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私は家路に着いた。その初日、黄陵まで一気に40キロも歩いた。何も口にしていなかったので、ひどくお腹が空いていた。ある食堂を通りがかると、中では油条(細長い揚げパン)を揚げている。当時はもう旧暦の11月だったのに、ボロの服しか身にまとっていなかった。それを脱ぎ、「もう腹ペコで死にそうです。油条2本と換えてくれませんか」とささげるようにして相手に差し出した。30過ぎの人は、「小僧、看板を良く見ろ。お前が物乞いに来るところか」と言いながら、両手で私の首をつかんで追い出した。顔を上げて見ると、そこには「国営食堂」と書かれていた。(96年陜西省に里帰りした際、わざわざここまで足を運んだ。相変わらず食堂ではあったが、当時の国営食堂は個人経営になっていた。)
食堂を追い出された私は、石炭を運ぶ軍の車両に出会った。立派な軍服をまとった人が車両から降りてきた。幼いころから、解放軍がどれほどすばらしいか聞かされて育ったので、駆け寄ってひざまずき、彼の足にしがみついた。そして、「軍人さん、もう腹ペコで死にそうです。何か食べるものを恵んでください」とすがった。鼻水と涙でグショグショになって哀願したが、全く相手にされなかった。視線を上げると、彼の目は通り過がりのきれいなお嬢さんに釘付け。私の言葉など耳に入らないのだ。この時の物乞いも失敗に終わった。
その夜、バスの発着所に着いた。
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