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秋田の「橋物語」を読む

2021-05-20 21:40:10 | ネット・通信・書物
1988年に秋田魁新報の精鋭の記者がまとめた「橋物語」が面白い。
秋田県内様々な橋100橋の紹介や歴史秘話、銘板職人にインタビューなどがある。
秋田市もさまざま紹介されているが、ジャーナリズム的に書かれた旭川2橋の話が特に読ませた。
前に借りてきたのを紙にまとめたのを起こしたので、多少の違いや抜けは許してください。

○旭川の魚礁(サブタイトルは通町橋)
通町の商店街の経営者が毎回鯉に餌をあげていたり、クリーンナップの思い出を語るがいきなりあるものの愚痴が始まる。
それは県が設置した魚礁ブロック。
確かにほかの写真見るとバブル期の旭川にはギョロ目なメロンパンみたいなのがあるのが見受けられ、気持ち悪い感じが。
・1981年に県が1800万円もの税金で頼んでもないのに置いた
・市民からは不気味、おせっかいといわれ、観光客からは「あれは秋田の竿灯を刺すんですか」とバカにされて恥をかいた
・さらにアメリカの環境雑誌に写真と名前入りで「都市河川景観破壊の例」という論文が出て日本の恥までさらした
・魚は増えたが土木部の利権絡みで進んだ

思わず笑ってしまったが、せっかくのバブル期にこんな公共事業なんかに回すならもう少しとも。
ただ、魚礁時代はバブル期なため活気はすごくあったらしい。

○すずらん通りの太鼓橋(サブタイトルは三丁目橋)
いまはきれいで真ん中に水面を見られるスペースあるが、昔はかまぼこ型の盛り上げた橋だったらしい。
それだけ盛り上がりすぎてトラブル多発で市民激怒!
・冬になると冬道なれした秋田市民でも登れない高さで毎年人や車の滑落事故
・川反の仲居さんが和服ではあるきにくいとぼやく
・大町公園橋(こちらはかなり街がさびれたが)や横浜の橋と比較すると嫌な気持ちになる
・近くの酒屋があまりにも滑るから四輪駆動車を買う羽目に
うなぎ屋の話「客が上から見下されると不満をいう」(これは東北新幹線のMax車1階席の駅でも発生した問題だが…)
滑らないように熱線工事をするが、スパイクタイヤ時代はすぐ熱線が切れて同じこと。冬が近づくと熱線工事をするのが風物詩

とほほでどんまいな話。
確かに神社や京都の寝殿造の遣水に渡してるような橋で、雪国の車道にはどうしても合わないようにみえた。
後日談は20世紀ひみつ基地に記してあり、結局1990年に架替えられたが、秋田市の土木史における欠陥橋として黒歴史の1つにされていた。
熱線の話はもう税金の無駄でしかないし、怒る理由が周りの橋や当時の技術でも作れたのにこんな橋にしたという市の見込みの悪さらしい。

他にも橋の話がある。
実は割愛されたほうが多く、魁の告発本を書いたジャーナリスト・市川雅由は著書で「自分のルポは良かったのに、告発したから恨まれてボツにされた、他の話は悪い」と記していた。
よほど自信あったのかわざわざ全文を自著に載せていたが、長すぎるし魁に対する恨みが随所に入りすぎていて告発云々でなく旭川2橋に面白さで負けていた。
この人の他のルポにはいいのがあったりするが、橋物語は。

秋田市だと他にこれまた旭川の秘湯の話もおすすめ。
ただ、草生津川と太平川がほとんど無いのがどうして?と思ったりするかな。
図書館にあるんで、一読あれ。


参考文献:「橋物語」(秋田魁新報社)、市川雅由「我が懐かしの新聞記者時代」(市川総合文化科学研究所)
参考サイト:20世紀ひみつ基地「川反三丁目橋今昔・悪名高き昭和の太鼓橋」


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