<山荘前の小さな池>
ペルー周遊記(46):第13日目(1):山荘の休日
2008年7月13日(月)
<休日の朝>
■やっぱり高度障害か
高所にも多少馴れたのか,昨夜は比較的良く眠れた.
6時30分頃,起床する.どうやら今朝も晴れているようである.
6時40分頃,小屋から外へ出てみる.朝方は多少の霧が発生していたが,日が昇るにつれて,霧が晴れ渡るにつれて,段々と暖かくなる.
8時頃から,食事小屋で朝食を摂る.自覚的には高度障害はないように思うが,相変わらず食欲は減退している.
メニューは,ゴハンに味噌汁,それにマスの焼き物,サラダ,チモリア(果物の一種)などである.
<山荘の朝食>
■終日自由行動
朝食後,パルスオキシメーターで血中酸素飽和度と脈拍を測定する.それぞれ,93%と79回/分である.どうも,血中酸素飽和度の値が低い.それに,脈拍も少し多い.自覚症状はないが,やっぱり高度障害を受けているようである.
今日は終日,特に予定はない.全くの自由行動である.
KAさんは,お一人でトレッキングに出掛けた.私は特段することもないので,小屋の周辺でノンビリと過ごすつもりである.
<チーフガイドのクラウディオさんと弟さんのサイン>
■クラウディオさんの一家
山荘に,何時の間にか,チーフガイドのクラウディオの奥さんが来ている.民族衣装を着ている.何となく凛とした印象を受ける奥さんである.サブガイドのクラウディオさんも来ている.チーフガイドの弟さんである.
飼い犬も一緒に来ている.白に茶の斑が入った小型犬である.私は,もともとネコ派.大きな声で「ワン・・ワン・・」と吠える犬は,あまり好きではない.とは言っても,一時,家でビーグル犬を飼っていたことはあったが,ネコほどには好きになれなかった.
話は逸れるが,犬も直感力があるらしくて,犬に好感が持てない私の態度物腰を敏感に察知して,大抵の犬は,私には近付かないだけでなく,吠えまくられてしまうことが多い.だから,ますます犬が苦手になる.
ところがどうしたわけか,このクラウディオさんの飼い犬だけは,数多い人の中から私を選んですり寄ってくる.私は当惑しながらも,オッカナビックリ,この犬の背中や頭を撫でてやる.
「・・・犬も,案外,可愛いな・・・」
が率直な感想である.
<クラウディオさんの奥さん> <クラウディオさんの人なつこい犬>
■観光組とお別れ
観光組のTさんと,Iさんは,これからリマ経由で帰国する予定である.
お二人は,昨日,私達が乗っていた専用バスに乗る.
「えっ・・! 2人で,この大きな車に乗るんですか!」
と当のお二人がビックリする.
8時36分に山荘を出発.2人の乗客に,運転手が2人.大きな専用バスで“ゆったり旅”である.全く羨ましい限りである.
<観光組とお別れ(8時36分):写真の2人は運転手>
■周辺を散策
昼食後,雑記帳を持って,山荘の周辺を一人でブラブラ歩きをしてみようと思う.
まずは,山荘裏手のガレ場の坂を,稜線まで登ってみる.稜線の向こうがどうなっているのか,私はこの眼で確かめたかった.
山荘から少し登ると,直径約5メートル,高さ約4メートルほどの大きな岩がある.この岩の脇を通り過ぎて,さらに数分登り続けると,なだらかな稜線に出る.稜線の向こうも同じような風景が続いている.どうやら,私は,東側に見えているU字形の谷から,氷河で押し出されてきた扇状地型モレーンの高い所に居るようである.
地図で確かめると,このU字形の谷は,コフッフ谷(Cojup)というらしい.
<大きな石と山荘>
■素晴らしい眺め
周辺は礫と砂利が混ざったガレ場が連続している.見通しがよいので迷う心配はない.暫くの間,周辺を散策する.ここは標高3,700メートルを越える高所だが,照りつける日光のために,ジリジリと暑い.ただ,湿度が低いので,真夏の東京のような蒸し暑さではない.
同じ所を数回行き来してから,大岩に戻る.
この岩は,山荘に面した南側は垂直に近いので登れないが,北側は岩の割れ目を伝って登れそうである.さらに,西側は,胸の高さくらいまでは,少々登りづらいが,後は容易に上まで登れそうである.
岩からの見晴は素晴らしい.早速,ノートを取りだして,周辺の印象を書き写す.
西を見ると,氷河で削られたU字谷の奥に白く輝くプカランカ山(Pucaranra;標高6,156m)の山頂が見えている.その南側には,シュルップ山(Churup;標高5,495)の山頂が顔を出している.シュルップ山は,昨日のトレッキングで,シュルップ湖から見た山である.
北に見える白い峰は,多分,ランラパルカ山(Ranrapalca;6,156m)ではないかと思われる.
