きみがいないと ぼくは...
きみがいないと ぼくは どこかへ 漂流していってしまいそうだ。 ...
スノードロップ
今日、旧暦二月二日。 イチ子が丹精したスノードロップの鉢植えは、 庭の南天の傍らに据えられた花台の上で、 今年も静かに蕾を開いた。 ...
卒業式か...
裏書きがないので、何時撮った写真かは疎覚えでしかない。 高校を卒業して間もない頃か...。あるいは成人式の頃かも知れない。 線路際の道のようだが、どこか場所も思...
わずか五分、六分だというのに
人気のない、むしろ謎めいた海へ行くのだと、水口イチ子が旅の計画を話したのは、去年の夏が、まだ至るところに踏みとどまっていた頃のことだ。 ...
表紙の裏に
日曜の午後。 庭先の読書にイチ子がなつかしい本を持ち出していた —— 背ヤケしたカバーのト...
書くことの向こう岸
人は、 なんのために書くのか。 人は、 誰のために書くのか。 稗田阿礼...
古い旅行用トランクの中身
ランボーの『もう言葉なんていらない』を訳したことがあるとイチ子が言っていた...
油絵の具よりも遙かに厚い
部屋の片隅 —— 立て掛けた油絵のキャンヴァスがいっぱい —— ほぼ完成というものが僅かに何点かあるが、その...
1979年のアルバム
1979年のアルバム —— やけに古く見える写真もあれば、ついこの間のことのように思い出せるものもある。 ...
きみにオマジナイをかけられたように
まるで思いどおりにいかない日があって、そんな時腹を立てるか、腐るか、気にせず済ませられるかはその日の気分次第 ...