私はOのお母さんの事を随分長い間、
感情的で気性の荒い性格だと思っていたけど
あの人はごく普通のお母さんだったんだなあと
今になって思う。
私の事をとても好いてくれていた。
●ちゃん●ちゃん、と私が訪ねるたびに
私の名を呼んで歓迎してくれた。
Oが私の名を呼ぶ事が無いかわりみたいに
何度も私の名を呼んで
来たことをいつもとても喜んでくれた。
Oの体調が良くなればK君を歓迎し、
悪くなれば責めかかり徹底的に罵る。
そんなOのお母さんの姿は、私の目には
あまり理想的な母親像に見えなかった。
だけどだれがあの状況で理性的に振舞えるだろうか。
私達はOの友達として、K君の友達として
二人の立場から事故を見て
二人のためにK君を許してやってほしい、K君ばかりを
一方的に責めないで欲しいと願ってきたけど
Oのお母さんは「お母さん」という立場なのだ。
お母さんは私達の誰にも理解出来ないぎりぎりの所で
一人理性や感情や現実と戦っていたのだ。
もう何度目か知れない入院中、
お母さんはお見舞いに訪ねたS君に
Oについてある事を言った。
あの子はあの時、―――――――。
その言葉を「お母さん」に言わせるとは、
一体どれほどの崖っぷちから発した言葉だろう。
S君は私にそれを伝えたあと
「そんな事を言っちゃいけませんよって…
俺に言えるわけないよ。
だって一番分かってるに決まってる」
そう言って黙った。
Oと一時期は仲良くなかったかもしれないけど
大事に大事に育てた娘だったのだ。
その娘に「知らん」と言われて
一体誰が理性的で居られようか。
だからこの結末はもう、仕方のない事だったのだ。
感情的で気性の荒い性格だと思っていたけど
あの人はごく普通のお母さんだったんだなあと
今になって思う。
私の事をとても好いてくれていた。
●ちゃん●ちゃん、と私が訪ねるたびに
私の名を呼んで歓迎してくれた。
Oが私の名を呼ぶ事が無いかわりみたいに
何度も私の名を呼んで
来たことをいつもとても喜んでくれた。
Oの体調が良くなればK君を歓迎し、
悪くなれば責めかかり徹底的に罵る。
そんなOのお母さんの姿は、私の目には
あまり理想的な母親像に見えなかった。
だけどだれがあの状況で理性的に振舞えるだろうか。
私達はOの友達として、K君の友達として
二人の立場から事故を見て
二人のためにK君を許してやってほしい、K君ばかりを
一方的に責めないで欲しいと願ってきたけど
Oのお母さんは「お母さん」という立場なのだ。
お母さんは私達の誰にも理解出来ないぎりぎりの所で
一人理性や感情や現実と戦っていたのだ。
もう何度目か知れない入院中、
お母さんはお見舞いに訪ねたS君に
Oについてある事を言った。
あの子はあの時、―――――――。
その言葉を「お母さん」に言わせるとは、
一体どれほどの崖っぷちから発した言葉だろう。
S君は私にそれを伝えたあと
「そんな事を言っちゃいけませんよって…
俺に言えるわけないよ。
だって一番分かってるに決まってる」
そう言って黙った。
Oと一時期は仲良くなかったかもしれないけど
大事に大事に育てた娘だったのだ。
その娘に「知らん」と言われて
一体誰が理性的で居られようか。
だからこの結末はもう、仕方のない事だったのだ。