米軍基地乱射 戦場の実態知り失望か
2009年11月7日 朝刊
【キリーン(米南部テキサス州)=加藤美喜】米テキサス州のフォートフッド陸軍基地で五日、重体だった一人が死亡し犠牲者が計十三人となった銃乱射事件で、複数の米メディアは、実行犯の軍医で陸軍少佐ニダル・マリク・ハサン容疑者(39)が、アフガニスタンやイラクからの帰還兵から診療を通じ話を聞く立場だったと報じた。自らも派兵対象になっており、動機解明にどうつながるか注目される。
AP通信によると、同基地の司令官は六日、ハサン容疑者が発砲前「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んだと語った。捜査当局はこの情報をまだ確認中だという。
ハサン容疑者は陸軍入隊後、精神医療畑を歩み、ワシントンの陸軍医療機関で研修を積んだ後、今年七月に基地に配転された。
基地は、海外派兵の最終訓練を行うとともに、帰還兵が精神診療などのため最初に戻る場所。
ハサン容疑者のいとこはニューヨーク・タイムズ紙などの取材に「(精神科医の容疑者は)帰還兵から恐ろしい戦場の実態を連日、聞く立場だった」と証言。容疑者は近くアフガニスタンかイラクへの配置が決まっていたとされ「自分の派兵に幻滅していた」とも語った。
いとこによると、容疑者自身は米国生まれだが、両親はエルサレム近郊の出身。親の反対を押し切って入隊したが、米中枢同時テロの後、イスラム教徒として嫌がらせを受けたという。除隊も考えたが、軍の奨学金返済義務があり断念。ただ結婚紹介の申し込みでは国籍を「パレスチナ」と記入するこだわりをみせていた。
ハサン容疑者は警官との銃撃戦で負傷して病院に運ばれており、捜査当局は同容疑者の体調が回復次第、事情聴取を始める方針だ。
何と悲惨な事件だろう!
銃の乱射で犠牲になった13人の人は勿論のこと、
加害者である陸軍少佐もある意味では被害者と言えそうな事件であった。
加害者マリク・ハサンはアメリカ生まれだけれど両親は、今のアメリカと敵対関係にあるアラブ出身で、軍の精神科医であったと言う。
アフガニスタンやイラクの戦争に参加して、現地で残酷な事をしてきて、
心身ともに参ってしまっている人達の話を、数え切れないほど聞かされて、
アメリカ軍の理不尽さと、自分の父祖の地が今蒙っている悲惨な運命を思うと、きっと耐えられない思いの毎日であった事だろう。
遠くアメリカで話を聞いているだけでも辛いのに、
侵略軍の一員として、現地に行く事が決まってしまったとき、
遂にハサンの精神が、爆発してしまったと言うことなのではないだろうか?
私は昨日このニュースを見た時、どうしてこんな事をする前に、除隊しなかったのだろうかと不思議に思ったのだけれど、
奨学金返済義務が有った為、除隊もできなかったものらしい。
入隊を志した時には、こんな中東との戦争が起こるとは思わないで、
希望に胸膨らまして勉強したのだろうに、事もあろうに祖国と戦争状態になってしまったのであった。
戦争が始まってからは嫌がらせも受けたそうだけれど、さぞ辛い日々であったことだろう。
戦争とは何と無残な事を、人々にもたらすものだろう!
イラクやアフガニスタンの人々は、戦争が始まって8年以上の間、ずっと地獄のような生活だったろう事を思うと、痛ましくてならない。
戦争で国際紛争を解決すると言うことは、もう断じて止めにしてもらいたいものである。
この事件の影響で、オバマ大統領の来日が、13~14日ごろに変更される見通しであると言う。然しながら一部で囁かれていたように、普天間基地問題でアメリカの要求通り、オバマ大統領の訪日までに、政府が方針を決めなかったら、オバマ大統領の訪日が無くなるかもしれないと言う懸念を述べている人もあったが、
予定を変更しても来日されると言うことは、只の脅しであったと言うことが明らかになったことになる。
尤もオバマ大統領自ら、普天間基地移転問題は大統領の訪日迄と、日にちを限る必要は無いと言っておられるテレビニュースが2~3日前に流れていたのだったけれど・・・・・
やっぱり田中宇さんの「沖縄から覚醒する日本」の見通しどおり、アメリカは沖縄から撤退する事を目論んでいると言うのは、本当のことなのかもしれない。