<プカキ湖付近の峠からマウントクックを望む>
ルートバーン(34):マウントクック山麓へ(3)
(湘南カラビナ隊)
2005年1月25日(金)~2月2日(日)
第8日目:2005年2月3日(木) (つづき)
34 マウントクック遠望
<オマラマ休憩所>
■オマラマ休憩所に到着
朝,専用車で出発した私たちは,10時25分,オマラマ休憩所に到着する.ここでトイレ休憩を取る.
Sさんによると,「オマラマ」は,マオリ語で「明るい場所」という意味だそうである.駐車場の奥に向かって右側にお土産屋,左側にトイレの小屋が並んで立っている.トイレは切妻の屋根が葺いてある独立の小屋である.屋根には「Public Toilets(公衆トイレ)」と大きな字が書かれた看板が取り付けられている.
お土産屋を,ざっと見回してから,トイレに行く.トイレ小屋へ行ってみると,女性用の入口はすぐ分かったが,男性用の入口が分からずにマゴマゴしている.そこに居合わせた消防隊長が,事情を察して,すぐに先回りして,
「あちら側ですよ・・・」
と教えてくれる.随分と察しがいい人だなと感心する.
<メモ帳より>
※トイレは別棟.右のページの下.男性は裏手から入る.
<オマラマ休憩所>
■旅行社のバッジ
ふたたび,土産小屋に入る.売り場を見回したが,特段に欲しいものはない.退屈紛れに入口近くで,何気なく辺りを見回すと,1メートル四方ぐらいの大きな板に,バッジが沢山飾ってあるのに気が付く.
良く見ると旅行会社の団体旅行者が胸元に点けるバッジである.中国,韓国など,世界中の旅行会社のバッジが,ぎっしりと並べられている.近ツリ,日本旅行など私の知っている主だった日本の旅行会社のバッジも並んでいる.
ところが,今回私たちが利用しているアルパインツアーのバッジは見当たらない.
Sさんに,なぜアルパインツアーのバッジがないのか伺う.
「アルパインツアーは,一般の旅行会社ではありませんので,バッジは置いていないんです」
と分かったような,分からないような返事が返ってくる.
<世界中の旅行社のワッペンやバッジが飾られている>
■休憩室で一休み
何だか口が寂しくなった私は,売店でホキーボキーアイスクリームを買う. そして,売店脇の休憩室に入って一休みする.明るい休憩所である.
購入したホキーボキーアイスクリームを左手で掲げて,写真を撮る.
<休憩所でアイスクリームを賞味する>
<プカキ湖の湖畔>
■アオラギマウントクックの名称の由来
10時50分,オマラマを出発する.この近くにはグライダー用の空港があるらしい.6年前には,この空港でグライダーの国際大会が開催された.この辺りは地形の関係から,風が巻いて吹くので,グライダーにはとても都合がよいとのことである.
Sさんが,徒然なるままに色々なことをポツリ,ポツリと私たちに説明する.
例えば,マウントクックの正式な呼称である.アオラキマウントクック(Aoraki Mt.Cook)と呼ぶことになったそうである.
先住民のマオリは,マウントクックのことをアオラキと呼んでいた.近年,マウリが,「マウントクックを自分たちに返せ」と主張した.同時にマウントクックの呼称をアオラギにするように要求が出た.
この要求を受け入れて正式名称をアオラキマウントクックと改めた.
親子2代でエベレスト山に登ったヒラリーはニュージーランド生まれである.ヒラリーはマウントクックに登ってトレーニングを重ねた.
そこで5ドル紙幣にはマウントクックとヒラリーの肖像が印刷されている.ヒラリーは今でも健在だという(注;2005年現在).
マウントクックやルートバーントラックのあるニュージーランド南島は,海底が隆起してできた島である.したがって,現在も隆起し続けている.
11時03分,進行方向の遙か先に白い雪を抱いた山脈が見え始めた.広い裾野には牧場がうねうねと続く.ところどころにポプラ並木が散在している.のどかな風景である.
11時07分,シャケの養殖場を通過する.この辺りから,マウントクックの山並みが,ハッキリと見えるようになる.私たちは天候に恵まれている.マウントクックを見るために訪れる旅行客の半分は,天候が悪くてマウントクックを見ないで帰るとのことである.
マウントクックは厳しい山である.2001年には,約150人の人がマウントクックに登ったが,その内,13人が死亡した.Sさんの説明によると,マウントクック登山者の死亡率は約10パーセントに達するという.
マウントクックからは,豊かな氷河の水が流れ落ちている.この辺りは,氷河の水を利用した水力発電が盛んである.
11時15分,高速道路を左折する.ここからマウントクックまでは,約55キロメートルの道程である.辺りは針葉樹林と牧場が交互に現れる.ボッサム(ふくろねずみ),ハリネズミ,ウサギの死体が道路のあちこちに放置されている.
<メモ帳より>
■プカキ湖が見え出す
11時19分,進行方向右手に,森林を通して,プカキ湖(Lake Pukaki)が見え隠れする.バスはプカキ湖の湖岸に沿って,北上を続ける.プカキは,マオリ語で「川の頭」という意味だそうである.
11時22分,プカキ湖の湖岸で,見晴らしの良いところに到着する.ここでバスは一時停車する.ここはピーターズ展望台(Peters Look Out)と呼ばれるところである.ここから,プカキ湖の向こうに聳えるマウントクックを展望することができる.時間がなくてスケッチをすることができないが,景色があまりに綺麗すぎて,なんだか絵はがきを見ているような錯覚に陥る.
プカキ湖の水は「氷河の青色,つまりグレーシャブルー」をしている.氷河が削り取った微細な土砂が水中に浮遊して,太陽の光を反射して独特の青色に輝いている.
