<夕暮れのレークマッケンジーロッジ>
ルートバーン(18):ルートバーントレッキング第1日目(7)
(湘南カラビナ隊)
2005年1月25日(金)~2月5日(日)
第5日目:2005年1月31日(月)
18 楽しい夕食とスライドショー
<レークマッケンジーロッジの平面図>
<夕食前のひととき>
■テラスでストレッチ
夕食まで少々時間がある.私達は何となくテラスに集まる.その内に,カラビナ隊の誰からともなく,ストレッチを始める.山旅スクールのサンダーN方ガイドに教わった手順に沿って,頭から爪先まで,じっくりとストレッチをする.途中から大阪組のご夫婦も参加する.
湘南カラビナ隊のフクロウが,私を指さしながら,
「この方,山欠菌っていうんです.年の割には随分若々しく山を歩くんです.幾つに見えますか・・」
と大阪組のご夫婦に質問する.すると旦那が私の顔や姿を見て,
「そうですね・・・まあ××才ぐらいですか・・」
とドンピシャッと当てる.
実は,ほとんどの方は,こう言っては,自慢話に取られると困るのだが,私の年齢を実際より,7~8才若く言うことが多い.
ところが,大阪組の旦那は,私の年齢をピッタリと当てる.別に若く見られる必要もないが,これには,当の本人もビックリする.
後で分かったことだが,この方は医師.やっぱり眼力は確かである.後日,フクロウが風邪を引いて,この医師の世話になるが,このときは,まだ,そんなことになろうとは,想像もしていなかった.
■食堂で乾杯
テラスでストレッチをしたり,食堂でコーヒーやジュースを飲んだりして,夕食前のひとときを楽しく過ごす.
同じツアーに参画している外国人の顔も分かったし,片言ながら会話をしている内に,だんだんと親しくなる.
18時31分,私たちは食堂で地ビール(SPIEGHT)の缶ビールで乾杯する.外国人ツアー客も交わって盛り上がる.下戸の私は,たちまちの内に出来上がってしまう.
19時05分,ガイドから,夕食の準備をするので,暫く外へ出てくれと言われる.再び部屋の前のベンチで日向ぼっこをしながら,満ち足りたひとときを過ごす.
ここは,南緯45度の高緯度地域である.しかも今は夏時間.だから,19時といっても,まだ,太陽は高々と輝いている.
■ニュージーランドに魅せられる
私たちは,ルートバーン初日で,もうすっかりニュージーランドの自然に魅せられている.誰からともなく,また,ニュージーランドへ来たいと言い出す.今回はニュージー(新しい爺)ランドだから,来年はオールドバー(古い婆)ランド(注・北島のこと)へ行くんだと,下らない駄洒落をいう.
Sさんに伺うと,ニュージーランド北島には海岸線をトレッキングするコースや,山岳地帯をトレッキングするコースなどがあって,氷河のニュージーランド南島とは異なった魅力のある自然を楽しむことができるという.
私は心密かに,来年の夏(つまり日本の冬)には,きっと,このニュージーランド北島を訪れようと心の中で決める.Sさんによると,オールドバーランドだけではなく,カナダ,タスマニア,オーストラリアでも,通常のトレッキングコースではなく,少し歩き堪えのあるコースを設定することができるという.
トレッキングの相談は,SさんとアルパインツアーのHさん,それに某さんの3人トリオに相談すれば,知恵が借りられるという.
<楽しい夕食>
■みそ汁とオートミールのハーモニー
19時30分,夕食の準備ができたとの知らせで,再び,食堂へ行く.Sさんの誘導もあって,私たち日本人組は何となくテーブルの奥の方に座る.私自身は,外人を含めてバラバラに座りたいという気持ちもあったが,ここは全員の雰囲気に従うことにした.
湘南カラビナ隊の誰かが,粉末の味噌汁を持参している.日本人の参加者にこの味噌汁を配る.ニュージーランドに来てから5日目になる.そろそろ日本食が恋しくなる頃である.この味噌汁が何よりも有り難い.
とはいえ,ここは山の中.余分な食器はないので,オートミールに味噌汁を混ぜて味わうことになる.味噌汁とオートミールのハーモニーも悪くないなと思いながら食べる.
まずはコーンスープ.セロリを細かく刻んだものが入っている.これがコリコリとした歯ごたえがあり,なかなかいける.ついで,メインディッシュ.ローストチキン,茹でカボチャ2切れ,ブロッコリー,コーンが盛りつけてある.デザートはパブロバ.大変豪華である.これが山小屋の料理とは思えないほど素敵である.
これらのすべての食材は,3人の現地ガイドが担いできたものである.そのことを考えると頭が下がる.
■食事をしながら雑談
食事をしながら,雑談をする.その内に,またも,湘南カラビナ隊の誰からともなく,
「また,来年,どこか外国へトレッキングに行きましょう・・」
という話になる.
添乗の日本人ガイドによると,ニュージーランド北島には,海岸線主体のトレッキングコースと,山岳地帯主体のトレッキングコースがあるという.特に山岳地帯のトレッキングコースは,ミルフォードサウンドやルートバーンとは違った趣のコースだという.また,ニュージーランドの他にも,カナダ,タスマニア,オーストラリアにも素晴らしいトレッキングコースがあると再び説明を受ける.
さらに雑談が続く.その内に,是非,モンブランにも登りたいなということになる.
(注)後日,湘南カラビナ隊では,これらの中から,ニュージーランド北島トレッキングと
モンブラン登頂を実現した.
<第2日目のコースの説明会>
■節電に協力しなさい
20時30分頃,ガイドの1人が,「チン,チン,チン・・・」と食器を叩く.
