えんどうえこばなし

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私のクイーン

2018-12-18 09:48:06 | えこばなし
随分前の話になるが「ボヘミアンラプソディ」を見に行った。

この話をすると「クイーン好きだったんですか?」と聞かれるけど、
世代的に少々ずれていることもあり、ダビングしたカセットテープを一つ持っていただけである。
特に好きでも嫌いでもなく、なんとなく聞くものの一つであった。

ところで、その頃(1980年代後半)の北海道ではもちろんインターネットはなく、iTunesもアマゾンミュージックもない。
もっぱらラジオで情報収集をして、レコードを買うか、そんな金はないので友達から借りるか、近所の貸しレコード屋で借りるか、であった。
私のクイーンのカセットテープもおそらく4歳年上の兄が借りてきたレコードを一緒にダビングさせてもらったやつではないかと想像する。

ミュージックビデオ(当時はプロモーションビデオと呼ばれていた)も深夜のMTVを見る以外の方法はない。


そうするとどうなるかというと、

「ミュージシャンの顔を知らない」

ということが起きる。

レコードジャケットが衝撃的だったり、顔がしっかり写ってたり、買ったレコードにポスターが付いていたりすれば顔は覚えているが、
レコードジャケットがイラストだったり、シルエットだったり、または「誰かが大量に借りてきたレコードを、ついでで流れ作業でダビングする」ことをすると顔などは不明なままである。そして当時はその不明の感覚のまま平気であった。今だといい声を聞くと顔を見たくなってすぐにネットで調べたりしてしまうのとは大違い。小説を読んでなんとなくキャラクターの声や姿をイメージするようにして、歌を聞いてなんとなく姿を想像していた。

そういうわけで。

「私の中のクイーン」は全然違う人たちでイメージされており、
さらに私の中での重要性もさほどなかったことから、ずーっと長い間そのまま放置されていて、ビヨンセがWe will rock youを歌ってるのを聞いて「あっこれ懐かしいやつじゃーん、なんだっけ誰だっけ」とググッてみたところクイーンのライブ映像が出てきて、それ見てびっくりしたというくらい最近の話である。

「クイーンってこんな人たちだったの!?」

自分のイメージしてたのは全然違っていた。ただ「自分のイメージ」と言ったって別にはっきりと絵に描いていたわけでもない、なんとなくのイメージであったから「どう違う」などはわからず、ただ「うひゃー違う!!」と思っただけである。


さて、そこからまた何年もたって、こないだ映画を見たから「フレディの顔」というのが確実にインプットされた。
上書きされたというべきか。
私の漠然とした「私のクイーン」はもういなくなった。

しかし、今朝、ついさっき、映像なしの「somebody to love」を聞いていたら、「私の(かつての)クイーン」がヒョっと頭の中によみがえった。あっこれだ、こういう風に想像していたよ!どんなだっけ、どんなだっけ、とその残像に焦点を合わせようとするが、焦点を合わせた途端にそれは「映画の中(または最近見てばっかりいたライブエイド時)のフレディの顔にすり替わってしまった。

「私のクイーン」はもう本当にいなくなってしまった。

映画はとてもよかったが、少々残念な気もする出来事であった。


*これを書きながら、かつては「コーラス隊」みたいなのをイメージしていたと思い出した!
バンド形式ということでびっくり(さらにボーカルがあんなんでびっくり)、ってことである。
いやーモヤモヤは文章にするに限るね。スッキリした。

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