佛暦2561年 4月3日
さくら、咲きましたね。
(^_^)みんなおはよ。
「……寒いよぅ……」
ベッドに押し当てた顔の隙間から、恨めしげな声が聞こえてくる。ついでに、頭を覆う腕の隙間からは、毛皮の帽子と見紛うような獣の耳が見え隠れしていた。
「起きて朝食を食べればすぐに温まります」
「……」
ミューリは抵抗するように沈黙していたが、不意に、くう、という小さな音がした。ミューリのことは赤ん坊の頃から知っているので、扱いならば心得ている。ひとつ咳払いをして、毛布を畳みながら言った。
「ライ麦パンを暖炉の火で温めます」
「……」
ミューリの腕の隙間から見え隠れする獣の耳が、ひく、ひく、と動いた。
「同時に、黄色い脂肪がたっぷりのったベーコンに砕いた岩塩をまぶし、玉ねぎと一緒に炒めます。昨晩の残りのニンニクの欠片を一つ、二つ追加してもいいでしょう」
抱えていた尻尾もぶるぶると震え出し、丸まっていた体がもぞもぞしている。
「ニンニクの香りが辺りに漂って、ベーコンからたっぷり脂が出る頃、そこに新鮮な卵を追加します。ジュワー……」
ごくり、と唾を飲む音がした暖かく
「適度に卵をかきまぜ、じうじうと脂の爆ぜるベーコンに絡ませたら、黄身が固まりきる前に火から離して、温めていたパンに載せます。苦くて少しすっぱいライ麦パンに、半熟の卵とベーコンの塩気たっぷりの脂が染み込んだところを……がぶり」
「ううー!」
ミューリは観念して丸めていた体を開き、起き上がる。
「兄様の意地悪!」
(支倉凍砂 箸/狼と羊皮紙Ⅱ より)
今朝は結構冷え込みました。
そして桜は咲き、近所のノラ猫は朝から「ムアァーオ!」と、盛っています(笑)。
冬の寒さもぼちぼち店じまいを始め、寒さ故の冬のお楽しみも、また去りつつある今朝の川っぺりはこれまでに御座います。
生きとし生けるものが幸せでありますように。
230 拝
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