嵐が過ぎ去った夜明け前
大気中の塵芥も軒並み地に落ち
清々しい空気でいっぱいになっている、夜明け前の川っぺりです
今朝も彼女さんはお気に入りの石の上に腰をかけて…
暁の空を、川面の波を、野の草花を、早起きな鳥さん達を見つめています
そうしていると、今朝の川鵜のお姉さんは彼女さんのところまで泳いでやって来ました
種族を越えたガールズトークが今朝も始まりそうですね
お姉さん「人間ちゃーん、おはよー」
彼女さん「あ、お姉さんだーおはよー」
お日様が登るまでもう少し間があります
辺りはずいぶんと明るくなり、キラキラと光る川面にはたくさんの小魚さん達が嬉しそうに跳ね踊っています
彼女さん「お魚さんたち…全然お姉さんのこと怖がらないのね」
お姉さん「ん?せやなー、ちっさい子らとはウチも最近仲ええし、食べる気もないし、そのへんちゃんと分かってくれてるんちゃうかなー」
お姉さんのすぐ間近の水面には、沢山の小魚さん達が恐れ気もなく泳ぎ、飛び跳ねたりしています
彼女さん「…いいなー」(羨)
お姉さん(・∀・)ニヤニヤ「そうけ?」
彼女さん「そーよー、だってわたしの顔見ただけで逃げ出す子なんか一杯いるんだから…」
お姉さん「そりゃしゃーないわー」
「だって普通の子らはみんな、(人間なんかみんな鬼やっ!)って思うてるしな」
彼女さん「えー……でも、…しょうがないか…」
お姉さん「まあ、ボチボチやで人間ちゃん…あ」
すると…彼女さんとお姉さんの、向こう正面の空一面に…
川鵜さんの大群が、見事な編隊を組んで通過して行きました
彼女さん「お姉さんはいいの?一緒に行かなくて?」
お姉さん「ええのええの、あの子らは…ええっと…なんや…付和雷同?…してるだけやから」
彼女さん「そうなの?」
お姉さん「そうやで、お魚ちゃんも寒くなって少なくなってくると、深いところや狭いところ、あったかいところに隠れてまうやろ」
「せやからウチらも簡単には食べられへん」
「なんぼウチらが泳ぎが得意でも、やっぱり水の中ではお魚ちゃんの方が上やんかー」
「でな、狩りの下手なモンらは上手いモンの尻を追っかけて行くようになってな」
「アッポーな若いモンが一斉にワーッって川を埋め尽くしたら、底に隠れてたお魚ちゃんもビックリして外に飛び出してくるやんかー」
「そんでもな…結局は、お魚ちゃんの絶対数が少ない以上、狩りの下手なモン…巣立ちしたての若いモンのほとんどは…最初の冬で死んでしまうんや」
彼女さん「…」
お姉さん「最初の冬を越せるんはな、他人の力を当てにせんと自力で学べる賢い子か、上手いモンのおこぼれに、たまたまありつけ続けた運のええ子だけやねんなー」
彼女さん「そっか…それならたしかに、お姉さんが群れる必要ないわね」
お姉さん「それにな、ウチが群れとったら人間ちゃんと仲良うなれんかったやろしなー」
「人間ちゃんと仲良うなれたんは、ウチにとってめっちゃ有り難いことなんやわー」
彼女さん「へ?それはわたしの方こそ言いたいんだけど?」
お姉さん「えへへ…ありがとさん。まあそれとはまた別の意味でな、有り難いんやわ」
彼女さん「…?」
お姉さん「見てみ、人間ちゃんの足元に沢山お魚ちゃんがおるやろ?」
彼女さん「え?……うん」
(~。~;)(わ!ホントだ!…自分の足元なんか全然気づかなかったわよー!)
お姉さん「この子らはな、人間ちゃんがウチらからこの子らを守ってくれてるって思ってんねんでー」
彼女さん (゜Д゜;)「えーーーっ!」
お姉さん「人間ちゃん、この前教えてくれたやろ[生きとし生けるもの全てに慈愛を…]って」
「この子らも聞いていたんやで」
彼女さん「いや、でも!わたしなんかまだまだ!…」
お姉さん「うんにゃ。大抵の生きもんにそんなド偉い考えは、そもそもないんやわ」
「みんな自分のことで一杯一杯やねん」
「ウチもな、この間までウチに食べられるモンの気持ちなんか考えた事もなかったんやわ」
「そんでウチな、あれからお魚ちゃんとお話ししてみたんや」
「そしたらビックリやでー、人間ちゃん、お魚ちゃんにごっつい好かれてるやん♪」
彼女さん「そ、そうなの?…そりゃあ時々餌あげたりはしてたけど…そんな…」(照)
お姉さん「それや!人間ちゃんはな、人間なのに騙しナシで食べ物も分けてくれるし、オマケにウチらの仲間のヘタレや甘ったれでしょうもない輩は人間ちゃんが怖くって、ここらによう近づけへんし」
「ここらのお魚ちゃんたちは、みんな人間ちゃんが大好きなんやで♪」
彼女さん「…えへ……えへへへへへへへへへへへへへへへへへ~♡」
お姉さん「おかげでウチまでお魚ちゃんと仲良うなってしもうてな…そこのおチビなんかウチに向かって…」
「ボクね!死にそうになったら、お姉さんに食べてもらうのー♪そしたらボクとお姉さんは一緒になれるんだもんねー♪」
(^。^;)「…だって。…さすがにウチも参ったわー♪」
彼女さん(((o(♡´▽`♡)o)))「ひゃーー!すっごーい!」
お姉さん「せやからまあ、人間ちゃんを見て逃げ出す子がおってもなー、そんなん気にしてたらアカンでー」
彼女さん(^^)「……うん、ありがとね」
お日様が昇ってきます
お日様の光も、空気も、水も、土も…
いつだって、何一つ分け隔てることなく
生きとし生けるもの全てに降り注ぎ、支え合っています
どうぞよい一日を
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おはよう御座います。
ワタクシ、方言萌え委員会会員の230と申します
私が方言に萌えるという事の始まりは、中学生時代に(ラムちゃん)の「だっちゃ!」によって刷り込みが行われていたと…今はしっかり自覚しております
そして自分が(方言に萌える体質)だとはっきり自覚したきっかけは、高校時代に青春18キップであっちこっちに旅行した時
各駅停車の電車を乗り継いで、初めての駅に降り立つ度に、始めて聞くその土地の人々の方言全開の話し声をたくさん聞くことになりました
ほんの2~3時間電車に乗っただけでほとんど外国語みたいに聞こえるいろいろな日本語に、私はとてもビックリしたこと…
そして、年頃のお姉さんが喋る方言は、字面から受ける印象と実際に発音された時の印象に大きな隔たりを感じて、かなりのショックを受けましたねー
字面からは怖い感じすら受けていた言葉、文章が、優しく柔らかく発音されることで(ジャイアンはホントはいいやつ効果)にも似た、強い感銘を受けましたよ
最近はおそらくテレビの影響が浸透した為でしょうか、地方の若い子も標準語を喋ることが多くなっているように思います
(それは…なんだかちょいと寂しいな~)
との想いが、川鵜お姉さんのキャラクターに反映されているみたいです
関西弁ベースにいろいろな地方の方言がごっちゃ混ぜになった川鵜お姉さんのおしゃべりが、今の私のお気に入りだったりしまっすん(笑)
以上、蛇足でした
230 拝