イマーム・ガザーリー『イヒヤーウルームッデーン』より:
ある人は語りました。
「私は、彼が砂漠に入ったときの道ずれでした。 彼が、
「あなたか、私のどちらかが(旅の)リーダーであるべきだ。」
と言ったので、私は、
「あなたにお願いします。」
と言いました。
「それでは、あなたは私に従わなければなりません。」
と彼が言ったので、私は、
「それでよろしいです。」
と同意しました。
それから彼は、袋をとり、重い荷物をその中につめ、背中に背負いました。私が、
「私にそれをよこしなさい。」
と言うと、
「あなたがリーダーですと言いませんでしたか?そうでしょう、それなら私に従わなくてはなりません。」
と答えました。
その夜、雨になりました。
彼は私の枕元に、朝まで立って彼の着ていたマントで、私を雨から守りました。
その時私は、(そこに座ってあなたがリーダーですと言った矢先に、死んでしまいたかった。)とひとりごとを言いました。※
※自分がリーダーだと言ったせいで、彼が重荷を負うことに気付かなかった自分の思慮のなさを嘆いて、もしくは、それをアッラーに問われるのではないかと恐れて、ということか。
イスラームでは、トップに立つリーダーというのは、このような旅のリーダーであっても、一国の王様であっても、人々のために一番よく働く人、ということに変わりはありません。
ムハンマド様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の教友の、ウマル・イブン・アル=ハッターブ様(アッラーのご満悦あれ)が、カリフ(イスラーム国家のトップ。後継者)となった時の逸話があります。
イスラーム国家の公正さを維持する責任を負った時、彼は他の人を裁くよりも、もっと彼自身を厳しく裁いていました。
彼(アッラーのご満悦あれ)は、こう言いました。
「もしロバがイラクでつまづいたのなら、アッラー は最後の審判の日、なぜそれのために道を片付けなかったのか、と私に尋ねられるでしょう。私はそれを心配する。」
彼のカリフ時代に、国がひどい飢饉にみまわれたとき、彼が一番多くしたドゥアー(祈願)は、イスティグファール(アッラーに自分の罪の許しを求める祈願)でした。
彼は泣きながら、アッラーにお許しを求め、
「どうか私の時代に、自分の罪で、イスラーム国家を破滅させないでください!」
とアッラーに涙ながらに祈っていました。
飢饉の間、彼は、すべての国民が肉を食べられるようになるまで、決して自分は肉を食べませんでした。
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