水桶に月は宿らじ
- 前書き
「千代能が抱く桶の底ぬけて 水たまらねば 月もやどらず」
そう謳ったと言う。
水桶に写る月とは、いったい何の暗示なのか? すでに知っている読者もいるかも知れないが、もし本当の自分の自分が出現すれば、この世界は水面に映った月のようなものかも知れない。
幕府の有力御家人安達泰盛(鎌倉幕府第八代執権・北条時宗の外戚)の一族郎党が霜月騒動で滅びた。だが、その生き残りの一人の娘、千代能が無学祖元禅師のもとで出家して、日本女性として初めて悟りを開くまでの物語である。
ただ、千代能の生涯、資料は少なく言い伝えは諸説あり、史実を追えていないことを最初に御断わりしておく。悟りを表現するのは難しいが、想像することはできる。それがわが師の導きにより、正しく伝わることを願うものである。
- 出会い
- 安達家の姫の受難
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