「皆さん,お知らせがあります.今夜,21時から,ここでスライドショーを行います」
「なお,この小屋の電気は太陽発電で賄っています.電気が不足していますので,灯りはこまめに消してクダサイ.夜半は自分の懐中電灯を使ってクダサイ」
20時35分,一旦,食堂を出る.
部屋に戻って,荷物の整理をする.そして,サンドフライ対策に,防虫薬を手首に塗りつける.
■スライドショー
私たちは,夕食を終えた後,一旦,部屋へ戻る.そして,20時58分,説明会に出席するために,再び食堂へ行く.
食堂のテーブルが片づけられ,スライド装置がセットされている.すぐに参加者全員が集まり,思い思いの席に座る.私はプロジェクターのすぐ隣に陣取る.
間もなくスライドショーが始まる.スライドを見ながら,英語と日本語で,明日からのコースの説明が続く.ガイドのカレンさんが説明役である.ちらりとカレンさんを見ると,筆圧強く金釘流で書いたローマ字の「あんちょこ」を,スライドにあわせて一生懸命に棒読みしている.
説明を聞いていると,文章が妙なところで切れたり,つっかえたりして,多少の焦れったさを感じるが,逆に懸命さが伝わってきて,好感が持てる.
スライドの撮影機が,えらく年代物である.スライドの1枚1枚を,厚紙のホールダーに重ね込んだものを,手送りで撮影機に送り込む.多分,30~40年前のアンティーク撮影機である.
最初に,これからのコースのダイジェストが紹介される.ついで,サンデュウ(Sundew)という食虫植物,白い花のグリーンフォーデッドオーキッド(Green Hooded Orchid)の紹介がある(注1,2).
「ガチャン」
とスライドが変わる.今度は,素晴らしい山の写真である.左から残雪に輝くマウントクリスティーナ(Mt.Christina,2464m),マウントリトル,マウントノーネーム(名前のない山Mt. No Name,2060m),マウントガム(Mt. Gam)が,ギザギザと並んでいる.山麓には右から左へ氷河が流れている.さらに,左には,F峰,E峰と続いている.
何という素晴らしさだろうか.明日になれば,こんな素晴らしい景色の中を歩けるのだ.想像するだけでわくわくしてくる.
次いでオーシャンピーク(2,050m)を中心とする写真が映し出される.この山麓に避難小屋が建っている.ここでオプションコースがある.避難小屋の近くの三叉路を左に辿り,急坂を登り詰めると素晴らしい展望が開けるコニカルヒル(Conical Hill)に到着する.
風景を楽しんだ後,ふたたび避難小屋へ戻り,オプションは終了する.この辺りでは,エーデルワイズの花が見られるという.可憐なエーデルワイズのスライドが紹介される.
次いで,ハリス湖(Lake Harris)の写真が紹介される.ハリス湖の後ろには槍ヶ岳のように尖った山が聳えている.
ここで,美しい花のスライドが紹介される.白い花びらのマウントクックデージーである.ニュージーランドには蜂が居ない.従って繁殖は蛾に頼るしかない.その蛾が白い色に反応するので,白い花が多いのだそうである.
私たちは,ハリス湖の湖畔を通り過ぎ,約2時間半のトレッキングの後,明日の宿泊地であるルートバーン滝小屋(Routeburn Falls Hut)に到着する.
スライドで紹介されたルートバーン滝小屋は,どうやら2階建のようである.ここにはインデペンデントワーカー用の小屋とガイデドツアー用の小屋が並んで建っているので,間違えないように指示される.
■長い1日の終わり
21時45分,ミーティングが終わる.
さすがに,この時間になると,外は薄暗くなっている.食堂を出て乾燥室へ行ってみる.さきほど洗濯した洗濯物は殆ど乾いていない.干す場所が悪かったのかも知れない.そこで,輻射熱が直接当たる所に洗濯物を移動させる.
22時丁度に部屋に戻る.
仁王様とバーダーが,夜中に南十字星を見るのだと張り切っている.ようやく,長い,長いトレッキング1日目が終わった.
(注)
1.サンデュウは,標高の高い沼地に生息する食虫植物.葉の長さは5センチメートル
から10センチメートルで,広がった葉先には粘り気のある毛が生えていて,虫が
くっつくようになっている(Ryall,2002,p.78).
2.グリーフォーデドオーキッドはラン科の植物で,細長い葉を持っている.受精の仕
組みが独特だという.花の入口に舌状の突起があり,そこに虫が止まると,奥の柱
頭に跳ね飛ばすらしい(Ryall,2002,p.66)
(つづく)
「ルートバーン」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/0840e0b8dd07455df1267c8ddad7fdbf
「ルートバーン」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/868a3feff3e8c6883a23f24b6ffeb1dc
************************
[編集後記]
2011年4月15日(金)
前回,このシリーズの記事を掲載したのが2011年4月9日.瞬く間に1週間が過ぎている.その間,私は,一体,何をやっていたのだろうか.
振り返ってみると,桜を見たさに,バカみたいに鎌倉市内を歩き回っていた.
例年のことながら,桜が見頃の日は何日もないので,あちらこちらと歩き回っている内に瞬く間に日にちが過ぎ去っていく.
今日も相変わらず天気は上々である.もっとも夜には雨になるようだが・・・
例によって,午前中は自宅で過ごすつもりである.そして,午後からは何処を歩こうかなと迷っている.
ものぐさをして,2階のベランダから,鎌倉中央公園の桜を眺める.10時37分現在の桜の写真である.ちょっと強い風が吹いているが,まだまだ,見頃.
「まだまだ行けるぞ・・・こりゃ~,どうしても,あちこち廻らなければ・・」
さて,何処へ行こうか・・・・
<2011年4月15日(金),10時37分現在の鎌倉中央公園の桜>
(愚痴終わり)
最新の画像[もっと見る]
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前