ダマスカス留学生有志による情報ブログ

ダマスカス留学生有志とそのOBがアラビア語やイスラームについての情報をお送りします。

女性旅行者への注意

2009年09月29日 | シリア旅行ガイド

 女性の服装に関する注意

もしあなたが、女性一人で旅をしている、もしくは少人数の女性だけのグループで旅をしているのでしたら、服装ひとつで、シリアの旅の印象が180度変わると言っても過言ではないでしょう。
というのも、日本では女性が肌が露出するような服装をしていても普通ですが、イスラームの国では、そういう服は、どちらかというと、はしたないと思われているため、日本にいるときと同じような服をイスラーム国で着ていると、人々の目には、あなたが非常識な女性であるかのように映ってしまうからです。

女性は本来、とても大切な存在なので、必要以上に人の目にさらされて、傷つけられるのを防ぐために、イスラームでは、女性の手と顔以外は、家族や夫以外の男性に見せないようにと教えています。

それは、例えて言うと、海の奥底にある真珠と、海岸の小石のようです。
真珠はとても美しく貴重なものなので、固い貝殻に外側を覆われた上に、深い海の底に眠っています。
それに比べて、海岸の小石は、どんなに綺麗な石でも、そこを通る人達に踏まれてしまい、角が割れたり傷ついたりします。
誰も、その存在に敬意を払ったりしてくれません。

女性は、本来、真珠のような大切な存在ですから、きちんと自分の身を衣服やヒジャーブ(頭に被る髪を覆うスカーフ)で、保護するよう、イスラームでは教えています。
きれいな腕や髪の毛、足首などを、家族以外の男性に見せて、むやみに男性の気を引くことによって、自分が傷つくようなことがないように、です。

ですから、半袖のTシャツを着ていたり、足やおしりのラインが分かるようなジーンズをはいていたりすると、日本では普通のファッションとして通っても、イスラーム国では、自分を大切にしない服装をしている女性と思われてしまい、日本にいるときと違い、敬意を払うような女性として見てもらいにくくなってしまうのです。

例えば、日本で外国人の女性が水着姿で街中を歩いていたらどうでしょうか。
人々の目はその女性に釘付けになるでしょうし、その女性が、水着姿で歩いていて、変な男性に声をかけられたり、痴漢にあったといって、「日本はとんでもない国だ!」と怒っていたら、どう思いますか?
「水着姿で歩いていれば、嫌な目にあうに決まっているのに。非常識だなぁ。」とあなたは思うでしょう。

それと同じように、イスラーム国で、日本人女性が、ちびTシャツとぴったりしたジーンズ姿で街中を歩くことは、人々の目を釘付けにし、イスラーム国の人々に日本人女性が非常識だという印象を与えてしまうことになりかねません。
日本ではそれが普通の服装でも、イスラームの国では、人々の目には、その服装が日本で水着姿で歩いている外国人女性と同じくらい、挑発的で非常識な服装に映ってしまうからです。

その外国人女性も、あなたに言うかもしれません。「でもこの服は、私の国では皆着ているのよ!」って。彼女の理屈は通りますか?
彼女が、変な男性に声をかけられることなく、日本できちんとした女性として見られるためには、彼女にブラウスとスカートを着ること勧めますよね?
それと同じように、イスラーム国に滞在している私達は、あなたに、体のラインの隠れる長袖と、足首までの長さのスカート、もしくは足やおしりのラインのわからない、ゆったりとしたパンツをはくことをお勧めします。
それだけで、あなたの旅が、ぐんと安全で楽しいものになることを、長年この国で暮らす私たちは、確信しているからです。

イスラーム国においても都市部では、クリスチャンや西欧化したムスリムが数多くいるため、夏には、露出度の高い服装をした女性を実際、街で見かけます。
しかし、同じ感覚でいても、彼女たちはその街に、家族も親戚も大勢住んでいるため、地元の男性が彼女たちに何かした場合、彼女の父親や兄弟達からどんな目にあうかわかりませんし、親戚の数が多いため、その女性が実は親戚の友達だったというようなことにもなりかねません。
そのため、そういう服装をしていても、彼女たちは痴漢行為の対象になりにくく、反対に、その街に家族や知り合いのいない旅行者である上、特に日本人女性は一目で外国人とわかり、目に付きやすく、痴漢行為の対象になりやすいのです。

私の友達が、シリアに遊びに来た折、私は彼女に体の隠れる服を着て、髪の毛の隠れる帽子かスカーフを身につけるようアドバイスしています。
これだけで、人々が、彼女をきちんとした女性として見て大切に扱ってくれるという保障があるからです。
こうした服装をしていれば、土産物屋のおじさんのお釣りの渡し方まで違ってきます。
女性の手に触れないよう、細心の注意を払ってお釣りを渡してくれます。

イスラームで女性がどんなに大切にされているかを、身をもって体験されたければ、ぜひヒジャーブなどのムスリマ服を、旅の間、試されてみてはいかがでしょうか。
人々のあなたに対する態度が、まったく変わるのに驚かされることでしょう。

