みけちんは行った

今日の明け方3時頃、オットが「もうそろそろかもしれない」と呼びに来た。

横になったみけちんは時々苦しそうに「にゃーん」となくが、あとはぼんやりとしている。
目はうつろだが、時々ふとはっきりとする。
そんな時は「あ、いま、戻って来てる」と思う。

産まれたばかりの赤ちゃんも、こんな風だ。
まだ完全にこちらの世界にはいなくて、時々こちらにやってくる感じ。
そのうち何日かすると完全に「こっちの人」になるけれど、それまではあっち行ったりこっち行ったりしてると感じた。

みけちんも同じようにあっち行ったりこっち行ったりを繰り返して、
大きなあくびみたいな、それとも泣きじゃくった子どものような大きな呼吸を2回して、
4時半ころ、もうあっちに行ったきりになった。

私たちはただただティッシュの山を大きくするだけで、
なにも出来ないことを噛み締めていたが、
だけど、これでいいのだ。

人間だから何かが出来るなんてことは、ない。
飼い主だから何かが出来るなんてことは、ない。
そもそも、わたしはみけちんの「飼い主」だったのか？
ただ一緒にいて、一緒に暮らしていた。
みけちんの命は、みけちんの命。

沢山の命がこの地球にやってきて、
そして同時に去って行く。

そんなことを思いながらなでていたら、だんだん呼吸が浅くなって、そしてまったく動かなくなった。

みけちんは、ある日やってきて、そして去って行った。
わたしも、そうやって、行くんだな。

みけちんがうちで幸せだったかどうかとか、あのタイミングで病院に行けば何か変わったんじゃないかとか、何日間か色々考えてしまったけれど、なんかそういうことじゃないんだろうなあ、と今は思う。

わたしたちは皆等しく、やってきて、去って行く。
それだけで、でも、それでいいのだ。



前日に三人で。
セツは一生懸命ハゲを開拓していた。
ナツはわかってんだかわかってないんだか。
さあ、仙台行く前にふたりとしっかり遊びますか。