川口クルド人問題を知らない人は、かなり少なくなってきたのではないでしょうか。近年、トルコからクルド人が大勢、日本の埼玉県川口市に移住してきて、暴力的な行為や騒音などで、地域住民に不安や恐怖を感じさせている問題です。地元住民やインターネットの一部ユーザーでは有名だったのですが、大手メディアではほとんど報じられてきませんでした。しかし、産経新聞が昨年から、インターネットメディア「産経ニュース」や新聞紙面などで報じ始めた後、一般的にも大きな問題として認識されるようになってきました。
ただ、ほかの新聞やテレビなど大手メディアは相変わらず、これを無視しています。「外国人との共生社会」の理念に反するという理由なのでしょうか、ほとんど報道されないのです。こうした報道姿勢は果たして正しいのでしょうか。共生の理念を守るためとはいえ、現に存在する大きな社会問題が無視されていいのでしょうか。
意見書も暴動も無視
まずは、この問題について詳しくない人たちのためにも、川口クルド人問題をめぐる産経新聞の報道姿勢について、説明するところから始めたいと思います。
産経新聞がこの問題を本格的に報じるようになったのは、2023年6月29日、川口市議会が「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」を求める意見書を可決したことと、その直後に「川口市立医療センター」周辺でクルド人約100人が関与したとみられている暴動事件が起きたことが大きなきっかけでした。
前者は川口市においてクルド人をめぐるトラブル増加を受け、議長を除く市議41名のうち、34名の賛成多数で可決されたものです。その中には、れいわ新選組所属の議員(後に離党)1人も含まれており、幅広い層の議員が賛成したことがうかがえました。この意見書は、「一部外国人」として、「クルド人」と名指ししたものではありませんでしたが、少なくともそのことが想定される内容で、全国の自治体でも例のないものでした。
正論10月号