ある日本人女性旅行者が、長期滞在しているホテルの外の階段で、現地の男性が声をかけてくるのに悩まされていたのですが、ある日、ムスリマ服を着てホテルから出て行ったところ、階段に座り込んでいたその現地の男性が、彼女のその姿を見たとたん、立ち上がって、視線を合わせないように、下を向いて彼女に道をあけたそうです。
男性達の変身ぶりに、一番驚いていたのは、ムスリマ服を着た彼女自身でした。

痴漢被害例

パルミラなど観光地で他に観光客があまりいない状況で、ラクダに女性一人で乗り、人気の無いところに連れて行かれ、被害に遭う。パルミラのラクダ引きの男性の中には、常習的に犯罪行為を繰り返していると見られる男性がいるので、十分注意してください。
夜、タクシーの中で、女性一人だったため、後部座席に乗っていたにもかかわらず、被害に遭う。
女性一人のホテルの部屋で、シャワーの具合を見に来たホテル従業員に被害に遭う。
老夫婦の経営するアットホームなホテルで、オーナーの老人とサロンで話していて、セクハラ被害にあう。(ラタキアのホテルジャマール)
人気の少ない博物館で、監視をしていた現地男性から被害に合う。

ワンポイントアドバイス

なるべく女性一人で行動せず、女友達を作って一緒に外出するようにしましょう。
女性一人で行動することになってしまったら、現地男性と二人きりになるような状況を絶対に避ける。人の少ない博物館やお店、ホテル内でも十分に注意してください。

女性の一人旅だということを男性に絶対に言わないようにしましょう。ホテルで友達が待っているなど、一人旅でないことを強調する。

バスや電車の中では、女性の隣に座りましょう。きちんとした服装をしていれば、男性が席を譲って女性の隣に座るよう配慮してくれることも多いです。

ドミトリーのホテルで、男性と同室にならないようにしましょう。イスラーム国では、家族以外の男性と同室の部屋に泊まるのは、とても異常なので、同室の男性が友達で、問題がなくても、周りの人(ホテルの従業員など)には、男性と同室でもOKな女性だと思われて、痴漢行為に遭う確率がとても高くなります。 

夜遅く(10時以降、観光地など場所によっては9時以降)は、女性一人で外出しないようにしましょう。夜は特にグループで行動しましょう。

ヒジャーブ(髪を隠すスカーフ)や体のラインの出ない服装をしたら、ホテル内などでも、現地男性の前では着けておきましょう。外ではきちんとした服装をしていても、ホテル内で現地男性の前で、Tシャツなど着ていると、非常識な女性だと思われて、逆効果。

男性と握手をしないようにしましょう。握手を求められても女性は断るのが普通です。きちんとした服装をしていると、相手も握手を求めません。握手を断る動作は、右手を自分の胸の上に当てます。

男性と目をあわせたり、笑顔を向けるのも注意。日本では男性でも女性でも、相手の目を見て話すのがエチケットですが、イスラーム国では、女性が男性の目を見たり、笑いかけたりすることが、逆に、エチケット違反になり、大きな誤解を招くので、十分注意してください。

日本人旅行者Yさんの体験記

 2003年6月に10日間ほどシリアのダマスカスに滞在しました。
以前他のイスラーム圏の国に行ったときは、なんでアラブ人のおじさんってしつこいんだろう。お金を受け取るときもなぜか手を触られるし、いい年したオヤジなのに声かけてくるし、と思っていましたが、今回はアバーヤ(ロングコートのようなもの。ジュラバ)を着て、ヒジャーブ(髪を隠すスカーフ)もかぶり、改めて周りを見てみると、なるほどと納得しました。
  
 体の線がちょっとでも出ている服(ちびTシャツ等体にぴったりしている服)を着ている女性は、まさに「歩くオヤジ磁石」です。
必ず必ずオヤジに見られています。
彼らにしてみれば、体の線を他の人に見せてもOKということは、まぁある程度なんかしても許されるだろうと思ってしまうのかもしれません。
今回なんちゃってイスラ-ム教徒になってみて、ちゃんと一人前の女性として、周りが接しているのがよーく分かりました。
バスでは男性がやむを得ず隣に座ることになっても、向こうがなるべく近づかないよう座りますし、他の席が空くと、さっさと席を移動してくれました。

とはいえ、スリなど旅には欠かせないトラブルには注意が必要ですが、自ら「オヤジ磁石」になって、引き受けなくても良いトラブルを回避できたと思います。
別に私が「なんちゃってイスラ-ム教徒」だからといって、石を投げられるなんてことも、もちろん(!!)なかったですし、体の線を出さない服装は、彼らにしてみればほんとうに当たりのことなんですね。中身が何人であろうが。

 服装については個人のポリシーだとか自由だとかありますが、旅って現地の普通の人たちと関わって初めてその国が少し見えるってことがあると思います。
痴漢オヤジと関わっても、その国のことは見えてきません。
その上、「オヤジ磁石」だと主張しながら歩いていては、普通の人達からは避けられてしまいますからね。
 
私は、本当にイスラ-ム教のイの字も知りませんが、私がイスラ-ム教徒でないと分かっても、急にオヤジになれなれしくされるということもなかったです。
イスラ-ム教の人は、熱心な人は驚くほどみんなに親切なので、こちらが普通にしていれば、良い旅になることは間違いないと思います。

「男性旅行者への注意」へ続く


 

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