つい最近、りょうちゃんは、ピーくんが死んじゃう夢を見たらしい。ピーくんがウロウロしている時に、うっかり踏んじゃいそうで怖いとか、気をつけようねとか、そんな話を時々するからかもしれない。
りょうちゃんは、ピーくんがかわいいので、死んじゃったらどうしようと心配しているんだと思う。
夕べも寝る前に、ピーくんが死んじゃったらどうしようと思ったらしくて、
「ママ、考えたら怖くなっちゃった」
とメソメソしだした。
そのうち、ママや自分が死ぬことを考えたみたいで、
「ママ、死ぬのが怖いよ、死ぬ時は一緒に死のう」
と言うので、そうだね、そうしよう、ママはずっと一緒にいるから、大丈夫だから、と言った。それで少しは安心してくれたらいいなと思ったから。
そうしたら、りょうちゃんが、
「ママ、死ぬことになったら、一緒に身を投げようね」
と言うので、思わず「えっ、そうなの⁉️」と驚いてしまった。「身を投げる」なんて、いったいどこで覚えたんだろう。あー、びっくりした。心臓に悪いよ😰
りょうちゃんは、
「身を投げるのは怖くても、ママと一緒の方がいいから」
と言った。
それで、たとえ一時しのぎでも、死ぬことから目をそらさせたいと思って、こんな話をした。
「分かったよ。りょうちゃんがしたいように、ママもするからね。でもね、実は今ね、とっても偉い科学者の人が、死なない薬とか、病気になった内臓を新しく作って入れ替える方法を研究してるんだよ。実際にもう、iPS細胞というのが作られてて、その細胞で目の膜を作って、目を治すことができたり、心臓の筋肉をその細胞から作ったりすることができるようになってるんだよ。だから、りょうちゃんが大人になる頃には、きっと内臓を入れ替えられるようになるよ。だから、大丈夫だから安心してね」
と話して聞かせた。
りょうちゃんは、臓器を入れ替えると手術になると思ったようで、
「りょうちゃん、お薬がいい。すごくまずくてもいいから、お薬を飲んだら死なないというのがいい。ピーくんにも、それを飲ませてあげて、ずっと死なないのがいい」
と言った。そして、驚いたことに、
「ママ、その偉い科学者の人、なんていう名前?」
と聞くので、iPS細胞を作ったのは山中伸弥先生という人で、ノーベル賞を取ったんだよ、というと、
「じゃあ、りょうちゃん、その人にお手紙書く。頑張ってくださいって書くから、ママ、その先生の名前と住所のところは書いてね」
とのことだった。
「ママ、その先生の住所分かる?」
と言うので、その先生がお仕事してるところは調べれば分かるから、研究所に送れるよ、と言うと、
「届かなくてもいいから書く」
と言うので、ちゃんと届く住所はわかるし、先生は忙しいから、お返事はもらえないと思うけど、きっと読んでくれるから、大丈夫だからね、と言ったら、やっと安心してくれて、少ししたら寝息が聞こえてきたので、心底ホッとした。
りょうちゃんは、本当に怖かったみたいで、話し始めた時は冷や汗をかいて、手は冷たいのに身体は汗だくだったけど、ティッシュで汗を拭きながら話してたら、寝ついた時には汗は引いていた。
逆にママは、りょうちゃんが寝たと分かったら、どっと汗が出てきた。
りょうちゃんが、手紙を書くと言うなら、書かせてあげよう。そして、りょうちゃんに長生きしてもらうために、ママも健康で長生きしなければ‼️