耳順庵日記

60歳を超えて、生き馬の目を抜く首都圏の生活にカムバックした。
浦安太郎が見た、都会の意外な側面を綴ってみたい。

赤穂義士引上げ道中

2015年02月20日 21時06分38秒 | 都会の風景

 赤穂の四十七士が吉良邸を襲撃して、上野介の生首を泉岳寺まで
運んだルートを歩いた。

 12月14日や3月14日は混みそうなので、この時期を選んだ。
まずは両国駅を11時に出発。南に下って京葉道路を越えて芥川文学碑
を過ぎると、幟が立っていた。



 その角を曲がると、有った。旧吉良邸跡。



 ネット情報では本所松坂町公園がそうだとのことだったが、小さな
公園というよりは、小さな中庭だ。多分愛知県の吉良の庄だけでなく、
このあたりでも上野介は慕われているのではないだろうか。



 前の道は何時も通り過ぎるのだが、回向院には寄ったことが
無かった。



見どころは多いが、鼠小僧次郎吉の墓の前の石を叩いて、先を急ぐ。



 京葉道路はすぐ両国橋だ。橋のたもとに大高源吾の句碑。
  日の恩や忽ちくだく厚氷



 ここの角には猪料理のももんじやが有る。以前から気になって
いたが、店先に猪の剥製が吊るされていた。



少し下ると、一の橋手前に、春日野部屋が有った。8階建ての
マンションで、少しイメージダウン。



お相撲さんが出歩く時間帯では無かったようだ。
近くは下町そのもので、緑青が吹いた銅板壁の町屋が不自然さを
感じさせない。



 堀を渡るとすぐ左手に、江島杉山神社。調べて来ないと
見過ごしてしまいそうな入口だ。



赤穂浪士とは関係ないが、江の島の弁天さんの分社だと言う。
路地を入ると少し開けていて、奥に洞窟が有った。

 討ち入り後の隊列は、登城の武士たちの邪魔にならないよう、
川を渡るのを控えたようだから、そこから隅田川沿いの散歩道
に出た。隅田川テラスと言う。

近くに芭蕉庵の跡の記念館が有るので、句碑が点在している。



  ほととぎす声横たふや水の上
  名月や門に指しくる潮頭
  芭蕉葉を柱にかけん庵の月
  花の雲鐘は上野か浅草か
  名月や池をめぐりて夜もすがら
  あられきくやこの身はもとのふる柏
  野分して盥に雨を聞夜哉
  しばの戸にちゃをこの葉かくあらし哉


 昨日の雨もよいの寒空と打って変わって、日差しが暖かく
川風が歩いて火照った体に気持ち良い。これを三寒四温と
言うのだろうか。
昔の職場のビルを背景に、今日の出で立ちを一枚。



 永代橋を渡って、暫くは歩いた道が判然としない。
とりあえず、新川の交差点を渡って、霊厳島を目指す。
亀島橋を渡ったあたりに堀部安兵衛の石碑が有るはずだと、
通りの向こう側を見ると何かある。車の隙間を狙って渡って
みると、なんと銀座の柳4世の石碑だった。



振り返って見ると、有った石碑が。もう一度不法横断して、
やっと撮影成功。



 歩き始めて、1時間半。両国で少し遊び過ぎたようだ。
しかし、もう少し頑張ろう。



 次の目標は聖路加病院。ここに旧浅野邸跡の石碑が有る。





しかし、赤穂浪士が引き上げたときには、既に幕府に召し
上げられていたはずだ。



 やっと、築地。天気が良いせいか、中国の旧正月の為か、
平日にも拘らず、凄い人出。
寿司を食おうと思ったが、満席で待たされた。



 やはり寿司食うなら一流どころと、入った寿司清は、
美味かった。



本所から歩いて来て、これから泉岳寺に行くんだと、
余計なことをしゃべって、ビール一本飲んで、疲れた足を
労わって、さあ続きだ。



 昭和通から汐留に入ると、旧新橋駅舎跡に出た。いつもは
横を車で通りすぎているが、面白い物に出会った。
無料なのが良い。



 新橋交差点を過ぎて第一京浜に入る。ガードを過ぎると
この間開通したマッカサー道路だ。



向こうに虎の門ヒルズが聳えている道を歩くと、有った。



切腹最中で有名な和菓子屋だ。店内で食べるとお茶を
御馳走してくれた。




 ここから、新橋赤レンガ通りを行くが、見るべきものは少ない。



御成門も芝大門も増上寺も、今日はパス。




将監橋を過ぎて第一京浜に出ると、すぐ札の辻の交差点。



ここからは東京タワーが良く見える。




高輪大木戸跡を過ぎて、いよいよ泉岳寺だ。


 
 着いて見て、びっくり。参道入り口の中門に大きな立て看板が。
あの安保闘争の時の大学正門を思い出した。



隣にマンション建設の工事が始まったようで、抗議している
とのこと。


境内は、いつもの泉岳寺。






 さすがの中国人たちもここには来ないらしく、麗らかな
日差しの中、一人一人の義士の墓所に線香を手向ける老夫婦や、
若い参拝者も、落ち着いた雰囲気を醸し出している。






 改めて、義士たちの墓石をよく見ると、戒名には皆、
刃と剣の2文字が入っているのに、一人だけ例外が居た。



隅っこにある寺坂吉衛門の戒名には、この2文字が無い。

こんなことが、又色んな後日談の材料になっているようである。


 せっかくだから、500円を投資して、赤穂義士記念館を
見ることにした。展示物は大したことは無かったが、ここ
まで12kmを5時間歩いた、足を休めることが出来たのは
有難かった。



 久しぶりに都内を歩いた。

 七福神以外にもまだまだ、見るべきもの、薀蓄と講釈の種は
あまた有るようである。

少し、楽しみになって来た。





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