2021/5/10
・19世紀のイギリス。海辺の田舎町で化石の採集と研究をしながら暮らす学者アニングと、化石収集家の夫を持つシャーロットが同居することになる話。
・化石収集家の夫は、シャーロットを同行させて化石巡りの旅をする。その途中でアニングの家を訪れる。
・シャーロットは作中ではうつ病診断されていたけど、本当にそうなのか怪しい。
・化石にしか関心がない夫にうんざりしているだけという感じもする。
・前に読んだ本によると、このころ(実際に同性間の性行為はあったとしても)概念としての同性愛は一般化されていなかったようだし、未分化で言語化されていない性質を抱えた当事者の人たちはさぞ生きにくかったと思う。
・アニングは浜辺で化石探しをしながら暮らしている。ひとつは大英博物館にも寄贈されている。普段は観光客向けの小さな化石を売っている。
・そこまで観光客がたくさん来る場所とも思えず、まったく裕福ではないが、生活がその小さなエリア内で完結している。貝殻にこもっているようにも見えて、彼女自身が採掘するアンモナイトと相似形になっている。
・そして、そのアンモナイトが目覚める話が本作。チラシのコピーが「見つけて、泥の中の私を。」。よくできている。
・今ああいう海岸があってもSNSで拡散されて目ぼしい化石はあっという間に取りつくされてしまいそう。この時代設定だからできる話。
・玉子を殻ごと焼く食べ方初めて見た。一般的な玉子ではないようだったけど、あれはどういう食べ物だったんだろう。
・女性の排泄シーン、『ノマドランド』でもやってたけど、流行ってるんだろうか。
・二人がどんどん仲良くなっていくにつれて、同居している母親が気になってくる。
・その顛末があざやかで目が覚める。ちょっと『ガラスの動物園』を思い出した。
・アンモナイトは化石になると物語上の効果が強くなる。干すとうまみが増す干しシイタケのようだ。
・全体的に絵が暗いし、派手なシーンはほとんどないけど、ことあるごとに思い出しそうな印象深い作品だった。
(2021/5/9 20:25 シアターキノ)
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