「ん……なんだこれ?、涼しいの、か」
玄関から一歩外に出ると、涼しいというか妙な肌寒さを確かに覚えたのですが、それと同時に肌にまとわりつくような湿気もまた感じられます。
季節の変わり目には一夜を境にガラリと気温や湿度等が上下しますけれど、今は八月。
それも始まったばかりでこれからが夏本番、な筈。
なんとも不可解な涼しさに包まれていた今朝の川っぺりです。
日の出まであと僅か、というタイミングで7、8羽のカラスくんたちが一斉に件の方角に向かって出撃して行きます。
果たして今回はどうなることやら。
それからしばらくの間、偽りの秋、とでも言いたくなるような涼しさと、むせかえるような湿気のコラボレーションがどうにも気になっていましたけれど、今朝は幸いにしてカメラのレンズも私のメガネも大して曇ったりはしていませんでした。
その事にホッとしつつ油断なく空を見上げていると。
カラスくんたちが向かったハズの方角から、なんだか愉しげにきりもみ急降下等を繰り返していたブサさんのお出ましです。
まあ、想像ですけれど、ブサさんもやはり今朝の川っぺりの涼しさに嬉しくなってしまい、少しはしゃいでいたように感じられます。
相変わらず素晴らしいスピードでの曲芸飛行を見せつけてくれたブサさんは、そのまま件の方角に戻って行きました。
その後また、しばらくすると。
今度はミサゴ先輩のお出ましです。
何故か今朝は普段よりもかなり低い高度を飛んでいたミサゴ先輩も、やはり川っぺりの涼しさに誘われてのことかと思われます。
そして
東の空に
お天道様がじわりじわりと滲み出て参ります。
突如、一羽の川鵜くんが
日の出と共に私の目の前を横切って行きました。
そしてご来光や川鵜くんのお出ましと共に、遠赤外線的な熱が川っぺりを満たし始め、偽りの秋の涼しさは少しずつ泡沫の夢となり、静かに消え去って行きます。
生きとし生けるものが幸せでありますように。
230 拝