・🍞食パンBread しょくぱん
朝食に欠かせない食パンについてです。
生地を発酵させ、大きな長方形の箱型の型に入れて焼いたパンのことをいいます。食パンという言い方は外国語にはありません。日本にパンがやってきたのは、安土桃山時代の1543年の種子島に漂着したポルトガル人によって鉄砲とともに伝えられたのが最初だと言われています。
そして、1549年に来日したフランシスコ・ザビエルのキリスト教布教とともに各地で知られるようになります。その後は、徳川幕府によるキリスト教禁止政策によりほとんど普及しませんでした。
日本語のパンの直接的な語源は、ポルトガル語のpão (パォン)は、元はラテン語で醸造するという意味のPAINS(パニス)に由来します。更にそのpãoは他のラテン語系の単語でイタリア語pane、フランス語pain、スペイン語panなどと共に、ラテン語Panis(パニス)を語源としています。
英語のbreadは、ゲルマン語で醸造を意味するBrauenが語源で、ドイツ語のbrot、オランダ語のbrood、 デンマーク語のbrød、ノルウェー語ではbrödです。 なお英語圏でパンは、 調理器具 のフライパンの短縮形であることが多いようです。
パンに食をつけて食パンと言うのは、諸説あります。
元となる食べ物との意味で本食パンを略してと日本大百科全書で第二次世界大戦より前のパン職人は食パンのことを、西洋料理の「もと」となる食べ物という意味で「本食」と呼び、イギリス系の白パン(山型食パン)のことをさしていました。
日本国語大辞典ではパン屋さんで売っている四角くて長いパンのことを、もともと「本食パン」と呼んでいました。昭和になって第二次世界大戦の後は、アメリカ式の大量生産型の四角い食パン(サイコロ食パン)が一気に普及しています。
今でも食パンを「本食」と呼ぶ人がいて実際に「本食パン」という名前で販売している店もあるようです。その「本食パン」を略して「食パン」と呼ばれるようになったといいます。
主食パン説では、日本で食パンと呼ばれる元祖は、イギリス風の山型でヨコハマベーカリーという店のの経営者はロバート・クラークで、1862年に幕府の援助を得て店を開いています。1869年には木村安兵衛が「あんパン」、1901年には中村屋が「クリームパン」を開発しています。
食パンそのものは早くから日本に来ているのですが、パンとして人々に広まったのは菓子パンの方でした。その後、イギリスパン(和製:Inglêz+pão[ポルトガル語])として広まった山型食パンは、おやつ用とは違う主食用のパンという意味合いで食パンと呼ばれるようになったとしています。
他にデッサンなどの消しゴム代わりに使われてい消しパンと区別する説があります。さらにフライパンも「パン」と呼ぶ平鍋の形、という意味です。キッチンで使う2つのパンを区別するため、フライパンと食用の=パンの区別で「食パン」と呼ぶようになったという説です。
パンケーキのパンは平鍋でケーキは菓子と言う意味合いになります。
もうひとつ、食パンは酵母を使って作られ、ふわっと膨らんですきまができます。それらの穴は酵母が食べた後だとも言えるので、酵母に「食べられた」と言う意味で「食パン」と呼ばれるようになったという説です。
形により山型食パン、角型食パン、ワンローフなどに分類しています。
山型食パン(ラウンドトップRound top、Open top)は「イギリスパン」とも呼ばれるように、イギリスが発祥のパンです。ブリキ(tin)の型に入れて焼くことからティンブレッドと呼ばれたり、生地の色によりホワイトブレッド・ブラウンブレッドと呼ばれたりすることもあります。
角型食パン(プルマンブレッドPullman bread)は別名「ブルマン」とも呼ばれ、その由来はアメリカの客車製造会社ブルマンの作った列車の車体に形が似ている事からそう呼ばれるようになったと言われています。
1斤は、「a loat of bread」 です。全粒粉で作ったパンが少し茶色がかっているのに対して、通常の食パンは白いので「white bread(白いパン)」とも言われます。アメリカでは、toast breadと呼んで区別しています。
one loaf ワンローフは、400g前後のまくら型パンを指しています。主としてトースト用のパンです。 外国のオープントップまたはラウンドトップブレッド(山型食パン)に相当します。アメリカではワンローフという場合は「一山のパン」の意味です。
いずれも日本独特の呼び名です。
1斤は約450gで標準的な角食パンの1本分は3斤と数えられています。
作り方として日本の食パン基本配合の一例は
強力粉を100として重量比で
イースト 2
水 65
食塩 2
砂糖 6
脱脂粉乳 2
油脂 5
出来上がりは、小麦粉の1.5倍程度になるとしています。
家庭用の電子レンジ・オーブンで
小匙一杯5cc 大匙15cc
強力粉を150gとして
イースト 2.5g(小匙1)
水 90-100cc
食塩 2g(小匙1/3)
砂糖 9g(大匙1)
バター12g(大匙1)
工程はおおまかに、ミキシング→ 発酵 → 切り分け・丸め → ベンチタイム → 成形・型詰め → 焼成 → 型からの取り出し、といった順になります。
食パンを1斤(きん)、2斤と数えますが、これは尺貫法(しゃっかんほう)の斤から派生しています。普通は、一斤を160匁(もんめ:1匁=3.75g)とし、600グラムです。舶来品では英国の1ポンド(453.6g)としています。一斤は120匁=450グラムに由来し、製品重量の均一に製造するのは困難であることを考慮して1斤当たりの重量を350~400gが一般的で、製パン業界の公正競争規約では340g以上と定めています。
食パンは欧州では水と塩だけで練られることが多いのに対して、日本の食パンは脱脂粉乳、バター、マーガリン、ショートニングなど油脂類の添加をしているものも多い傾向で日本の製品は菓子パンに分類される場合があります。
1842年(天保13年)4月12日に日本で初めて乾パンが焼かれた日で1983年(昭和58年)3月に制定しています。日本パン食普及協会でパンの記念日です。 1842年伊豆韮山江川宅で長崎のオランダ屋敷で製パン技術を習得した作太郎が兵糧パンを作ったのが始まりとしています。また、毎月12日を「パンの日」としました。
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(初版2020,4,13)