<U字形のコフップ谷:白い峰が覗く>
■長閑な里山
南を眺めると,足元に山荘の建物が一列に並んでいる.その向こうには長閑な平原が広がっている.ワラスへ向かう砂利道が,S字になって見えている.その向こうには,稜線歩きをしたら気持が良さそうな丘が連なっている.
もし,また山荘を訪れる機会があったら,あの稜線を散策してみたいなと思う.
<長閑な里山(12時31分頃)>
■白く輝く連山
南西に目を向けると,白く輝く峰々が連なっている.北側から鋭く尖ったワマシュラフ山(Huamashraju;標高5,434m),続いて,雲間にカーシャン山(Cashan;標高5,686m),シャクシャ山(Shaqsha;標高5,703m)である.
実に見事な風景である.この風景を眺めただけでも,この山荘を訪れた価値はあるといえよう.
<白い峰々,ワマシュラフ,シャクシャ,カーシャンが見える>
<気儘な午後の一時>
■簡素な昼食
12時40分頃から,食堂小屋で昼食を摂る.
献立は,スープ,トウモロコシ,チーズ,ジャガイモ,佃煮各種.
山荘オーナーの三井さんの話によると,午後からパーティが開かれるそうである.そのパーティのご馳走が食べられなくなるといけないので,昼食はごく軽くしておく方が良いとのことである.
<簡素な昼食>
■装備品のチェック
暫くの間,宿泊小屋の前の広場で,日向ぼっこを楽しむ.ついでに,持参しているロープを取りだして,ロープワークの復習を始める.すると,何人かの方々が集まってきて,一緒にロープワークを楽しむ.
次いで,明日から始まるピスコ山登頂に備えて,携行する装備品のチェックを,ガイドのクラウディオさんと,サブガイドの弟のクラウディオさんにお願いする.
アイゼン,ピッケル,ハーネス,スパッツ,カラビナ,フリース,防寒具等々.
登山班全員の装備品に問題はなさそうである.
<山荘前で装備品のチェック>
(つづく)
2008年11月5日 転換ミス訂正
前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/73741d3db657287bf41c9dca070eba76
次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/cdc4114ab694b907d92d1354bcc85ae2
このシリーズの最初の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/6fee0e316085f32cce0c47a424821346
ペルー周遊記(46):第13日目(1):山荘の休日
2008年7月13日(月)
<休日の朝>
■やっぱり高度障害か
高所にも多少馴れたのか,昨夜は比較的良く眠れた.
6時30分頃,起床する.どうやら今朝も晴れているようである.
6時40分頃,小屋から外へ出てみる.朝方は多少の霧が発生していたが,日が昇るにつれて,霧が晴れ渡るにつれて,段々と暖かくなる.
8時頃から,食事小屋で朝食を摂る.自覚的には高度障害はないように思うが,相変わらず食欲は減退している.
メニューは,ゴハンに味噌汁,それにマスの焼き物,サラダ,チモリア(果物の一種)などである.
<山荘の朝食>
■終日自由行動
朝食後,パルスオキシメーターで血中酸素飽和度と脈拍を測定する.それぞれ,93%と79回/分である.どうも,血中酸素飽和度の値が低い.それに,脈拍も少し多い.自覚症状はないが,やっぱり高度障害を受けているようである.
今日は終日,特に予定はない.全くの自由行動である.
KAさんは,お一人でトレッキングに出掛けた.私は特段することもないので,小屋の周辺でノンビリと過ごすつもりである.
<チーフガイドのクラウディオさんと弟さんのサイン>
■クラウディオさんの一家
山荘に,何時の間にか,チーフガイドのクラウディオの奥さんが来ている.民族衣装を着ている.何となく凛とした印象を受ける奥さんである.サブガイドのクラウディオさんも来ている.チーフガイドの弟さんである.
飼い犬も一緒に来ている.白に茶の斑が入った小型犬である.私は,もともとネコ派.大きな声で「ワン・・ワン・・」と吠える犬は,あまり好きではない.とは言っても,一時,家でビーグル犬を飼っていたことはあったが,ネコほどには好きになれなかった.
話は逸れるが,犬も直感力があるらしくて,犬に好感が持てない私の態度物腰を敏感に察知して,大抵の犬は,私には近付かないだけでなく,吠えまくられてしまうことが多い.だから,ますます犬が苦手になる.
ところがどうしたわけか,このクラウディオさんの飼い犬だけは,数多い人の中から私を選んですり寄ってくる.私は当惑しながらも,オッカナビックリ,この犬の背中や頭を撫でてやる.
「・・・犬も,案外,可愛いな・・・」
が率直な感想である.
<クラウディオさんの奥さん> <クラウディオさんの人なつこい犬>
■観光組とお別れ
観光組のTさんと,Iさんは,これからリマ経由で帰国する予定である.
お二人は,昨日,私達が乗っていた専用バスに乗る.
「えっ・・! 2人で,この大きな車に乗るんですか!」
と当のお二人がビックリする.
