えなければいけないことだと思う。現時点で具体的にというより、そういったことをそろそろ考えなければいけないな、と。
――緊急対策本部など政府の会議体の数が多く、収拾がつかないのではないか。
基本的には、会議といっても地震に対する全体の会議と、それから原子力に関する会議、どちらも法律に基づく会議である。事実上一体の運営をしている。これは今日までのところ、連日行っているが、かなり実務的なオペレーションの問題なども中心になってきているので、むしろ連日会議を開くよりも、それぞれの役所でのオペレーションをしっかり大臣にやっていただく方が重要ではないかという検討をしている。
ただ、法律に基づく会議体なので、会議体を設置することが今、まさに強い権限で様々な各省を動かす仕事をしているから。会議体を置かないと逆にそういった状況をつくれない。
――20~30キロ圏内に物資搬送がうまくいかないのは、業者が放射線の被害を恐れてのことではないか。
冒頭申し上げたのは、20キロ、30キロのところだけではなく、さらにその外側でもそうした声が出ている。そういう実態がみられるということだ。そういった地元からの声もうかがって、ぜひともそういったことについては、一時的にとかその当該地域に入ったからといって、健康被害につながるような状態ではない。
実際に今日、モニタリングができたので、お伝えできる状況だ。なお、地方の皆さんの関係でいえば、本日、全国知事界と全国市長会、全国町村会長会、それぞれ会長の皆さんに被災されている方の受け入れについて「特段のご配慮をお願いしたい」旨、福山副長官から申し入れた。それぞれ「最大限の努力をする」旨、協力をいただき、そういった形で被災者の皆さんを全国の可能なところで当面受け入れていただくことも言っていただいている。
ぜひ被災地の皆さん、それから原子力の関係で自宅から出ざるを得ない皆さん、自宅からなかなか外に出にくい状況にある皆さん、そうした皆さんのために多くの国民の理解をお願いしたい。
【福島第一原発・その2】
――原子力安全委員会と原子力安全・保安院の連係がうまくいっているのか。
この間、まさに地震発生の当日から、原子力安全委員会の専門家、しかも委員長をはじめ原子力安全委員会のメンバー、それから保安院の幹部をはじめ、多くの専門家が不眠不休で官邸にも来て、色々な検討や分析をしてきている。それぞれの機関の専門家をはじめとする皆さん、幹部の皆さんにまさに不眠不休でこの間、それぞれの立場での専門的な知見をいただいている。
――福島第一原発への自衛隊ヘリでの空中放水は難しいという認識なのか。
なかなか4号機のようなまだ全体がある程度ふさがっている部分と、それから上の方が空いている部分と、当該原子炉の状態との違い、そうしたものとの兼ね合いで、なかなかとても困難だと、これはやれる余地があるという部分とこれはまさに状況、条件による。自衛隊にも、その可能性に向けて準備をしてもらっている。
――実際に出来るかどうかは、なお見極めないといけないのか。
当然、対応する自衛隊の安全の確保も重要だ。実際に可能な状況かどうかを確認し、チェックしながら進めてもらう。
――1号機、3号機の水位の状況は? 注水するポンプ車の数などは足りているのか?
