耳順庵日記

60歳を超えて、生き馬の目を抜く首都圏の生活にカムバックした。
浦安太郎が見た、都会の意外な側面を綴ってみたい。

日本橋人形町

2015年03月01日 21時28分21秒 | 都会の風景
 先ずは水天宮から始めよう。

 水天宮界隈は日本橋蠣殻町という。中央区日本橋はずいぶん広く、
人形町の他に、浜町、箱崎町、蛎殻町、小舟町などが含まれる。
名前が示すように、江戸開府の頃はこの辺りまで海だったと言う。

 地下鉄半蔵門線の終点は、永らく水天宮前だった。地下鉄の階段を
上がると手塚治虫の漫画の未来都市のような、何重にも重なって
カーブしている高速道路が見える。その下はTCAT、東京シティエア
ターミナル。昔はここで荷物を預けて搭乗手続きが出来て、バスで
成田に直行だった。海外出張の時はここで、背広を機内用の軽装に
着替えたものだ。

 そこから隅田川までは箱崎町。隅田川大橋を挟んでIBMビルの反対
側に、飛行機が通り抜けられるような門型のビルが有る。私は8年
ほどここに通勤した。

 水天宮の社殿は何故か2階に在る。1階は駐車場だが、通りに面して
は小さな店になっていた。角は三福と言う小さな一杯飲み屋。
品の良い婆さんが一人で切り盛りしていた。隣の土産物屋では爺さん
が日がな煎餅を焼いていて、婆さんが店番していた。何故かその隣に
鶏肉屋があった。そして神社に上がるエレベーターを挟んで交番が
角に在る。社殿を模した青い屋根で、遠くからも良く目立つ。

 現在、社殿改築の工事中で、一帯が塀で囲われている。浜町に仮殿が
有るが、水天宮の下に有った小さな店と、そこの爺さん婆さん達はどう
なるのだろうか?




 新大橋通りを挟んで向こう側が、本題の日本橋人形町だ。

 交番の向かいは人形焼の重盛、店の奥で職人たちが鉄の型で人形焼を
焼いている。餡の入った人形焼は勿論名物だが、カステラと称するガワ
だけ焼いたのが、意外と安くて美味い。

 交番の筋向いは、三原堂と言う和菓子屋でどら焼きが有名だが、
塩センベイが隠れた名作だと思う。
 この界隈には、和菓子屋が多い。黄金芋と言うシナモンの香りで芋の
形をしたお菓子を売ってる寿堂や、大きいけど真っ白で上品な味の饅頭
で有名な玉英堂や、千鳥饅頭の千鳥屋。少し趣は違うが、テレビにも紹介
されて行列が絶えない、たい焼きの柳屋は甘酒横丁に有る。



 人形町は昔からの老舗が多い。人形作りの職人もわずかだが残っていて、
三味線や昔の道具を作ってる店も、甘酒横丁に並んでる。その中で、私の
お気に入りは昔ながらの扇子を売っている、京扇堂だ。1万円程の洒脱な
扇子を此処で求めた。数年使って、要が傷んだので持って行ったら、
京都に修理に出すからと一週間待たされて、立派になって帰ってきた。


 人形町と言えば、矢張り軍鶏料理の玉ひでだ。人形町通りを少し入った
所にナマコ塀の店が有る。ここの親子丼は1500円と少し高価だが、絶品だ。
昼はいつも11時から長蛇の列が出来る。最近これを並ばずに食べる奥の手
を発見した。都内のデパートが時々やる催し物に、玉ひでが出店すること
が有る。その時が狙い目だ。宴会でも締めに出てくる。

 高級な店構えの日山は、肉屋である。1階は高そうな肉を小売りして
いるが、2階はすき焼割烹だ。いくら掛かるか怖くて、まだ一度も入った
ことが無い。
 そういえば、一本奥の道には、すき焼きの今半が有る。
舞浜のイクスピアリにも出店が有るが、本店はここだ。

 やはり、この界隈は高級な店が多い。

 粕漬けの魚久もそうだ。日本橋蠣殻町の鮮魚店から始まって、高級魚を
粕に漬けたのが始まりだと言う。ここのお薦めは、朝開店早々に売られる、
切り落としだ。魚も粕も同じで、ただ部位が半端なだけだから、家用には
とてもお得だと思うよ。


 甘酒横丁の豆腐屋双葉も面白い。特にここのジャンボがんもは、一度
見た方が良い。なんせ、人の顔ほどの大きさのがんもどきだ。
 2階は座敷になっていて、忘年会などで良く行った。勿論大きながん
もどきの煮物が出てくる。

 このほかに、福神漬けの酒悦、京漬物の近為、ウナギの大和田など、
思い出を書き出したら限が無い。

 ああ、懐かしいなあ!




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