遠藤雷太のうろうろブログ

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日穏-bion-『月の海』

2025-01-23 14:41:50 | 観劇三昧

日穏-bion-『月の海』(観劇三昧)

2025/1/23

・認知症かつ寝たきりの母と暮らす静の家に、5年前に行方不明になった兄にそっくりの泥棒が現れる話。

・類型は結構ありそう。

・本作では、母は兄のことを気にかけていたため、偽物なのに介護の上では重要な役割を担うことになる。加えて、介護疲れ気味な静の精神的な支えになっていく。

・なので、バレるバレないという話については、話の焦点にはあんまりなっていない。

・バレてない前提で話は進みつつ、演技でバレているんだろうなとわかるくらいの塩梅。むずかしい。

・行方不明の兄と、彼にそっくりな泥棒を同じ俳優が演じる。別人だから演じ分けはするけど、やりすぎると騙される周囲がバカっぽく見える。特にバレていないという前提なので加減が難しい。

・「匿ってやるから母の介護をしろ」という展開もありえそうだけど、意図的にそのあたりボンヤリさせているようにも感じる。

・介護の辛いところや、人間関係の不穏さのようなものはほとんど描かれていない。語り口が穏やか。

・登場人物も、泥棒の相方が悪そうなくらいで善人しかいない。

・全体の中間ちょっと手前で正体を疑うというか、偽物だと気付く人が現れる。構成きっちりしている。

・AVつながりの知り合いはかなり偶然性が高い。

・あの状況で口止め料いるんだろうか。

・泥棒の手際が、本当に今まで何度もやってきたのかと思うくらい悪い。せめて留守の家を狙えばいいのに。

・プリンをたくさん出してくるところ、善意のブレーキが壊れてしまっていて楽しい。

・根がひねくれ者なので、泥棒を繰り返す悪党がこの家族にほだされるところや、認知症の母の最後のメッセージが素直に信じられなかった。

・少し昔の話かと思っていたら、ポケモンGOが出てきたので、わりと最近の話だった。ああいう防犯意識ゼロの地域って今どのくらいあるのかな。

・マルティン・ルターの金言「死は人生の終末ではない、人生の完結である」は知らなかった。応用も利きそうだし、知らん顔して使いまわしたい。

・バレてからが潔い。ちゃんとキレ散らかして同情させない。きっちり線を引く。ある意味、誠実だった。

 

《詳細》(観劇三昧HP)

■公演時期 2018/07/16

■キャスト
内浦純一
岩瀬晶子
宮地大介
堂免一るこ
宮内勇輝(劇団フルタ丸)
藍原直樹
田川可奈美
本田和大
たんじだいご

■スタッフ
企画・脚本:岩瀬晶子
演出:たんじだいご
演出助手:佐藤萌子
照明:松本永(eimatsumotoCo.Ltd.)
音響:平井隆史
舞台監督:村信保(劇団キンダースペース)
舞台美術:吉野章弘
宣伝美術:松浦周作(㈱マッシュルームデザイン)

■あらすじ
仕事を辞め結婚も諦めて実家で母の介護に専念している望月静は、認知症が進行した母の介護に限界を感じ、借家を明け渡すタイミングで老人ホームに入所させることを決心する。
自宅での最後の時間を楽しんでもらいたいと願う静だったが、母は5年前に行方不明になった静の弟・豊に会いたいと言って困らせる。そんなある日、死んだと思っていた豊が突然帰って来る!?
親の介護という身近な話題を軸に「家族」や「いのち」をテーマとした主人公2人の再生物語。
笑って泣けて、最後に心がじんわり温かくなる日穏テイスト満載の舞台。

 


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