8時36分に山荘を出発.2人の乗客に,運転手が2人.大きな専用バスで“ゆったり旅”である.全く羨ましい限りである.
<観光組とお別れ(8時36分):写真の2人は運転手>
■周辺を散策
昼食後,雑記帳を持って,山荘の周辺を一人でブラブラ歩きをしてみようと思う.
まずは,山荘裏手のガレ場の坂を,稜線まで登ってみる.稜線の向こうがどうなっているのか,私はこの眼で確かめたかった.
山荘から少し登ると,直径約5メートル,高さ約4メートルほどの大きな岩がある.この岩の脇を通り過ぎて,さらに数分登り続けると,なだらかな稜線に出る.稜線の向こうも同じような風景が続いている.どうやら,私は,東側に見えているU字形の谷から,氷河で押し出されてきた扇状地型モレーンの高い所に居るようである.
地図で確かめると,このU字形の谷は,コフッフ谷(Cojup)というらしい.
<大きな石と山荘>
■素晴らしい眺め
周辺は礫と砂利が混ざったガレ場が連続している.見通しがよいので迷う心配はない.暫くの間,周辺を散策する.ここは標高3,700メートルを越える高所だが,照りつける日光のために,ジリジリと暑い.ただ,湿度が低いので,真夏の東京のような蒸し暑さではない.
同じ所を数回行き来してから,大岩に戻る.
この岩は,山荘に面した南側は垂直に近いので登れないが,北側は岩の割れ目を伝って登れそうである.さらに,西側は,胸の高さくらいまでは,少々登りづらいが,後は容易に上まで登れそうである.
岩からの見晴は素晴らしい.早速,ノートを取りだして,周辺の印象を書き写す.
西を見ると,氷河で削られたU字谷の奥に白く輝くプカランカ山(Pucaranra;標高6,156m)の山頂が見えている.その南側には,シュルップ山(Churup;標高5,495)の山頂が顔を出している.シュルップ山は,昨日のトレッキングで,シュルップ湖から見た山である.
北に見える白い峰は,多分,ランラパルカ山(Ranrapalca;6,156m)ではないかと思われる.
<U字形のコフップ谷:白い峰が覗く>
■長閑な里山
南を眺めると,足元に山荘の建物が一列に並んでいる.その向こうには長閑な平原が広がっている.ワラスへ向かう砂利道が,S字になって見えている.その向こうには,稜線歩きをしたら気持が良さそうな丘が連なっている.
もし,また山荘を訪れる機会があったら,あの稜線を散策してみたいなと思う.
<長閑な里山(12時31分頃)>
■白く輝く連山
南西に目を向けると,白く輝く峰々が連なっている.北側から鋭く尖ったワマシュラフ山(Huamashraju;標高5,434m),続いて,雲間にカーシャン山(Cashan;標高5,686m),シャクシャ山(Shaqsha;標高5,703m)である.
実に見事な風景である.この風景を眺めただけでも,この山荘を訪れた価値はあるといえよう.
<白い峰々,ワマシュラフ,シャクシャ,カーシャンが見える>
<気儘な午後の一時>
■簡素な昼食
12時40分頃から,食堂小屋で昼食を摂る.
献立は,スープ,トウモロコシ,チーズ,ジャガイモ,佃煮各種.
山荘オーナーの三井さんの話によると,午後からパーティが開かれるそうである.そのパーティのご馳走が食べられなくなるといけないので,昼食はごく軽くしておく方が良いとのことである.
<簡素な昼食>
■装備品のチェック
暫くの間,宿泊小屋の前の広場で,日向ぼっこを楽しむ.ついでに,持参しているロープを取りだして,ロープワークの復習を始める.すると,何人かの方々が集まってきて,一緒にロープワークを楽しむ.
次いで,明日から始まるピスコ山登頂に備えて,携行する装備品のチェックを,ガイドのクラウディオさんと,サブガイドの弟のクラウディオさんにお願いする.
アイゼン,ピッケル,ハーネス,スパッツ,カラビナ,フリース,防寒具等々.
登山班全員の装備品に問題はなさそうである.
<山荘前で装備品のチェック>
(つづく)
2008年11月5日 転換ミス訂正
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コメント有り難うございます.
ご指摘の通り,ペルーで滞在した山荘で出会った犬は,首輪もリードも付けていませんでした.
人間と一緒にグループを作っていました.正に家畜の原型を垣間見たような気がしました.
彼らは確かに貧しいかもしれませんが,彼らの生き様は,私などより,ずっと豊かだなと思い知らされました.
現場でのスケッチ,お褒め頂き恐縮しています.カメラでは撮れない超広角,超望遠がスケッチなら可能なので,このブログでも写真の補足として,スケッチを流用しております.
尊仏山荘の「営業部長」のスケッチも,機会がありましたら,ご披露致します.
度々のコメント,有り難うございました.
載せて頂けたらと、期待しています。