ふくらく通信

東北人が記す、東北の良さや震災の事、日々のなんだりかんだり。
他所で見る東北の足跡や繋がり、町の今昔や輝きを発信。

残存するものの記憶:気仙沼2013年8月

2017-05-18 17:11:47 | 東北被災地のあゆみ:気仙沼

あの日からおよそ2年半。津波で陸に上がった大きな船が、もうじき解体される。

(2013年8月17日撮影)


この船は、震災遺構にするよりも、解体した方が良いという決断に至った。


気仙沼の鹿折地区。

気仙沼湾の一番奥で、津波が町を破壊し、そのために起きた火災も酷かった所だ。


津波の力は凄まじく、港にいた船も陸に打ち上げられた。

その船は、ただ普段どおりに働いて、注文に応じて必要とする人のもとへと物を運んでいただろうに。

津波は、その船の役割さへも狂わせてしまった。


解体へと動くまで、この船の所有者は胸の痛むことが多々あったようだ。

この船も、被害にあったもののうちだが、憎く思われることもあったらしい。

船の所有者が、被災した人の辛さを思って堪えたのも、被災者を支える努力といえよう。



震災遺構は意味がある。

だが、選定するには熟考せねばならない。


かつてよく人々が出入りし、かつての日常を思わせる場所や建物が適していると思う。

驚愕だけでなく、そこで生きた人々を顧みることが大事だから。


一度でも一瞬でも、自分が誰かに愛情をもらって存在していることに気づけば、報われる気がする。

人というのは、そういうものではなかろうか。


震災遺構は、精一杯に生きた者への敬意、犠牲者に面目の立つ生き方など、それぞれに思い巡らす場所でありたい。

 

 

ふかかつと なりわい興す 気仙沼(2013年8月の記録)

2017-05-18 17:04:40 | 東北被災地のあゆみ:気仙沼

気仙沼へ行き、土産に買ってきたのがこれだ。

「ふかカツ」という名の惣菜。

ふかの身(鮫肉)に衣をつけて揚げ物にする。


新鮮なうちに加工されるため、臭みが無い。

しっとりとして柔らかく、マグロに近い味わいだ。

現地では、パンに挟んだ「ふかカツバーガー」も売られている。

津波で苦境に立つ町だが、再建できる業者が動き、産物を活かして売り出した。


周知の通り、気仙沼はフカヒレ生産で有名な所。

身も味わうが、新たな名物にと「ふかカツ」が作られた。


「復活」とかけた「ふかカツ」で、再興の願いも込められる。

生業を取り戻して力をつけ、町を作り直すことを思いながら作った品だ。

よく味わい、応援したい。