えんどうえこばなし

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流れをつくるひと

2020-07-07 10:50:00 | えこばなし
去年の年末から歯医者に通っている。

普段は歯科医が治療している。
たまに、歯科助手(という名前なのだろうか)が、歯を綺麗にしてくれたりする。

昨日は、そんな日だった。

ところで、患者としての「よい口の開け方」というのはどんなだろうか?
自分が治療するサイドになったことはないので、本当のところはわからないが、普段の歯磨きなどから想像して「ここをいじっているなら、この開け方が最適だろう」というのがある。
それで、なるべく治療者(普段は歯科医)にとって最適な口の開け方を続けようと努力するわけなのだが、ちょっと疲れてきたり、うっかり瞑想に入ってしまったりして「すみません、もうちょっと大きく」とか「閉じ気味に」と言われてハッとしたりもする。

さて、そんなわけで、昨日は 歯科助手が歯を綺麗にしてくれる日だった。
歯のクリーニング(というのかな?)は、治療と違って、歯磨きに近い順番で動いていくので流れを読みやすい。
流れが読みやすいとはいえ、歯の面・裏、奥歯・前歯と動くにつれ、口の開け方は徐々に変化しなくてはいけない。「これだ」と決めたらその口の形を死守するという「治療型開口技術」とは違う技術が患者にも求められる。

結果的にいうと、昨日は「良き日」であった。
名も知らぬ歯科助手の方と、患者である私の息はぴったりであった。
彼女の「次はここ」が読める。流れが読める。彼女の「こうして欲しい」がわかる。
二人の間に言葉はいらない。
なんかそんな感じであった。
まあ、私が勝手に思っているだけだけどさ。

傲慢な私ははじめ「いや〜私の読み能力も伊達じゃないね」なんて思っていたのだが、中盤以降、いや、これは違うぞと気がついた。

ちょっとした器具の動き、姿勢の変化などで、彼女が「次はここに行きますね」ということを雄弁に伝えてくれているのだ。
それも、全くわざとらしくない。押しつけがましくもない。あくまでも自然に、それでいて的確に。

なんだこれは!!
ものすごい「流れをつくる技術」じゃないか!

よく考えたら、歯科助手の仕事というのは、歯科医の流れを読む仕事とも言える。
だからこそ、逆に流れを作る側になったときに「こうしたほうがいい」ということが分かるということもあるのだろうと想像する。

「読めるからこそ、伝えられる」

逆もまたしかり。
「伝えられるからこそ、読める」

うーーーん。
それにしても、あの さり気なさ。わざとらしくなさ。一歩引いた感じ。なんだろう?相手に花を持たせる感じ?
あれは私に確実に欠けている部分である。
もう私だっていい年こいてるんだから、そろそろ「私が!私が!」から卒業してもよかろう。煩悩はなかなか断ち切れぬものだが、いい年こいてるんだから(2回目)、その境地を目指したいと思う。

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