「慰霊碑の後ろには、ポールが立っていたが、強風で壊れてしまった」
レイテ島の中心都市タクロバン近郊パロの町役場。敷地内の慰霊碑を前に町職員が声を落とした。隣には、米、豪、フィリピンの慰霊碑もあり同じ状態だ。
レイテ島に隣接するセブ島の日本人会によると、レイテ島には遺族会が建てた慰霊碑が約30カ所にあり、島北部のビリヤバにも5つの慰霊碑がある。
地区の長老の女性エンガルナシオン・ビリアレンテさん(81)は「戦争中、銃撃戦が続き怖かったが、食料をくれるよい日本兵もたくさんいた」と話し、自衛隊の被災者支援については「とてもうれしい。ここの住宅再建も助けてほしい」と訴える。
セブ島日本人会によると、慰霊碑を建てた各地の遺族会は旧日本兵や遺族の他界と高齢化で機能不全に陥っているケースが多い。日本人会は3年前から手弁当で慰霊碑周辺の住民に心付けのお金を渡し、管理をお願いしてきたという。石田武司会長は「修復の予算はなく、復旧のめどは立っていない」と話している。