シリアを分割するという最悪のシナリオが出てきました。
主要国がシリアの連邦国家化を協議=外交関係者
一部転載: 数年前、「アラブの春」の影響で、初めてシリアで平和的デモが起きた時に、
「 シリア分割の陰謀があるから、乗せられてデモに扇動されてはならない。 」
と、主張されたシリア人のイスラーム学者の著名な先生がいました。
「 平和的デモでも、このまま激しくなれば、流血に発展しかねない。
そうすれば歯止めが利かなくなる。
不正は、武力で正すのではなく、話し合いで改善していくべき。
ムスリム同士が争って分裂すれば、外国の陰謀の思うがままだ。 」、と。
当時、ほんの一部の人を除き、殆どのシリア人がその主張に耳を傾けることはありませんでした。
実際、先生のおっしゃった陰謀通りに、分割の話が出ています・・・
「アラブの春」は誰のためのものだったのでしょう。
少なくともシリアの一般市民のためのものではなかった、ということは、国民の半数以上が難民になってしまった今は、わかります。
シリアの人々は、外からの大きな「力」に乗せられてしまった感があります。
西側からは唯一成功したと言われているチュニジアでさえ、最も多くISへの参加者を出している国の一つになっています。
イスラーム諸国にとって、西側の言う「民主化」が唯一の道ではないし、
そもそも自分の国の将来を、外側から押し付けられるべきでもありません。
「自由」や「民主化」という実体のない美しい響きの言葉と引き換えに、
内戦で家族を殺され難民になるより、
良い政権ではないけれど、
自分の国で安心して町を歩くことができ、
普通の生活ができれば、
多少の不便は我慢しても、という考え方もあります。
こういう写真を見ると、先生の必死の提言が生かされなかったことが悔やまれます。
写真:シリア内戦前と後
左右の写真の時間差は2年間ですが、破壊は一瞬です。
一瞬ですべてが吹き飛ぶものを大量に作り、売りさばく人たちの「利己主義」の闇がシリアを覆っています。
人の死によって利益を得る人たちの中に、日本にいる自分もいつの間にか入ってしまう恐怖が現実にならないことを祈ります。
イスラーム法では、「害」を排除する際の条件として、
「 それ(排除)が、より大きな害を引き起こさないこと。 」
というルールがあります。
統治者を選ぶときにも、大衆にとって、「より害が少ない方を選ぶ」、ということです。
預言者ムハンマド様(彼にアッラーの祝福と平安あれ)は、1400年以上前に、
すでにこういった事態を鑑み、ムスリム達に次の言葉を残しておられます。
≪ 「 幾人かの統治者が、あなた方の上に任命されるであろう。
それであなた方は(彼等の所業のあるものは)良いとみなし、またあるものは否認するであろう。
それで彼等の(悪いおこないを見た者がそれを)憎んだとしても(アッラーの)お筈めはない。
また彼等の悪いおこないを非難したとしても(アッラーのお怒りに)ふれることはない。
しかし、彼等の悪いおこないを是認し、それに従って行く者は(破滅するであろう)。 」
人々は、「 アッラーのみ使いよ、われわれは彼等と戦ってはならないのでしょうか。 」と言った。
その御方は、「 ならぬ。彼等が礼拝を続ける限り。 」 と申された。 ≫ ムスリム伝承
また、別のハディース(預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の言行録)にもこうあります。
≪ 私はアッラーのみ使いが、
「 あなた方の最も良き統治者は、あなた方が彼等を愛し、彼等もあなた方を愛し、
彼等はあなた方のために祈リ、あなた方は彼等のために祈るような人達である。
一方、あなた方にとって最も悪い統治者は、あなた方が彼等を憎悪し、彼等もあなた方を憎み、
あなた方は彼等を呪い、彼等もあなた方を呪うような者達である。 」と申されるのを聞いた。
その時、そこに居た人々が、
「 アッラーのみ使いよ、(そのような場合)われわれは彼等と闘ってはならないのでしょうか。 」と言った。
み使いは、
「 ならぬ。
彼等があなた方の間で礼拝を行う限りにおいては。
よく聞きなさい。
人が統治者となった者に、アッラーに対して反抗するような何かを見たなら、
彼のアッラーへの反抗そのものを嫌悪しなさい、
そして彼に背いてはならぬ。 」 と申された。 ≫ ムスリム伝承
世界中のすべてのムスリムが、イスラームをしっかりと学び、本来の平和を重んじる教えに戻ることができますように。
シリアの人たちに、一日も早く本物の「春」が来ますように。
参考:内戦前のシリアの美しい写真と内戦後の姿を比較しているブログがありました。
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