府中町で訪問鍼灸&マッサージをしている"おおした"です

このブログは2005年6月に始めました。鍼灸院をやってた頃のことを含め、今も気ままに書いています。

子どもの失敗を奪わないようにしたい

2023年01月14日 | 子育て
KONO式のペーパードリップを購入し、温度計も用意して毎日コーヒーを淹れています。
作り方通りに淹れると、確かに雑味の少ない味わい!
ちょこっと上手になっているような気がします。



子どもの失敗を奪わないようにしたい

新入社員が無断欠勤し始め結局親が会社に乗り込んできて退職に際するあれこれ差配した、という話を患者から聞いた。今時の親はどうなっているのだ、と言う話はさておき、この話から思ったことを書いてみたい。

冬の風物詩である高校サッカーが先週終わった。岡山県から初めて優勝校が出たという話題で盛り上がったが、広島県の皆実高校サッカー部監督を取り上げた記事が目に留まった。そこにはトップダウンではなくボトムアップから始まる指導について書かれてあった。なんでも皆実高校サッカー部の小熊監督は、生徒が考え実行するサッカー(ボトムアップと言うらしい)を目指し、指示や全体練習の量を減らして広島サッカー界の頂点に立ったそうだ。
  
子どもに任せることにより収拾がつかなくることは多分にあったと思う。勝利を追求するのであれば、あの多感なティーンを締め上げでなくまとめるのが容易でないことは多分に理解できる。だから年長者によるトップダウンによる指導も大切だと思うのだが、とにかく指導者のありようで、生徒自らが行動し勝利を目指し勝ち抜くチームに成長する事に、それがトップレベルで行われている事に感心することしきりであった。

自分で決めたことは、それが成功であれ失敗であれ、自分のものになる。しかしトップダウンで決められたことを年長者の顔色をうかがいながら取り組むような場合だと、その成功も失敗も与えられたもの、という意識を拭うことができない。ましてや今はできるだけ成功体験を増やし、失敗させないことを良しとする社会である。子どもはいくつになっても庇護の対象であるとの錯覚に陥る可能性がある。

子どもはどこかのタイミングで自らの羽を広げ、年長者と対等な世界に飛び立つ。自分よりも若くて力強い羽を持ち、おまけに遠くまで飛ぶことのできる存在を守り続ける謂れなんて誰にもない。

ところで子どもは他者と自分の区別がつかないまま生まれてくる。親と触れ合い、他者と触れ合うことで少しずつその区別がついていく。最初は一から十まで親に依存していたものが、いつの頃からか自分で判断し行動するようになる。親はそれを見極め、距離を置くようにしていくものだが、子どもはいつまでも子どもである、と勘違いしている親が多すぎる。そんな親がいるからティーンを過ぎても「尊敬する人は父親です」とか言い出す気持ち悪い子どもが出てきたりするのだ。反抗期で困っている、といった話もそうだ。「原因はあなたなんだよ」と一人冷笑する自分がいたりする。

少なくとも高校生になったら干渉しない。それぐらいの気持ちで子どもと向き合った方がお互いにとって良いと思う。聞かれたら自分の思いだけ伝える。ただ判断材料の一つになればよいというくらいの気持ちで。親の意見を採用するかもしれないし、しないかもしれない。勉強の強要だなんてティーンに通用するわけもなく、その時期に勉強しないのは、その子のそれまでの生き方から導かれた問題なので、そこで問題が起きたとしても、そこから得られる成功も失敗も親が奪っては絶対に駄目だと思う。とにかく子どもの失敗は奪わない、冒頭の話ではないが、仕事を辞める時のあれこれも本人から奪わない。

親のその一言が、その行動が、子どもの今後の成長や成功につながるわけがない。親として、それくらいのかすかな存在であれば万々歳である。でもこの世の中には子どもに影響を与える存在であり続けたいと思う親がいる。本当に不思議である。

それが果たして本人にとって善なのか、それとも害悪なのか。

自分で考え行動し失敗したことは必ず次につながる。成功体験をさせたいのはよくわかるが、年長者が失敗する可能性の高いものをあなたのためにという理由で排除することが果たして良いことなのか。本当はその失敗にこそその子の将来の成功に繋がるものが含まれていないか、そう考えると言葉に躊躇してしまう。

せっかく会社を辞めるという選択をしたのだから、その選択を奪う権利は親にはない。それが失敗だと思われるものになったとしても「あの日に考えて行動できたから、今があるんだよね。」と子どもの体験を共有できる伴奏者でありたいと思うのである。



「まだまだ試行錯誤が続きますが、いつかは自分なりにボトムアップ方式を進化させていきたい。選手(生徒)が主体的に判断して行動していく。それが日常になり文化になれば、ボトムアップという言葉も必要なくなりますからね」
「週4回練習で心にゆとり」「選手選考もすべて部員に任せて」広島皆実の“高校サッカー指導改革”「それが日常になり文化になれば…」小熊和人監督 ナンバーウェブ




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