特異点は扱いが難しい。と言うか、判別が難しい。
実験、計算の「やり直し」ができる自然科学の分野であれば、特異点は、まだ分かりやすい。
仮定に基づいた計算結果が、あるところまで実験結果と一致して、あるところから実験結果と加速度的にずれ始めたら、それが特異点だ。
企業の「損益分岐点」は、社会での特異点の一種だと思う。
利益が出ている範囲では、売上の減少は利益の減少でしかない。
しかし、損失が出始めると、売上の減少は損失の増加だけでなく、企業の存在価値の如何を意味する。
例えば、売上額が月50万円、損益分岐点が30万円の会社があるとする。
売上が落ち始めたとしても、30万円を割り込まなければ、倒産しない。
一方、売上が29万9999円になると、残りの1円の損失を誰かが補填しないと倒産する。
この会社にとっては、30万円が特異点。 30万円以上では1円単位で売上が変化するけれど、30万円を1円でも下回ると、会社は倒産するから、売上は0円になる。
つまり、
30万円≠30万1円 である。けれども、29万9999円=0円である。
この会社が、売上を100%海外に依存している「輸出企業」である場合、為替の動きに合わせて、売上が変化する。
米$が140円の時、売上が50万円だとする。
米$が、84円だと、売上が30万円になる。
米$が84円~140円の間を上下している間は、利益が増えたり減ったりするけれども、会社は潰れない。
一方、米$が84円以下になると、この会社は存続の危機に立たされる。
会社に貯金がある限りは、倒産することはないが、貯金が無くなった途端に消滅する。
話を単純にするために、この会社は運転資金を持っていないことにしよう。
貿易統計上では、米$が140円~84円(と言うか、84円以上)の時は、50万円~30万円の「輸出」として扱われる。(この期間では、1%の為替の変化は1%の売上の変化として観測される)
「輸出」なので、貿易黒字に影響を与える。
米$が84円を下回ってくると、この会社は倒産する。売上は30万円だったのがゼロになる。貿易統計上では、30万円の輸出があったはずが、次の瞬間にはゼロになる。
1%以下の為替の変化が、100%の売上の変化になる。計算つかう公式が変わるため、84円は「特異点」と言える。
輸出ゼロなので、貿易黒字には貢献しない。その分だけ、貿易赤字が増える。
この場合、
この「特異点」に達する前、米$が84円代の時であれば、企業救済策は働く。
しかし、84円を下回ると、企業救済策は意味を失う。なぜなら、救済されるべき「企業」が消滅しているから。
しかも、一度消滅した企業は、米$が84円以上に回復しても復活しない。なぜならすでに消滅しているから。
輸出企業が消滅してしまえば、その後、貿易赤字が膨らみ、通貨信任度が下落しても復活できなくなる。なぜなら、復活するべき輸出産業が消滅しているから。
「特異点」の扱いは難しい。と言える。
経済学の基本だけを学んだ人は、「a%の為替の変動はb%の利益の変動につながる」ことしか知らない。
特異点を超えてくると、「a%の為替の変動が、100%の利益の変動につながる」可能性を知って欲しい。
実験、計算の「やり直し」ができる自然科学の分野であれば、特異点は、まだ分かりやすい。
仮定に基づいた計算結果が、あるところまで実験結果と一致して、あるところから実験結果と加速度的にずれ始めたら、それが特異点だ。
企業の「損益分岐点」は、社会での特異点の一種だと思う。
利益が出ている範囲では、売上の減少は利益の減少でしかない。
しかし、損失が出始めると、売上の減少は損失の増加だけでなく、企業の存在価値の如何を意味する。
例えば、売上額が月50万円、損益分岐点が30万円の会社があるとする。
売上が落ち始めたとしても、30万円を割り込まなければ、倒産しない。
一方、売上が29万9999円になると、残りの1円の損失を誰かが補填しないと倒産する。
この会社にとっては、30万円が特異点。 30万円以上では1円単位で売上が変化するけれど、30万円を1円でも下回ると、会社は倒産するから、売上は0円になる。
つまり、
30万円≠30万1円 である。けれども、29万9999円=0円である。
この会社が、売上を100%海外に依存している「輸出企業」である場合、為替の動きに合わせて、売上が変化する。
米$が140円の時、売上が50万円だとする。
米$が、84円だと、売上が30万円になる。
米$が84円~140円の間を上下している間は、利益が増えたり減ったりするけれども、会社は潰れない。
一方、米$が84円以下になると、この会社は存続の危機に立たされる。
会社に貯金がある限りは、倒産することはないが、貯金が無くなった途端に消滅する。
話を単純にするために、この会社は運転資金を持っていないことにしよう。
貿易統計上では、米$が140円~84円(と言うか、84円以上)の時は、50万円~30万円の「輸出」として扱われる。(この期間では、1%の為替の変化は1%の売上の変化として観測される)
「輸出」なので、貿易黒字に影響を与える。
米$が84円を下回ってくると、この会社は倒産する。売上は30万円だったのがゼロになる。貿易統計上では、30万円の輸出があったはずが、次の瞬間にはゼロになる。
1%以下の為替の変化が、100%の売上の変化になる。計算つかう公式が変わるため、84円は「特異点」と言える。
輸出ゼロなので、貿易黒字には貢献しない。その分だけ、貿易赤字が増える。
この場合、
この「特異点」に達する前、米$が84円代の時であれば、企業救済策は働く。
しかし、84円を下回ると、企業救済策は意味を失う。なぜなら、救済されるべき「企業」が消滅しているから。
しかも、一度消滅した企業は、米$が84円以上に回復しても復活しない。なぜならすでに消滅しているから。
輸出企業が消滅してしまえば、その後、貿易赤字が膨らみ、通貨信任度が下落しても復活できなくなる。なぜなら、復活するべき輸出産業が消滅しているから。
「特異点」の扱いは難しい。と言える。
経済学の基本だけを学んだ人は、「a%の為替の変動はb%の利益の変動につながる」ことしか知らない。
特異点を超えてくると、「a%の為替の変動が、100%の利益の変動につながる」可能性を知って欲しい。