イラク空自に撤収命令 正当性や根拠に疑念残し
2008年11月29日 中日朝刊
政府は28日、イラクで空輸支援活動をしている航空自衛隊部隊の年内撤収を決め、浜田靖一防衛相は撤収命令を発令した。これで約5年に及んだ自衛隊によるイラク支援は終了する。政府が自衛隊を派遣した判断は検証されず、憲法上の派遣根拠も明確でないまま、幕引きを迎える。
浜田氏は同日の記者会見で「1人の犠牲者を出すこともなく、無事に任務を遂行し、国際社会から高い評価を得た」と強調した。だが、自衛隊のイラク派遣ではいまだ多くの疑念が残ったままだ。
1つはイラク派遣の正当性だ。2003年3月に米国がイラク戦争を始めると、小泉純一郎首相(当時)はすぐに支持を表明。7月にイラク特措法を成立させ、翌04年1月に陸自、3月に空自部隊を派遣した。
その後、米国が開戦の根拠とした大量破壊兵器は見つからず、日本でも開戦支持の判断や自衛隊派遣の正当性が揺れ始めたが、小泉首相の後を継いだ安倍晋三首相(当時)は「間違っていなかった」の一点張り。政府内で当時の判断や責任を検証することなく、ずるずると活動を続けた。
もう1つの疑念は憲法との関係だ。
自衛隊にとってイラクは初めての「戦地」派遣。戦闘に巻き込まれれば、海外で武力行使を禁じた憲法に抵触しかねない。政府は「非戦闘地域」という新たな概念をつくり、憲法との整合性に腐心したが、その定義をめぐり小泉首相が「自衛隊が活動する地域が非戦闘地域」と述べるなど迷走。今年4月には名古屋高裁が空自のイラク派遣に「違憲」の判断を示した。
イラク撤収後は、自衛隊による国際貢献の中心はアフガニスタン支援になる。政府はインド洋での給油活動を継続する新テロ特措法改正案の早期成立に全力を挙げるが、米国から新たな支援を求められる可能性もある。
なし崩し的に自衛隊の海外活動を拡大するのはやめ、まずはイラクの活動を検証する必要がある。そのためにも空自は何を運び、どんな作戦を支援したのか情報公開は欠かせない (清水孝幸)
問題だらけの自衛隊のイラク派遣だったけれど、何とかことなく空自も帰国できそうで、それはヤレやれなことだけれど、
憲法違反の判決(「空自イラク派遣は憲法9条に違反」 名古屋高裁判断)が出た事を無視したままで、今度はアフガニスタンに、自衛隊を派遣するなど、以ての外のことではないだろうか。
「そんなの関係ね~」で済まして良いものではないはずである。
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