具体的なことについては保安院などの会見でお聞きいただきたい。現時点では冷却がしっかりとなされているという外形的なデータの結果になっている。合理的に推測されるデータになっている。
――中央制御室の電源は確保されているのか。
中央制御室そのものの電源についての報告は、今のところ特に聞いてない。ただこの間、現実に現場において対応しているので、そのためのヘッドクオーターはしっかりと機能している。
――原発の事故でオーストリア大使館が閉鎖を決めた。
そうした情報はまだいただいていない。今、屋内にいて下さいという、20~30キロについても、仮に屋外で活動したとしても直ちに健康に、人体に影響を及ぼす数値は出来ていない。そうしたことを前提に、冷静に対応してもらいたい。
」
2011年3月16日21時36分
枝野幸男官房長官が16日午後6時前に行った記者会見の全文は次の通り。【冒頭発言】
今日付で、東大大学院教授の小佐古敏荘氏を内閣官房参与に任命することを決定した。小佐古氏は放射線安全学の分野で優れた識見を有しており、今回の原発事故に関して、総理に情報提供や助言を行っていただく。民間の皆さま方の様々な知恵や知見をしっかりと生かしていく中で、官の立場をお持ちいただいた方がいいだろうとのご判断とうかがっている。
原子力発電所の周辺、退避(指示)の20キロから外側の近い部分で、文部科学省がモニタリングを開始していただいた。具体的な中身は文部科学省から発表してもらっている。詳細な、具体的な評価は、原子力安全・保安院あるいは原子力安全委員会の皆さま方の専門家の立場からご報告をいただくべきだと思いますが、本日測定され、発表された数値は、ただちに人体に影響を及ぼす数値ではないというのが概略的なご報告だ。
建物の中に、あるいは20キロの内側より外に出て下さいという状況の指示を出しているが、現時点ではここで観測された数値は、そこで活動したらただちに危険という数字ではない。そのことはぜひ多くの皆さんにご理解いただければと思う。
現在、特に20~30キロの圏内で、本日文部科学省でモニタリングし、文部科学省から公表された数値について、専門家の皆さんのまずは概略的な分析の報告に基づくと、ただちに人体に影響を与えるような数値ではない。こうした地域で、例えば365日、24時間、屋外でこの数値の場所にいた場合に問題が出るかもしれないといったようなレベルであり、短時間こうした地域で活動する、あるいはこうした地域に数日の単位でおられても、人体に影響を及ぼす数値ではないので、この点についてはご安心いただければと思っている。
当該原子力発電所における冷却に向けて、いま関係機関のご協力もいただきながら、今日夕方から一部放水も始まっているという報告も受けている。一刻も早く冷却を安定的に行える状況に入っていくべく、皆さんにご努力いただいている状況だ。
先ほど申し上げた通り、20~30キロの地点のモニタリング数値は、ただちに人体に影響を及ぼすようなモニタリング結果ではない。たいへん過剰な反応が生じており、福島県知事からは物流などに対する緊急要望もあった。民間の皆さんを中心として、実は屋内退避地域の外側であるにもかかわらず、そうしたところに物流が届かないという状況が報告されている。
30キロを超えている地域、例えば(福島県)いわき市は大部分が30キロを超えている地域で、過剰に反応することなくしっかりと地域の皆さんに物流でモノを届けていただきたい。いま自衛隊の皆さんを始めとして、震災、津波による被災地に物資の直接的な補給に全力を挙げているが、民間の皆さんによって物流を確保していただくのに問題がない地域について、こうした事象が報告されているのは大変残念なことであり、ぜひご協力をお願い申し上げます。
【以下、質疑応答】
【福島第一原発】
――午前中の会見で放射線量の上昇は3号機によるものとの見解だったが、原子力安全・保安院は2号機が原因との見方だが?
私のところで、その時点の可能性として相対的に高いのは3号機の水蒸気との関連であり、カタカナなので難しいが、サブ何とかプールというところの可能性があるのではないかという報告を、その時点で受けた。その後、専門家の皆さんが例えば、圧力などその時点で入っていなかった情報などに基づき、そうした可能性の方がより高いという分析をされたという報告は受けている。
――午前中の会見でミリシーベルトという単位をマイクロシーベルトに訂正した経緯について説明を。
私のところには、ミリシーベルトのレベルの放射線が観測されていると。従ってこの点については、しっかりと注視しなければいけないという報告をいただいている。実際にその後、発表されていると思うが、詳細は10ミリシーベルトいうレベルまで一番厳しい状況の時は達していたということで、そうした前提に基づき、いろいろとご判断されていたと思っている。
――現在の現地の放射線量はどのような具合か。
従来ご紹介している正門付近の放射線量は、16時過ぎくらいの情報が入っているが、1500強ぐらいのところで、マイクロシーベルトですか、継続安定しているとの報告を受けている。その後、消防の方の準備を進め、そちらの方の安全管理のために計測の車が移動しているということなので、しばらくの間ちょっと出てこないようだ。放水そのものは出ていない。放水のための準備の具体的な段階に入っているという状況だ。
――自衛隊による上空からの散水活動は始まったのか。
現在確認できているのは、具体的に地上の方から水をかけるための最終段階であり、最終段階というのはまさに現場でいろいろ動き出している準備段階というのが正確に上がってきている報告だ。
――5号機、6号機の水温上昇をめぐる状況は。
そちらについてもしっかり温度管理をし、リスクが生じないようにという態勢はつくっている、という報告は受けている。
――一部夕刊報道で、枝野氏が「文科省は健康被害についてコメントしないように」と指示した、とされている。事実関係は?
