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枕についての知らなければよかったこと

2019-10-21 09:30:48 | えこばなし
枕探しの旅に出た。

自分のではない。
子(下)のである。
子が、どこかから「良い枕はいい」と聞いてきた。
どこかからっていうか、友達がオーダー枕を誕生日に買ってもらってそれがよかったとかそういう話である。
「どこの健康おばさんだよ」とか言いつつも、子は現在幼少から使っているキティーちゃんの枕と様々なクッションを積み上げて高い高い枕にしており、まあそれから脱却するのは健康的にも悪い話ではあるまいと思って、一日あちこち行ってみた。

東急ハンズでテンピュール他外国有名どころ。
小田急デパートで西川。
オーダー枕では、「まくらぼ」と「じぶんまくら」。
あと小田急行ったついでに無印良品。

高反発、低反発。様々なビーズ。大量の穴の空いた素材(「寝てる間に襲われそう」by子)。
素材も形も様々である。

値段も様々。概して高い。
はじめは1万円を超えたのをみて「たか!!!」とか言っていたが、だんだん慣れてきて「え?1万4千円?安いじゃん」みたいになるのは完全にまくら業界の術中にはまっていると言えよう。
とはいえ高くてもイマイチだったのもあるし、高くてすごいよかったりするのもある。意外と無印良品の1490円がよかったり。
私と子はまあまあ骨格が似ているとは思うが、「良い」の好みが同じ部分と違う部分があるのも面白かった。

子は結局クリスマスプレゼントと抱き合わせでテンピュールの「ソナタ」というのに決めた。
そしたら自転車はおばあちゃんに買ってもらうことにして、高校に受かれば合格祝いがあるからそしたらそれで・・・とか彼女は彼女の計画を再調整の模様。まあ合格祝いの算段の前に合格するように頑張ってくださいよ。

まあ、それでそっちは解決した(合格の話ではなく枕の話)。
問題はない(合格の話ではなく枕の話)。

さて、問題はここからである。

昨日の夜、私が、自分の枕のことを、気になり始めてしまったのである。

今まで、48年間、枕のことなど全く気にしたことのない人生を送ってきた。
もちろん好みはある。低すぎる枕はあまり好きではないし、寝袋で寝るときにはフリースやジャケットなどでなんとかかんとか枕的なものをこしらえないと眠れない。とはいえ、その程度の問題で、どこのお宅でも宿でもどんな枕でもグーグー眠れるし、低い枕なら布団を枕にたくしこんで眠れば良い。だから別にまくらなんてなんだっていいじゃん?と思っていた。

だがしかし。
知ってしまったのだ。西川布団の「エアー」という枕。テンピュールのなんていうモデルか名前は覚えてないやつ。
頭がスッポリと入って「枕がある」ということを忘れてしまうかのような、無存在の存在感。

それに比べると、今使っている枕。
余っていた布を袋にしてそばがらを直接つめただけの愛着のある枕が、何か物足りないと思ってしまうのだ。
いや、正確には「物足りない」のではなく、「意外と邪魔をしてくるな」というイメージである。首に当たる。頭に比べて小さい。などなど。
そして思う。いや、あの西川の枕、よかったなあ・・・。

ちょっと待て、一昨日までは過不足なく満足していたじゃないか。
そばがら枕に不満を抱いたことなど、一度たりともなかったじゃないか。

これじゃあまるで売れない頃から支えてくれた女房を、売れた途端に捨てて若い女優に乗り換えるタレントである。
そりゃああっちは美人でスタイルも良く洗練されてて話も合うかもしれない。
だけど、一昨日までは過不足なく満足していたじゃないか!!

私はそばがら枕(古女房)の気持ちになって嘆き、
同時に新しい女に乗り換えたいタレントでもあるからして言い訳を百万と用意する。
しまいに「寝るときには新しい枕を、本を読むときには古い枕を使えばいい」などと倫理的にも断捨離的にも最悪な発想までする始末である。



いや、これはピンチである。
一つは「古い枕が物足りなく思えて、新しい枕(高い)を買いたい」という欲望の話。
これに二つ目の「そこに何かのストーリーを見出してしまって倫理的に苦悩する」という意味不明の話。

ああ、いやだ。
これは私、実は知っているのだ。
私は「どんな状況でも生きていける能力」というのをものすごく評価していて、だから自分が「これじゃないとダメなんだよね〜」みたいになることが許せないのだ。でも実際には竪穴式住居では私は暮らしてはいけない。暖房完備のガラス付き住居に布団を敷かないと生きていかれない。そして枕だって同じ延長なのだが、でも、でも・・・。

ああいやだ。
これは世の中には知らない方がよかったってことが多々あるが、枕もそれだったという話なのか、または私のめんどくさい部分ってこういうとこだよって話なのか。

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