・鳥兜Aconitum とりかぶと
キンポウゲ科の有毒多年生植物で ドクウツギ、ドクゼリと並んで日本三大有毒植物の一つでもあり、天然物としてはフグ毒に次ぐという。中国原産、山野に広く自生し高さ約80cmに生長する。葉は手のひら状に深く裂けて、秋には茎の頂に3~5cmの濃紫青色で冠状の花をつける。花の形が、舞楽(ぶがく:雅楽)のときにかぶる冠 の鳥兜に似ているところから名前が付いたといわれる。
別名でカブトギク(兜菊) ハナトリカブト(花鳥兜) カラトリカブト(唐鳥兜) カブトバナ(兜花) アコニタム ともいわれる。薬用として江戸時代に導入した。冷涼な気候を好み、秋に、舞楽(ぶがく)の鳳凰(ほうおう)をうかがわせる兜に似た紫色の花をたくさん咲かせる。日本では花が美しいので園芸用の切花として流通する。
古くより熊、鯨を射る弓矢の矢毒として利用してきた。1992年に岩手県でトリカブトの密生している所の蜂蜜を採取し鳥兜の花粉が混じっていたことから中毒が発生している。新芽は、ニリンソウ(キンポウゲ科)、ゲンノショウコウ(フウロソウ科)、モミジクサ・ヨモギ(キク科)に葉が似て間違って採取、食用とし中毒を起こし最悪の場合には中毒死することがある。トリカブトは全草に毒があり、葉を数枚食べただけでも中毒することがある。舌に触れただけでしびれを感じおう吐、下痢、呼吸困難などの症状を呈する。
秋に掘り起こされた紡錘形をした塊根(かいこん)は、神経を麻痺させ神経痛などの鎮痛剤として医薬品として使われる。
有毒な成分はトリカブトアルカロイドで猛毒なのはアコニチン系とされ、非毒性アルカロイドはアチシン Atisineとしている。漢方では根を乾燥、塩漬け、加熱、石灰処理して毒性を弱くして附子(ふし)、鳥頭(うず)と呼んで鎮痛、利尿、強壮、興奮、リウマチ、新陳代謝亢進に用いられる。アコニチンAconitineの経口LD 50はラット0.3mg/kgであり致死量は体重60kgの人で2~5mg、トルカブトの葉の致死量は1g程度としている。
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