この間、どこの責任でどの仕事をするのかということをしっかり整理しないと、国民の皆さんにも混乱を与えるということで、このモニタリングの件に限らず、しっかりとどこが何の責任を持って行うのかということについての整理がまさに私の職責として行っている。モニタリングについては、原子力発電所の敷地内やその周辺については経産省原子力安全・保安院が、どこがモニタリングをしているかは別にしてしっかり把握して報告するようにと。それから、その外側の地域については文科省が、もちろん文科省自体も計測しているし、関係機関の協力をいただいてしっかりモニタリングを行い、その全体の集約と集計を行うように、と。
そして、それに対する評価は保安院であったり、原子力安全委員会が評価するということなので、それぞれの職責に基づき、それぞれの仕事をしっかりしていただきたい。こういう指示はした。
――福島市内で水道水から放射性物質が検出されたとのことだが、福島第一原発との関連は?
具体的な数字の報告は上がってきていないので、しっかりと専門家の意見をうかがった上で対応しなければいけない。なお、今朝の会見でも申し上げたが、我々は日常生活においても放射線を受けて生活をしている。そして、メディアも報道されているように、例えば上空ほど放射線量は大きいですから、東京―ニューヨーク間を飛ぶくらいの放射線を受ける。従って一定の微量の放射性物質が全体のリスク軽減のために放出している。そのために大変ご心配をおかけしているが、人体に影響を及ぼさない範囲でのいま放出が外に出る状況だ。そうした中で万一に備え、20キロの範囲内の人には出ていただいている状況だ。
――自衛隊の放水活動だが、自衛隊ヘリからの放水はどうなっているのか?
これは防衛省に具体的にお尋ねいただくべきだと思っているが、官邸が報告を受けている状況では、上空からについては天候の状況を見ている。
――米軍から原子炉の冷却活動に関わるという打診は来ているのか?
まさに相手方のあることで、具体的な調整段階の話はあまり申し上げない方がいいだろうと思っている。具体的に何らかのご支援をいただくことについては、防衛省からご報告があった。
――さきほど総理が20~30キロ圏内の方の支援をしっかりやりたいとおっしゃった。具体的な支援の検討は?
本来であれば屋内退避をして下さいという状況であり、こうした地域にモノを届ける、そのこと自体、いま屋内にいて下さいという指示のもとでも、原子力安全委員会のご指導によると十分可能であります。
しかし、なかなか現実にモノが十分に届かない場合には長期に物資などの運び入れをしていかなければならない。南の方であれば、一時的に外に出ていただくことは今の状況でも可能かもしれない。北部の方はなかなかそうはいかない地域、津波などもあるので、そうした生活支援のところにはしっかりと目配りをしたい。
【物資輸送・復興】
――東北地方で高速道が緊急車両に限られ、物資輸送が滞っているという。そのような事態を解消するための方策は?
