Look at the Dawn Sky (^^)

生きとし生けるものが幸せでありますように。

彼女さんの夜明け 08 人間の巻

2014-10-05 16:36:53 | 日記

涼しい風がやさしく身体を撫でる夜明けのすこし前…




そんな秋の爽やかな風に誘われてか

最近は彼女さんの他にもちらほらと川辺に人が降りています

彼女さんはそうした人を避け、川っぺりの石の上に腰を下ろし、静かに微笑んでいます

そんな彼女さんの傍らに、今朝は川鵜のお姉さんがいらっしゃったようですね




遠目には真っ黒に見える川鵜お姉さんですが、よく見ればとても美しいエメラルドグリーンの瞳が深い輝きを湛えています

ことわざの[鵜の目鷹の目]という意味は普通、獲物を探すその鋭い目つきを喩えているものですが…




(これは…鵜の目や鷹の目を間近にしっかりと見たことがない人の物言いだよね…だって鋭さより何よりも、こんなに綺麗なんだもん…)などと彼女さんは思っているようですね




お姉さん「人間ちゃーんおはよー」


彼女さん「あ、お姉さんおはよー♪」


お姉さん「ねえ、人間ちゃん。最近あんたんとこの若いもんが、えらい騒がしいやんかー」


彼女さん「あはは‥ごめんねー」



川辺にやって来る人達と彼女さんに直接的な関係はないのですが、お姉さんにそれを説明することが難しく思えた彼女さんは話を合わせることにしたみたいです



お姉さん「そんでな、前から聞きたかったんやけど、アレは何してんのん?」



対岸の水際で、一人の男の人が浅く腰を落とし…

( • ̀ω•́ )「せいっ!、せいっ!、せいっ!…」

‥との、かけ声と供に正拳突きをしていらっしゃいます

ただ…、武道などと縁のない彼女さんから見ても、そのかけ声は大きいだけで力は無く、連続して突き出している拳もいちいちすこしブレているようです



彼女さん「あー‥あれね…あれかー」



そう問われて、改めて見た瞬間(…なんか格好つけてるだけじゃなくない?。最近毎朝やってるけど、いっつもほんの10回くらいで止めちゃうし…)と、彼女さんは思いましたが…

お姉さんを相手に(見ず知らずの他人のすることを想像だけで、悪口や陰口を勝手に叩いちゃイケナイよね…)と彼女さんは思い直し、言葉に詰まります



彼女さん「あれはね…そう!他人をぶん殴る練習をしているのよ!」


お姉さん「はぁ?ぶん殴る…練習ぅ???」


彼女さん「うん!そうよ」


お姉さん「さよかー、でも[練習]って何すんのん?。それになんや頼りないへっぴり腰やしー」


彼女さん(゜∀゜;)「あは、あははははー…」



彼女さんが辛うじて自制した悪口を、お姉さんに軽々と口にされた彼女さんは、もう笑うしかないようですね

そして彼女さんは…ふと思いました



彼女さん (…練習…そうか、練習かー、お姉さん達‥野生の生き物からすれば[練習]なんて行動はあり得ないもんね)


彼女さん「お姉さん達にはいつだって本番しかないもんね。そりゃあ変に見えるかー」


お姉さん「そやろ、そんなメンドいことせんでも直接そこら辺のモンをぶん殴った方が早いやんかー」


彼女さん(^^)「和をもって尊しとなーすー」

「それとね、わたし達は人を殴ったら、殴った人は捕まって閉じ込められちゃうのよ」


お姉さん「ふーん、ウチらやったら厄介モンのオイタが過ぎよったら、そんなん追い出して終いやけど、人間ちゃんの世界はメッチャ厳しいんやねー」

「それじゃあ、あのボーズもホンマは殴ったりせぇへんのに練習だけしてるワケかー…なんやよう分からんなー」


彼女さん「あは!そうねー、わたしも分かんないや」


お姉さん「そこでや、人間ちゃん…あんたあんな男は好みなんか?」


彼女さん「ゲッ!…いやぁー、暴力的な男はちょっと勘弁っす」


お姉さん「だって人間ちゃんってば今まで(つがい)になったことないやんかー」


彼女さん「ちょ!おネーさんんっ!な、な、な、何で知って!…はわわわわ!」


お姉さん「いやな、ウチ等は二歳の頃から毎年子供を産んで育ててるやんかー、せやけど人間ちゃんも結構エエ歳やのに、まだ子供のひとりも産んでそうにないやんか」

ニヤニヤ( ´罒` )「ウチにはバレバレやでー」


彼女さん「…わ、わわわ…」


お姉さん「まあ、あんなボーズなんか人間ちゃんには似合わんとは思うけどな、それにしてもあんた、他に…ええ男おらんのけ?」



どうやらお姉さんはお姉さんなりに、彼女さんのことを心配してくれている、そのことだけは彼女さんにしっかり伝わりました



彼女さん「…わたし達の社会はね、愛しあった相手と一生を添い遂げることが一番の幸せだっていう考え方…そういう夢があるの」

「けどね、夫婦や家族や同胞みたいに愛する対象を限定すると、最初は愛だった気持ちは時と共に…執着や差別や依存に変わっちゃって、最後は必ず不幸になっちゃうって…」

「だからね本物の幸せを得たかったら…[生きとし生けるもの全てに慈愛を注げるようになってください]…ってね、わたしの大切な人が教えてくれたの」


お姉さん「………………………………はぁー…それはまた、ゴッツい愛やねー…」


彼女さん「だからね、わたしはそんな大きな慈愛はまだまだ持てないから、持てるようになれるまでは修行中なのよー」(笑)


お姉さん「うーん…エラい!ウチはそんなん、今まで考えたこともなかったわー」

「せやなぁ…確かにそうや。夫婦だけ家族だけの愛は、悪気が無くてもそれ以外を敵にしてまう…」

「分かるでー、ウチにはゴッツいよう分かるで!人間ちゃん♪」

(´-ω・)ん?「……………ん……え?…あーーっ!なーんや人間ちゃん、やっぱりええ男おるんやんかー♪」

イヤヤワー!( ´艸`)「大・切・な・人、がー♪」


彼女さん …エッ!( ºωº )「いや!いや!いや!いや!いや!いや!いや!いや!いや!いや!いや!いや!いや!いや!いや!いやいやいやいや!!…でなくて!違くててててて…」










対岸の正拳突き男さんはとっくにいなくなり

彼女さんはオロオロしまくり

川鵜のお姉さんはとっても楽しそうで




今朝もどうやら平和です


どうぞよい一日を







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