<森の向こうにプカキ湖が見え出す>
■ポプラ並木
クロムウエル町農園直営のフルーツ直販店前に見事なポプラ並木が続く.大きなポプラがずらりと並んでいて,実に見事である.ポプラの梢が風を受けてざわざわと揺れている.とても爽やかな印象を受ける.
ニュージーランドのこの辺りの風景の特徴は,
(1)広大な牧場が沢山ある
(2)ポプラ並木が彩りを添える
(3)氷河湖のグレーシャーグリーンが美しい
(4)雪を抱いた山脈が連なっている
の4つの要素に集約できると思う.
平坦地では,特にポプラ並木の印象が強い.天を突くような大きくて伸びやかなポプラを見上げると,とても気持ちが良くなる.
2年前に,ミルフォードサウンドトレッキングを楽しんだ.あのときにも,クイーンズタウンの郊外で,初めて見事なポプラ並木を見て,とても感激した.あのときは,1人で勝手に散策していたので,20分ほど足を止めて,ポプラ並木のスケッチを楽しんだ.
■かわいい女の子
11時22分,ピーターズ展望台で小休止する.辺りには,私たち以外の日本人観光客が沢山たむろしている.広場に可愛い女の子を連れた若い夫婦がいる.この女の子,2歳ぐらいだろうか.金髪で白い肌,ふわふわしたピンク色のワンピースを着ている.まるで人形のようである.指をくわえておとなしく立っている.私たちも,この女の子を囲んで,「かわいい!」を連発する.
<湖畔でかわいい女の子の写真を撮る>
※「かわいいね」というと,母親がニッコリほほえむ.母親の許可を得て写真を撮る.
この写真を撮ってから,今年(2011年)は6年経過している.
今は,この女の子も可愛い小学生になっているだろう.
■もレーン地帯を北上
しばらく美しい展望を楽しんだ後,再びバスに乗車,11時30分に出発する.車窓の左手にポッカリと小さな羊雲が浮いているだけで素晴らしい快晴である.ニュージーランド南島の森林限界は,約1000メートルである.
周辺の山を見ると,ちょうどその辺りから上は露岩になっている.
11時44分,右手にヘリポートが見える.11時45分,一方通行の橋を渡る.相変わらずバスの前方にマウントクックの雄姿が見えている.辺りはモレーン地形独特の小高い丘がうねうねと続いている.
昔,地学でモレーンのことを習った記憶が微かにある.大地が氷河で削られた土砂が作る独特の地形である.あの頃,自分の目でモレーンが見られるなどとは思ってもみなかった.
11時51分,バスが停車する.バスの運転士が,
「今日は天気がよいので,見晴らしの良いでしょう.バスを適当なところで停めるから,マウントクックの全景を楽しんでくれ」
という趣旨のことをSさん経由で私たちに伝達する.
バスを降りてみる.なるほど,ここは緩やかな峠になっている.あいにく磁石をリュックの奥深く仕舞ってしまったので,正確な方向は分からないが,ほぼ南北に連なる峠になっている.真向こうに白く輝くマウントクックが毅然とした姿を見せている.この旅で,初めてマウントクックの偉容に接した瞬間である.私は大急ぎでこのマウントクックをスケッチして,カメラに収める.
<湖の向こうにマウントクックが見え出す>
■ハーミテージに到着
11時55分,再びバスに乗って出発する.出発すると,すぐにマウントクック国立公園の中に入る.
12時丁度,左手にステップトン山(Mt. Stepton)が見え始める.私たちは,間もなく待望のハーミテージに到着する.明日は,軽くトレッキングをする予定である.果たして,捻挫した私の右足は,トレッキングに耐えられるのだろうか.
<メモ帳より>
<ハーミテージのレストラン>
(つづく)
「ルートバーン」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/470ea3c564cc15755b2d48d1c4b2d263
「ルートバーン」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/caf519368d2cae2093149cecf8f89cd7
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[編集後記]
2011年5月12日(木) 雨
今日で連続2日間の雨.少し寒い.憂鬱.
一昨日,再インストールしたパソコンを使い始める.再インストールしてからのパソコンが,ずいぶんサクサクと動くなと感心しているうちに,細々とした不具合に次々に遭遇する.
使い始めて暫くしてから,パソコンが無音なのに気がつく.
「おかしいな・・・どこかソフトが不具合なのかな?」
と思いながら,再起動を繰り返す.乏しい知識で,あれこれしてみるが,音が出ない.
インターネットの動画で,大相撲を見始めるが無音では何をしているのか良くわからない.
「しょうがないな~ぁ・・」
と思いながらも,面倒くさい”コントロールパネル→ハードウエアとサウンド・・・”を開いて,弄くると,無事,音が出るようになった.
思い返してみると,私は系統たててコンピューターの勉強をしたことがない.いつも付け焼き刃で過ごしてきたツケがまわって,ちょっとしたトラブルでも,いつもモタモタしてしまう.まるで,自分の人生の生き様が,そのままパソコンに反映されているような気がしてくる.
2~3日前から始まった隣家の解体工事は,もう跡形もなく瓦礫に変わってしまった.家を建てるときには半年近くかかったのに,壊すのはたった2~3日.何とも呆気ない.この有様を見ていると,なんだか人生の縮図を見ているような気分になる.
営々と登山を積み重ねて保ってきた自分の体力も,ちょっとしたクラクラで,見る影もなく弱々しくなってしまう.何事も崩壊するときは,こんなものだなと,隣家の古屋に共感する.
今日は終日雨だけれども,少しは歩かないと,身体が鈍る.午後から傘を差して,3~4キロメートルぐらいは歩こうかと思う.
夕方からは,今週土曜日に搬入予定の水彩画3枚の最後の仕上げと,梱包をしなければ・・・
(愚痴おわり)
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