これはかなり柔軟に、必要な物資の輸送のための許可の手続きは進めている。例えばタンクローリーは問題になっているが、それは外見すぐわかるので、インターチェンジでその場で出す形で大変柔軟な対応をしている。高速道の利用状況を見ると、大変空いているかのような印象を与えるという指摘があるが、実は地震による影響で一部区間で片側しか使えない。
なおかつ、そこもあまり荷重をかけるとリスクがある。こういう部分があるので、交通量はしっかり規制しないと他のところがいくら空いていてもそこで滞ってしまえば、それこそ緊急の搬送に支障が生じる。むしろ、しっかりと全体の対応の中で必要な現地に向かっていくということについて、燃料についてはお願いしたが、これについての詳細なオペレーション、パッケージを進めてきている。
――総理は復興について言及した。
総理がどういう思いでおっしゃられたのか内心まではわからないが、まさに頭の片隅にはそういったことも、そろそろ考えなければいけないことだと思う。現時点で具体的にというより、そういったことをそろそろ考えなければいけないな、と。
――緊急対策本部など政府の会議体の数が多く、収拾がつかないのではないか。
基本的には、会議といっても地震に対する全体の会議と、それから原子力に関する会議、どちらも法律に基づく会議である。事実上一体の運営をしている。これは今日までのところ、連日行っているが、かなり実務的なオペレーションの問題なども中心になってきているので、むしろ連日会議を開くよりも、それぞれの役所でのオペレーションをしっかり大臣にやっていただく方が重要ではないかという検討をしている。
ただ、法律に基づく会議体なので、会議体を設置することが今、まさに強い権限で様々な各省を動かす仕事をしているから。会議体を置かないと逆にそういった状況をつくれない。
――20~30キロ圏内に物資搬送がうまくいかないのは、業者が放射線の被害を恐れてのことではないか。
冒頭申し上げたのは、20キロ、30キロのところだけではなく、さらにその外側でもそうした声が出ている。そういう実態がみられるということだ。そういった地元からの声もうかがって、ぜひともそういったことについては、一時的にとかその当該地域に入ったからといって、健康被害につながるような状態ではない。
実際に今日、モニタリングができたので、お伝えできる状況だ。なお、地方の皆さんの関係でいえば、本日、全国知事界と全国市長会、全国町村会長会、それぞれ会長の皆さんに被災されている方の受け入れについて「特段のご配慮をお願いしたい」旨、福山副長官から申し入れた。それぞれ「最大限の努力をする」旨、協力をいただき、そういった形で被災者の皆さんを全国の可能なところで当面受け入れていただくことも言っていただいている。
ぜひ被災地の皆さん、それから原子力の関係で自宅から出ざるを得ない皆さん、自宅からなかなか外に出にくい状況にある皆さん、そうした皆さんのために多くの国民の理解をお願いしたい。
【福島第一原発・その2】
――原子力安全委員会と原子力安全・保安院の連係がうまくいっているのか。
この間、まさに地震発生の当日から、原子力安全委員会の専門家、しかも委員長をはじめ原子力安全委員会のメンバー、それから保安院の幹部をはじめ、多くの専門家が不眠不休で官邸にも来て、色々な検討や分析をしてきている。それぞれの機関の専門家をはじめとする皆さん、幹部の皆さんにまさに不眠不休でこの間、それぞれの立場での専門的な知見をいただいている。
――福島第一原発への自衛隊ヘリでの空中放水は難しいという認識なのか。
なかなか4号機のようなまだ全体がある程度ふさがっている部分と、それから上の方が空いている部分と、当該原子炉の状態との違い、そうしたものとの兼ね合いで、なかなかとても困難だと、これはやれる余地があるという部分とこれはまさに状況、条件による。自衛隊にも、その可能性に向けて準備をしてもらっている。
――実際に出来るかどうかは、なお見極めないといけないのか。
当然、対応する自衛隊の安全の確保も重要だ。実際に可能な状況かどうかを確認し、チェックしながら進めてもらう。
――1号機、3号機の水位の状況は? 注水するポンプ車の数などは足りているのか?
具体的なことについては保安院などの会見でお聞きいただきたい。現時点では冷却がしっかりとなされているという外形的なデータの結果になっている。合理的に推測されるデータになっている。
――中央制御室の電源は確保されているのか。
中央制御室そのものの電源についての報告は、今のところ特に聞いてない。ただこの間、現実に現場において対応しているので、そのためのヘッドクオーターはしっかりと機能している。
――原発の事故でオーストリア大使館が閉鎖を決めた。
そうした情報はまだいただいていない。今、屋内にいて下さいという、20~30キロについても、仮に屋外で活動したとしても直ちに健康に、人体に影響を及ぼす数値は出来ていない。そうしたことを前提に、冷静に対応してもらいたい。
」