21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

中東の水

2006年08月14日 08時12分24秒 | Weblog
 世界史の教科書を開けば分ることだが、アラブ諸国ではオアシス/水資源の保有者が権力を握ってきた。最近でもサウジ王家は石油から生まれる巨万の富を利用して、新技術の導入を図り、水資源の確保に尽力している。
 それに比べ、イラク国内では誰が「水資源」を握っているのかはっきりしない。日本の自衛隊が米軍の監視抜きでサマワで給水活動をしていた事を考えれば、アメリカは石油資源ほど「イラクの水資源」には興味が無い事になる。
 と言っても、駐留米軍がイラクで給水が出来ず、海外から搬入する必要に迫られた場合、その経済的損失は大きいものになる。人は一日当たり平均3リットルの水を消費するが、これを10万人分/30万リットル毎日運ばなければならない。その為のパイプラインの建設費用も馬鹿にならないし、空輸/陸送する場合、その他の食量や武器/弾薬の搬入量が水の輸送量に左右されてしまう。しかし、こればテロリストの側にも当てはまる。彼らも水無しでは生きて行けない。(自爆テロを実行する場所まで生きてたどり着けない)彼らだって、水の輸送を爆薬の輸送に優先させなければいけないのは同じだ。
 そう考えると、「サマワの自衛隊がテロ攻撃に遭わなかった理由」も少し見えてきそうな気がする。折角、無料で(もしくは安く)水を供給してくれる人を攻撃して追い出すような事は、テロリスト達にとってもしたくなかったのだろう。人は水さえあれば一ヶ月は生きられると言うから、「自爆テロ」を目的にイラク入りしたテロリスト達にとってはきっとありがたかったに違いない。
 問題は、それを日本政府が気付いていたか、アメリカ政府が気付いていたかだ。もし両方、知らなかったとしたら、、、、寂しい。しかし、日本側がそれを意図して自衛隊員の安全確保の為に給水活動を行っていたにもかかわらず、アメリカ側が気付いていなかったとしいたら、今後の日米外交関係はきっと面白い事になる。先進国では水道をひねれば無尽蔵に水が出てくる現代で、どちらの方が戦場に於ける給水の重要性を理解しているかも問題になってくる。
 明治維新直後、台湾出兵した日本のように、アメリカは補給を民間会社に委託しているようだけど。