世界エイズデーシアター『Rights,Light ライツライト』(さっぽろアートライブ)
2021/5/19
・HIVポジティブの男性が、決まっていた内定を取り消しされて、就職するはずだった病院を訴える話。
・裁判前後と、彼がいま働いている高齢者向けケア施設での仕事の様子を交互に進行させていく。
・フィクションだけど、実際にあった事件をもとにしている。ちょっと検索するだけで関連サイトがたくさん出てくる。
・主人公の男性はゲイとして描かれる。
・実際にどうだったかは知らなくてもいいことだけど、世の中には嘘を前提とすることで描ける真実もある。
・内定取消が2018年、裁判の判決が2019年。劇団フライングステージが本作を上演したのがおそらく初演で2020年11月、本作の公開が2021年1月。そのスピード感に驚く。
・HIVの疑いがあるという理由で、医者が防護服を着て対応するエピソードは、突拍子がなさすぎて、かえってリアリティを感じる。
・後で確認したら、やはり元の事件にも似たことがあったらしい。それが2010年の話。
・以前に比べれば、HIVの知識も広がっていると思っていたので、このことに悪い意味でも驚いてしまう。
・ここまで露骨だと、書くほうも困る。被告の弁護士なんて、フィクションに出てくる悪役そのものだけど、実際の裁判でもそういうことはあったらしい。
・裁判は札幌で行われる。淡々と話は進むものの、今の自分にとって近い時期・場所で起きた出来事で肌感覚で身近な出来事だと思える。
・主人公を演じているのは遠藤洋平くん。聞き心地のよい静かな語り口。そんな中でも若干のゲイっぽさ、緊張感、人好きする感じ、細かく演じわけている。
・星野源っぽい役者を捜しているけど、星野源ほどのギャラは出せないという映像関係のプロデューサーがいたら遠藤くんに声を掛けたらいいと思う。
・新天地の施設ではただの好青年にしか見えない彼が、およそ誰も体験したことのない経験を語る体にしているのは、大きな工夫だと思う。中央のドアで舞台を二分する見せ方もスムーズ。
・配信を前提にしたカメラワークも見やすく、見る側の敷居の低くする演出的な配慮も成功していたと思う。
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